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介護保険施設等と医療機関との「実質的な連携・協力関係」構築のためには、都道府県・市町村の支援も重要—厚労省

2026.1.6.(火)

2024年度の診療報酬・介護報酬改定で、介護保険施設等と医療機関との「実質的な連携・協力関係」構築が重視された。経過措置も設けられているが「入所者サービスの質向上」に向けた、早急な連携・協力関係構築が重要であり、都道府県・市町村による支援も必要である—。

厚生労働省は12月25日に事務連絡「令和6年度介護報酬改定を踏まえた高齢者施設等と 協力医療機関との連携状況について(速報)」を発出し、こうした点への対応を市町村や都道府県の介護保険担当者に要請しました(厚労省サイトはこちら)。

経過措置期間開けを待たずに、実質的な連携関係の構築を急げ

医療・介護連携の推進が重要であることは論を待ちません。例えば、高齢化が進展する中で「介護保険施設等の入所者の状態が悪化する→救急搬送が増える→救急医療が逼迫する」という事態をできるだけ避けるために、「平時から介護保険施設と医療機関が連携関係を構築しておく→施設入所者の状態が悪化した場合には、救急搬送を依頼せず、協力医療機関で対応する」という仕組みを構築することが重要となってきます。

そこで2024年度の診療報酬改定では「在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所、地域包括ケア病棟を持つ病院に、介護保険施設等の求めに応じて協力医療機関となる努力義務を課す」、2024年度の介護報酬改定では「介護保険施設に、入所者の状態が悪化した時に常に相談に応じ、診療を行い、入院を受け入れてくれる協力医療機関を確保する義務を課す」などの双方向の手当てが行われました。

介護施設等と協力医療機関と定期会議を評価する【協力医療機関連携加算」(社保審・介護給付費分科会(6)12 240122)



介護保険施設側には「経過措置」(2027年3月末まで)が設けられていることもありますが、「在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所、地域包括ケア病棟を持つ病院に、介護保険施設等の求めに応じて協力医療機関となる努力義務を課す」「一定程度、協力医療機関を定めているが、まだ十分とは言えない」などの状況が明らかになってきています(関連記事はこちらこちら)。

今般、本年11月までの「連携状況」が報告され、次のような状況が明らかになりました。2024年度時点と比べて連携が進んでいるものの、「まだまだ連携が十分に進んでいない」部分もあります。

▽介護老人福祉施設は67.9%、介護老人保健施設は83.3%、介護医療院は84.9%、養護老人ホームは60.4%が「義務化された全ての要件を満たす協力医療機関」を定めていた

▽軽費老人ホームは59.5%、特定施設入居者生活介護は73.6%、認知症対応型共同生活介護は64.2%が「努力義務化された全ての要件を満たす協力医療機関」を定めていた

介護保険施設と協力医療機関の状況1(社保審・介護給付費分科会8 251212)



▽協力医療機関に課する「集計していない」施設の割合が、全ての施設種別で1-3割程度にのぼる

介護保険施設と協力医療機関の状況2(社保審・介護給付費分科会9 251212)



▽地域・施設によって協力医療機関の定めには大きなバラつきがある

介護保険施設と協力医療機関の状況3(社保審・介護給付費分科会10 251212)

介護施設と協力医療機関との連携状況には大きな地域差がある(社保審・介護給付費分科会11 251212)



経過措置が設けられているものの、医療・介護連携の強化は「入所者の安全」にも直結するために厚労省は「協力医療機関を定めておくことは、2027年4月1日から義務化(それまで努力義務)されるが、期限を待たず、可及的速やかに連携体制を構築することが望ましい」としています(関連記事はこちら)。

さらに今般の事務連絡では、次のような対応を都道府県や市町村等に改めて要請しました(関連記事はこちら)。

(1)高齢者施設等と協力医療機関との連携状況等の把握
▽高齢者施設等について、「1年に1回以上、協力医療機関の名称等について、当該施設等の指定等を行った自治体に提出しなければならない」ことを2024年度介護報酬改定で義務づけ

▽都道府県は各施設等の届出の内容、市区町村は各施設等の届出の内容や在宅医療・介護連携推進事業を通じて把握した内容をもとに、「各施設等における協力医療機関との連携状況」等を把握してほしい

(2)協力療機関との連携に係る取り組みが行われていない高齢者施設等への周知等
▽(1)で把握した連携状況等に関する情報から「協力医療機関との連携に係る取り組みが行われていない施設等がある」場合には、都道府県や市区町村が行う集団指導や運営指導において、施設等に対し「報酬改定の趣旨に沿った取り組みを促す」とともに、「協力医療機関に関する制度の周知」「協力医療機関との連携に当たっての助言」などを行ってほしい

