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後期高齢者の64%が「外来で5種類以上」薬剤処方、鎮痛薬・利尿薬・抗不安薬等・骨粗鬆症治療薬・抗糖尿病薬が多剤処方招きやすい―都健康長寿医療センター

2020.3.9.(月)

東京都に居住する75歳以上の後期高齢者では、6割超が「5種類以上の薬剤」を内服している。多剤処方になりやすい薬剤としては、▼鎮痛薬▼利尿薬▼抗不安薬・睡眠薬▼骨粗鬆症治療薬▼抗糖尿病薬―があげられる。

こういった研究結果を、東京都健康長寿医療センター研究所・石崎達郎研究部長らの研究グループ(以下、石崎研究グループ)が3月5日に公表しました(東京都健康長寿医療センター研究所のサイトはこちら)。

効果的なポリファーマシー対策のため、外来「併用処方パターン」も明らかに

高齢者では複数の傷病を抱えることが多く、各傷病治療のために「多剤投与」が行われがちです。ただし、高齢になると、▼細胞内水分の減少▼血清アルブミンの低下▼肝血流や肝細胞機能の低下▼腎血流の低下―といった生理機能の低下が生じますが、一方で薬物吸収能には大きな変化がないことから、「医薬品が効き過ぎる」ことがあります。このため、多剤投与の中でも害を伴う「ポリファーマシー」が高齢者において特に問題視され、さまざまな対策の必要性が検討・実施されています(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。

後述するように、入院に比べて外来でのポリファーマシー対策には大きな困難が伴います(処方内容の把握が困難で、また多機関の連携が難しい)。こうした中で石崎研究グループでは、後期高齢者(75歳以上の高齢者)の外来診療における医薬品処方の「実態をまず把握する必要がある」(実態が明らかでない中では、対策の立てようもない)とし、東京都に居住する後期高齢者のレセプトデータ100万人分を分析しました。

その結果、次のように「後期高齢者の外来診療においては多剤処方が例外ではない」(むしろ多数派である)ことが分かりました。

▽処方薬剤数は、平均6.4種類(標準偏差3.8)種類、中央値は6種類(四分位範囲3-9)である


▽「5種類以上の処方」(多剤処方)があった者は64.0%にのぼる


▽多剤処方になりやすい薬剤種類として「鎮痛薬」「利尿薬」「抗不安薬・睡眠薬」「骨粗鬆症治療薬」「抗糖尿病薬」があげられる



また、後期高齢者における外来診療で多く処方される薬剤種類としては、「降圧薬」が最多で66.5%、「睡眠薬・抗不安薬」が28.8%であることも分かりました。

さらに、今般、初めて「外来処方における併用パターン」を同定。ここでは、複数医療機関からの処方も含まれており、次の5パターンがあげられます。
(1)利尿薬・抗凝固薬・尿酸低下薬・鉄剤
(2)抗うつ薬・抗不安薬や睡眠薬・抗精神病薬
(3)骨粗鬆症治療薬・鎮痛薬・胃酸分泌抑制薬
(4)抗血小板薬・脂質低下薬・降圧薬・抗糖尿病薬
(5)抗認知症薬・抗精神病薬



このように「薬剤併用パターン」が明らかになったことで、▼併存疾患の治療を反映した診療ガイドラインの開発▼ポリファーマシーのリスクが高くなりやすい「薬剤併用例」の提示―による、ポリファーマシー予防策の効率的な検討・実施が可能となります。

高齢者は複数の傷病を抱え、複数の医療機関を外来受診するケースが少なくないことから、「すべての処方内容」を把握するためには多くの労力が必要となります。このため、「かかりつけ薬剤師・かかりつけ薬局」による処方内容の一元的把握を評価する【かかりつけ薬剤師指導料】、「かかりつけ医」による処方内容の一元的把握を評価する【地域包括診療料】【地域包括診療加算】などが創設されていますが、その効果はまだ十分とは言い切れません。

この点、2019年6月の「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))について」では、外来におけるポリファーマシー対策には「所属機関が異なり、多職種連携が難しい(例えば、薬剤師が処方医に対し、減量に関する疑義紹介を行うことが難しいケースも依然としてある)」「医師が常に患者の状態を把握できる環境でないため、処方変更の効果を確認しにくい」といった難しさがあることを確認。そのため、▼地域のかかりつけ医は、退院前カンファランス等を活用して病院の専門医から処方内容を含めた治療状況・処方理由を的確に引き継ぎ、疾患状態と療養状況を総合的に評価し「退院後の生活にあわせた処方」を検討する▼患者の治療やケアにかかわる多職種と「サービス担当者会議」などを通じて情報を共有し、療養環境に合わせた処方見直しや服薬支援の方法を検討する▼「お薬手帳」などで重複処方や薬歴を把握しながら、処方理由も含めて確認する―ことの重要性が強調されています。



石崎研究グループの把握した情報をベースにすれば、例えば「利尿剤を処方されている患者では、抗凝固薬や尿酸低下薬を併用されている可能性が高い」「抗うつ薬を処方されている患者では、抗不安薬や抗精神病薬を併用されている可能性が高い」ことなども分かり、「多剤処方のハイリスク者」抽出がしやすくなります。ターゲットを絞って、薬剤処方内容・患者の健康状態を確認し、「薬剤処方の見直し(減薬)が行えないか」を検討していくことで、効果的かつ効率的な「外来におけるポリファーマシー対策」の検討・実現を図ることが期待されます。


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