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訪問看護の1人当たり利用回数は減少?看多機等の整備進むが、事業所数はまだ少ない―厚労省

2020.8.5.(水)

訪問看護利用者の要介護度が上がるほど、利用頻度が高くなる状況に変化はないが、要介護5を除き、1人当たりの月間サービス利用回数が減少している可能性がある—。

看護小規模多機能型居宅介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護について、前年から事業所数の伸び率が大きいが、事業所数そのものは200に届いていない―。

厚生労働省が7月31日に公表した2018年の「介護サービス施設・事業所調査」の概況から、こういった状況がわかりました(厚労省のサイトはこちら、詳細はこちら(政府統計の総合窓口e-Statホームページ))(前年(2017年)調査に関する記事はこちら、前々年(2016年)調査に関する記事はこちら、2015年調査に関する記事はこちら)。

定期巡回や看多機の増加が依然目立つが、実数ベースでは200事業所にも満たず

介護サービス施設・事業所調査は介護サービスの提供体制・提供内容を把握し、基盤整備の課題などを明らかにすることを狙いとして毎年実施されています。

まず事業所数・施設数の動向を見てみると、前年(2017年)からの増加が目立つのは、▼看護小規模多機能型居宅介護(看多機、旧「複合型サービス」):31.3%増(2016→17年にも27.9%増)▼定期巡回・随時対応型訪問介護看護:13.2%増(同17.1%増)▼地域密着型介護老人福祉施設:7.2%増(同9.2%増)▼訪問看護ステーション:5.6%増(同8.2%増)—などで、前年と同じ傾向といえます。

ただし、地域包括ケアシステムの要と期待される「看多機」や「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、伸び率こそ大きいものの実数は少なく(看多機:122事業所、定期巡回・炊事対応型:114事業所)、さらなる整備に期待が集まります。

一方、介護療養の施設数は、前年(2017年)に比べて14.2%減少しています(2016→17年にも9.7%減少)。設置根拠となる経過措置が切れることから、新たな転換先として介護医療院(▼住まい▼介護▼医療―の3機能を併せ持つ介護保険施設)が2018年に創設されました(介護報酬を2018年度改定で設定)。今後、さらに減少ペースが早まっていきます。

介護サービス施設・事業所の整備状況回数(2018年介護サービス施設・事業所調査1 200731)

介護保険施設それぞれに特徴、介護療養から介護医療院への転換で変化するのか・・・

次に、介護保険3施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設)の状況を見てみましょう。

1施設当たり定員を見ると、次のような状況です。

【特養ホーム】(介護老人福祉施設):わずかに大規模化が進む
「30-39人」が全体の8.0%(前年から0.1ポイント減)、「40-49人」が5.3%(同0.2ポイント減)、「50-59人」が全体の30.5%(同1.0ポイント減)、「60-69人」が9.4%(同0.4ポイント減)、「70-79人」が8.8%(同0.1ポイント増)、「80-89人」が15.9%(同0.3ポイント減)、「90-99」が4.8%(同0.1ポイント増)、「100-109人」が10.4%(同0.5ポイント増)、「110-119人」が2.1%(同増減なし)、「120-129人」が1.9%(同0.1ポイント増)、「130-139人」が0.9%(同0.1ポイント増)、「140-149人」が0.6%(同増減なし)、「150人以上」が1.6%(同0.1ポイント増)、平均は69.1人(同0.2人増)

【老健施設】(介護老人保健施設):目立つ変化なし
「1-9人」が全体の0.1%(前年から増減なし)、「10-19人」が1.9%(同増減なし)、「20-29人」が5.0%(同増減なし)、「30-39人」が1.6%(同増減なし)、「40-49人」が2.9%(同0.1ポイント減)、「50-59人」が7.7%(同0.1ポイント減)、「60-69人」が5.5%(同0.2ポイント増)、「70-79人」が5.5%(同0.3ポイント減)、「80-89人」が13.9%(同0.1ポイント減)、「90-99」が7.8%(同増減なし)、「100-109人」が36.8%(同0.1ポイント増)、「110-119人」が1.2%(同増減なし)、「120-129人」が2.4%(同0.1ポイント減)、「130-139人」が1.0%(同増減なし)、「140-149人」が1.0%(同0.1ポイント減)、「150人以上」が5.5%(同0.1ポイント増)、平均は86.2人(前年から0.1人減)

【介護療養】(介護療養型医療施設):介護医療院への転換等が進み、大きく変化
「1-9人」が全体の2.8%(前年から14.3ポイント減)、「10-19人」が7.3%(同12.3ポイント減)、「20-29人」が5.6%(同3.8ポイント減)、「30-39人」が8.0%(同2.0ポイント減)、「40-49人」が10.7%(同0.6ポイント増)、「50-59人」が12.1%(同2.0ポイント増)、「60-69人」が10.7%(同3.3ポイント増)、「70-79人」が2.3%(同0.7ポイント増)、「80-89人」が2.6%(同1.1ポイント増)、「90-99」が6.2%(同2.9ポイント増)、「100-109人」が3.5%(同1.7ポイント増)、「110-119人」が4.3%(同増減なし)、「120-129人」が4.4%(同2.7ポイント増)、「130-139人」が1.7%(同1.3ポイント増)、「140-149人」が0.7%(同0.4ポイント増)、「150人以上」が17.1%(同13.4ポイント増)、平均は43.4人(前年から1.3人減)

