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新型コロナ対策 医療崩壊の真実

ゼローダ錠の乳がん患者への投与などDPCでも出来高、難病患者への11注射薬を自宅で利用可能に―中医協総会(3)

2021.2.10.(水)

ゼローダ錠の乳がん患者への投与、メクトビ錠の大腸がん患者への投与などについて、2022年度の次期診療報酬改定まで、「DPC病棟でも出来高算定」とする―。

ライソゾーム病などの難病と闘う患者が、新型コロナウイルス感染防止のため「医療機関受診をせず、自宅にいながら治療薬にアクセスできる」よう、11医薬品について「保険医が投薬することができる注射薬の対象薬剤」に追加する―。

2月10日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった点も了承されました(関連記事はこちらこちら)。

ゼローダ錠の乳がん患者への投与など、DPC病棟でも出来高算定に

まず、次の2成分・3品目の新薬を保険適用する(つまり薬価を設定し、薬価基準に収載する)ことを了承しました。2月18日に、薬価基準に収載される予定です。

▽気管支喘息に用いる「テリルジー200エリプタ14吸入用(14吸入1キット)」(4760.50円)、「同30吸入用(30吸入1キット)」(1万98.90円)

▽抗菌剤の「ラスビック点滴静注キット150mg(150mg1キット(希釈液付))」(4034円)



このうち「ラスビック点滴静注」については、高額医薬品として肺炎等に用いる場合には、DPC病棟でも出来高算定となります(当該医薬品だけでなく、一連の治療がすべて出来高算定となる)。

DPC制度では、疾患ごとに、医療資源投入量等を勘案して▼手術を行ったか▼処置を行ったか▼特別の医薬品を使用したか―などで分類し(分岐を設ける)、それぞれにDPCコードと点数を設定しています(診断群分類)。分岐が、あたかも木の枝のように見えることから「tree図」と呼ばれます。

新薬が登場した場合には、ある疾病の治療内容について「従前用いられていたA薬剤からB新薬への置き換え」などの変化が生じます。その際、A薬剤とB新薬の価格に大きな乖離がない、新薬Bの価格が総医療資源投入量に大きな影響を及ぼさない、のであれば、既存のDPC点数のままで医療資源投入量を賄うことができます。しかし、A薬剤に比べてB新薬が高額な場合、新薬Bの価格が総医療資源投入量(つまりコスト)に大きな影響を及ぼすような場合には、既存のDPC点数を維持すれば、「DPC点数<医療資源投入量」となり、病院の「持ち出し」が生じてしまいます。

これを放置すれば、新薬の使用が進まず、患者に対し質の高い医療サービスが提供されなくなってしまいます。

そこで中央社会保険医療協議会では、一定の基準を満たした場合(新薬の標準的な使用における薬剤費(併用する医薬品を含む)の見込み額が、新薬を使用しない症例の薬剤費の84パーセンタイルを超える)には、「高額な新薬はDPCの包括報酬の対象外とし、その新薬を用いた治療は出来高算定とする」(薬剤以外の入院料や検査料などもすべて出来高算定とする)というルールを設けています。

さらに症例の蓄積を待ち、直後の診療報酬改定時に▼従前の包括評価(点数)の分岐に含める▼新たな分岐を設ける▼さらなる症例数確保のため出来高算定を続ける―のいずれとするか、個別に検討していくことになるのです。



この取り扱いは、新薬登場時だけでなく、既存薬剤に「効能・効果追加」が行われた場合でも同様です(ある疾病の治療に、これまでと異なる薬剤が使われることになる)。

2月10日の中医協総会では、効能効果の追加により、次の医薬品についても高額医薬品としてDPC病棟でも出来高算定となることが了承されています(対象DPCコードなどの詳細はこちら(中医協資料))。

▽ルミセフ皮下注210mgシリンジ(脊椎感染、脊椎関節炎で出来高)
▽ビラフトビカプセル50mg、同75mg(結腸悪性腫瘍、直腸肛門悪性腫瘍で出来高)
▽メクトビ錠15mg(結腸悪性腫瘍、直腸肛門悪性腫瘍で出来高)
▽ゼローダ錠(乳房悪性腫瘍で出来高)
▽サイラムザ点滴静注液100mg、同 500mg(肺の悪性腫瘍で出来高)
▽ダラザレックス点滴静注100mg、同400mg(多発性骨髄腫、免疫系悪性新生物で出来高)
▽カボメティクス錠20mg、同60mg(肝・肝内胆管の悪性腫瘍で出来高)
▽リムパーザ錠100mg、同150mg(膵臓、脾臓腫瘍、前立腺悪性腫瘍で出来高)
▽オルミエント錠2mg、同4mg(湿疹、皮膚炎群で出来高)
▽ビムパット点滴静注 100mg、同200mg(てんかんで出来高)
▽ソマチュリン皮下注60mg、同90mg、同120mg(下垂体機能亢進症)