▽「どこの医療機関と連携すればよいか分からない」という課題を抱えている施設等もあるため、助言等に当たっては、以下のQ&Aの周知や、衛生主管部局と連携して地域の医療機関のリストを提供するなど、必要な支援を行ってほしい

(参考)2024年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)より(Gem Med編集部で一部改変)
●問124
「連携することが想定される協力医療機関として、在宅療養支援病院や地域包括ケア病棟を持つ医療機関等が挙げられているが、当該基準の届出を行う医療機関をどのように把握すればよいか」
●回答
▽診療報酬における施設基準の届出受理状況については、地方厚生局のホームページに掲載されているので参考とされたい
▽以下のホームページの一覧のうち「受理番号」の欄に下記の受理番号がある医療機関が 該当する医療機関となる
・在宅療養支援病院:(支援病1)、(支援病2)、(支援病3)
・在宅療養支援診療所:(支援診1)、(支援診2)、(支援診3)
・在宅療養後方支援病院:(在後病)
・地域包括ケア病棟入院料(地域包括ケア入院医療管理料):(地包ケア1)、(地包ケア2)、(地包ケア3)、(地包ケア4)
※地域包括ケア病棟については、相談対応や診療を行う医療機関として、特に200床未満(主に地包ケア1・3)の医療機関が連携の対象として想定される)
※2024年度診療報酬改定で新設された「地域包括医療病棟」は、地域の救急患者等を受 け入れる病棟であり、高齢者施設等が平時から連携する対象としては想定されない点に留意してほしい

▽北海道厚生局
・在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所、在宅療養後方支援病院はこちらの「保険医療機関(医科)」のファイルを参照
・地域包括ケア病棟入院料(地域包括ケア入院医療管理料)はこちらの「特定入院料(その2)」のファイルを参照

▽東北厚生局
こちらで、在宅療養支援病院等、地域包括ケア病棟入院料のファイルを参照

▽関東信越厚生局
こちらで、在宅療養支援病院等については施設基準届出状況(全体)の「医科」の、地域包括ケア病棟入院料については「届出項目6」のファイルを参照

▽東海北陸厚生局
・在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所、在宅療養後方支援病院についてはこちらの「届出受理医療機関名簿(医科)」のファイルを参照
・地域包括ケア病棟入院料(地域包括ケア入院医療管理料)についてはこちらの「特定入院料(その2)」のファイルを参照

▽近畿厚生局
こちらで、在宅療養支援病院等については「施設基準の届出受理状況(全体)」の、地域包括ケア病棟入院料については「特定入院料」の該当ファイル参照

▽中国四国厚生局
こちらで、在宅療養支援病院等については「在宅医療医科」の、地域包括ケア病棟入院料については「特定入院料等2」のファイルを参照

▽九州厚生局
・在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所、在宅療養後方支援病院についてはこちらの各都道府県の「医科」ファイルを参照
・地域包括ケア病棟入院料(地域包括ケア入院医療管理料)についてはこちらの「地域包括ケア病棟入院料」の記載のあるファイルを参照



(3)協力医療機関との連携に支障を来している高齢者施設等への支援
▽協力医療機関の確保に苦慮している施設等においては、施設等の取り組みには限界がある事例も考えられ、自治体による支援も重要である

▽自治体においては、「在宅医療・介護連携推進事業や在宅医療に必要な連携を担う拠点」を活用し、▼高齢者施設等からの相談窓口の設置▼高齢者施設等と医療機関とのマッチング▼都道府県医師会や郡市医師会等の地域の医療関係団体への協力依頼▼地域における高齢者施設等への医療提供体制の検討▼新たに協力医療機関との連携体制を構築した施設等の好事例の横展開—などを行っている事例もあり、こうした事例を参考に高齢者施設等と協力医療機関との連携に係る支援をご検討してほしい

▽都道府県と市区町村との間では、(1)で把握した連携状況等に関する情報を共有し「広域的に連携体制を構築することが必要」な場合も想定される。そうした場合には、例えば、市区町村が行う「在宅医療・介護連携推進事業」や、都道府県が指定・設置する「在宅医療に必要な連携を担う拠点」を活用し、高齢者施設等と協力医療機関とのマッチングを行ったり、都道府県が行う地域医療構想調整会議の場を活用して「高齢者施設等の協力医療機関としての役割を担う医療機関を調整」したりするなどの対応が考えられるので、検討してほしい



なお、この点について日本在宅療養支援病院連絡協議会の鈴木邦彦会長は「介護施設の中には『在支病・在宅療養支援病院とは何か?』という具合に医療制度・診療報酬の理解が不十分なところもあり、介護サイドから連携を持ち掛けにくい状況もあるのではないか。医療サイドから『上から目線にならない』ように配慮して、声をかけていくことが重要ではないか」との考えを従前より示しています。病院・診療所側から近隣の介護保険施設等の高齢者施設に連携を呼びかけることなども重要でしょう。



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