【介護医療院】:2018年度から稼働
「1-9人」が全体の6.7%、「20-29人」が3.3%、「30-39人」が10.0%、「40-49人」が10.0%、「50-59人」が21.7%、「60-69人」が18.3%、「70-79人」が1.7%、「90-99」が5.0%、「100-109人」が3.3%、「110-119人」が5.0%、「140-149人」が3.3%(同0.4ポイント増)、「150人以上」が13.3%(同13.4ポイント増)、平均は74.0人



また、4施設の利用率(1施設当たりの在所者数/1施設当たりの定員)を見ると、▼特養ホーム:95.8%(前年から0.8ポイント減)▼老健施設:89.2%(同0.5ポイント減)▼介護療養:90.0%(増0.1ポイント減)▼介護医療院:91.0%—となっています。高い水準を維持してはいるものの全体に利用率が落ちており、地域によっては「新規入所者の獲得」が難しくなっているところもありそうです。介護保険施設においても、地域のニーズを踏まえた「規模の適正化」「近隣施設との合併」などを検討する必要がありそうです。

介護保険施設の定員等の状況(2018年介護サービス施設・事業所調査2 200731)



さらに介護保険施設の種類別に入所者の要介護度を見てみると、次のような状況です。

▽特養ホーム
▼要介護1:1.5%(前年度から0.2ポイント減)▼要介護2:4.3%(同0.7ポイント減)▼要介護3:24.3%(同0.5ポイント増)▼要介護4:37.6%(同0.8ポイント増)▼要介護5:32.2%(同0.4ポイント減)
→要介護3以上が94.1%(同0.9ポイント増)で、入所者の「重度化」が進んでいる

▽老健施設
▼要介護1:11.7%(前年度から0.2ポイント減)▼要介護2:18.9%(同増減なし)▼要介護3:24.3%(同増減なし)▼要介護4:26.8%(同0.1ポイント増)▼要介護5:18.0%(同0.2ポイント減)
→要介護3以上が69.1%(同0.1ポイント減)で、入所者の状態に大きな変化なし

▽介護療養
▼要介護1:1.2%(前年度から増減なし)▼要介護2:2.7%(同0.2ポイント増)▼要介護3:8.3%(同0.2ポイント減)▼要介護4:36.3%(同0.8ポイント増)▼要介護5:51.0%(同0.9ポイント減)
→要介護3以上が95.6%(同0.3ポイント減)で、わずかながら入所者の「軽度化」が進んでいる

▽介護医療院
▼要介護1:2.8%▼要介護2:5.5%▼要介護3:11.6%▼要介護4:36.3%▼要介護5:43.7%
→要介護3以上が91.6%



このように介護保険施設の種類によって、▼規模▼利用率▼要介護度―に特徴のあることが再確認できます。このうち、介護療養には「小規模で、極めて要介護度の高い方が入所する」という特徴があり、介護医療院への転換に当たって、どのように変化するのか、あるいはしないのか、などに注目が集まります。

1事業所当たりの看護・介護職員数、サービスによって増減あり

次に、今後の介護サービス提供体制で最も重要かつ、最も大きな課題である「従事者」について見てみましょう。

居宅・地域密着型の各サービスについて、1事業所当たりの看護・介護職員数(常勤換算)を見ると、▼訪問介護7.1人(前年から0.2人減)▼訪問看護5.3人(同0.2人増)▼通所介護7.5人(同0.1人増)▼通所リハビリ7.6人(同0.1人減)▼短期入所生活介護14.6人(同0.3人増)▼特定施設入居者生活介護20.4人(同0.4人増)▼認知症対応型共同生活介護11.6人(同増減なし)―など、サービス種類によって増減があります。介護事業所の規模を考慮すると、わずかな増減が大きな影響を及ぼすと考えられ、今後の動向に留意する必要があります。

居宅・地域密着型サービスにおける看護・介護職員数(2018年介護サービス施設・事業所調査3 200731)



2021年度の次期介護報酬改定論議が社会保障審議会・介護給付費分科会で進んでいますが、そこでも、最重要論点の1つに「介護人材の確保・定着」があげられています。2019年には消費税率引き上げに伴う臨時の介護報酬改定が行われ、そこでは、介護福祉士等をメインターゲットとした「特定処遇改善加算」が創設されています。これらの効果なども検証しながら、人材確保対応策を検討していくことになります(介護給付費分科会の2021年度報酬改定論議の関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。

訪問看護の利用回数、2016年から2018年にかけて要介護5を除き減少

2018年調査では「訪問看護」に焦点を合わせた詳細な調査・分析も行われています。

訪問看護利用者について、「要介護度」と「利用者1人当たりの訪問回数(2018年9月の1か月)」との関係を見ると、▼要介護1:5.2回(2016年調査に比べて0.3回減)▼要介護2:5.6回(同0.3回減)▼要介護3:5.9回(同0.2回)▼要介護4:6.5回(同0.2回)▼要介護5:7.9回(同増減なし)―となり、「要介護度が高いほど、頻回の訪問が必要である」状況を再確認できます。

訪問看護利用者の要介護度と利用回数(2018年介護サービス施設・事業所調査4 200731)



ただし、要介護5を除き、利用回数が減少している点が気になります。今後の状況を注視する必要がありますが、訪問介護サービスについては「報酬(単価)が高い。区分支給限度基準額(1か月内に使用できる介護保険サービスの上限、要介護度別に設定)がある中では、報酬(単価)の低い訪問介護が選択されがちである」との指摘があります。医療ニーズの高い要介護者にとっては訪問介護が非常に重要であり、ケアマネジャーや訪問介護事業所が「訪問看護の必要性」を丁寧に利用者や家族に説明することが、さらに重要になってきそうです。

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