前述のとおり、高額な医薬品については、包括点数であるDPC病棟において「高コストとなるために使用しにくい」という指摘があります。今回、これら医薬品(抗がん剤が多い)が効能効果追加で出来高算定となったことで、がん患者においては「治療の選択肢が広がった」と言えます。

これらについては、次期診療報酬改定(2022年度改定)までに症例を重ね、▼既存のDPC分岐に包括評価する▼新規のDPC分岐を設ける▼症例不足であり出来高評価を継続する―ことが検討されます。

ライソゾーム病など難病患者に用いる11医薬品、「保険医による処方できる注射薬」に追加

昨年(2020年)12月23日の中医協総会では、新型コロナウイルス感染を恐れて医療機関受診を控える慢性疾患患者が増加していることを踏まえ、適切な治療継続を可能とするために、「新型コロナウイルス感染が拡大している間、新医薬品以外の医薬品についても、▼【在宅自己注射指導管理料】の対象薬剤▼保険医が投薬することができる注射薬の対象薬剤―の要件を満たし、学会からの要望があった場合には、原則として年4回の『新医薬品の薬価収載の時期』に合わせて追加することを検討する」方針が了承されました。

「薬剤の注射」には一定のリスクが伴うために、医師が実施することが原則ですが、一部の医薬品(注射の頻度が高く、都度、医療機関受診を求めることが非現実的なもの)については、保険医が処方箋を交付し、これに基づいて薬剤の交付を受け、患者自身が注射を行ったり、医師の指示に基づき訪問看護師が注射するなどの対応を認めています。

基礎疾患を抱える患者が新型コロナウイルス感染症に罹患すれば「重症化・重篤化」の恐れがあることから、「医療機関を受診して薬剤注射を受ける」ことを避けるケースが増えています。そこで、中医協では「感染防止」と「適切な治療機会の確保」とのバランスを考慮し、一定の要件を満たして、学会が要望のある既存薬剤について、▼【在宅自己注射指導管理料】の対象薬剤▼保険医が投薬することができる注射薬の対象薬剤―への追加を認める方針を固めました。

この方針に則り、今般、次の難病患者に対する医薬品11成分について、学会から要望があったことを踏まえ、「保険医が投与することができる注射薬の対象薬剤」に追加されることが中医協で了承されました(薬剤・疾患の詳細はこちら(中医協資料))。

(1)「イミグルセラーゼ(遺伝子組換え)」(販売名:セレザイム静注用400単位)
→【効能・効果】ゴーシェ病の諸症状(貧血、血小板減少症、肝脾腫及び骨症状)の改善

(2)「ベラグルセラーゼ アルファ(遺伝子組換え)」(販売名:ビプリブ点滴静注用400単位)
→【効能・効果】ゴーシェ病の諸症状(貧血、血小板減少症、肝脾腫及び骨症状)の改善

(3)「アルグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)」(販売名:マイオザイム点滴静注用50mg)
→【効能・効果】糖原病(II型)

(4)「アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)」(販売名:ファブラザイム点滴静注用5mg、同35mg)
→【効能・効果】ファブリー病

(5)「アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)」[アガルシダーゼ ベータ後続1](販売名:アガルシダーゼ ベータBS点滴静注5mg「JCR」、同35mg「JCR」)
→【効能・効果】ファブリー病

(6)「アガルシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)」(販売名:リプレガル点滴静注用3.5mg)
→【効能・効果】ファブリー病

(7)「ラロニダーゼ(遺伝子組換え)」(販売名:アウドラザイム点滴静注液2.9mg)
→【効能・効果】ムコ多糖症I型

(8)「イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)」(販売名:エラプレース点滴静注液6mg)
→【効能・効果】ムコ多糖症II型

(9)「エロスルファーゼ アルファ(遺伝子組換え)」(販売名:ビミジム点滴静注液5mg)
→【効能・効果】ムコ多糖症IVA型

(10)「ガルスルファーゼ(遺伝子組換え)」(販売名:ナグラザイム点滴静注液5mg)
→【効能・効果】ムコ多糖症VI型

(11)「セベリパーゼ アルファ(遺伝子組換え)」(販売名:カヌマ点滴静注液20mg)
→【効能・効果】ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病)



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