2024年6月から介護職員処遇改善加算見直しで「利用料変更」の可能性ある点を利用者・家族に説明せよ―厚労省
2024.4.19.(金)
本年(2024年)6月から介護職員処遇改善加算などの見直しが行われることから「利用者負担が増加する」ケースも出てくる。利用者・家族に「介護従事者の処遇改善が必須であり、そのために利用者負担が増加する可能性がある」旨を説明したリーフレット配布などを行い、理解を促してほしい—。
厚生労働省が4月15日に事務連絡「令和6年度介護報酬改定に伴う介護職員処遇改善加算等の見直しに係る利用者向けリーフレットについて」を示し、こうした点への留意を求めました(厚労省サイトはこちら)。
処遇改善加算は、将来「利用者・家族のメリット」にもつながる
Gem Medで報じているとおり、2024年年度介護報酬改定では、これまでに設けられた3つの「介護職員等の処遇改善に向けた加算」(介護職員処遇改善加算、特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算)を一本化・充実した【介護職員等処遇改善加算】を新設します(本年(2024年)6月実施、関連記事はこちら)。
【新加算I】(例えば訪問介護では加算率24.5%(現在の3加算合計22.4%よりも2.1ポイントの加算率アップ)、1か月の総請求単位数に上乗せする(以下同))
→下記の(新加算II-IV)の要件に加えて、「経験技能のある介護職員を事業所内で一定割合(例えば訪問介護では介護福祉士30%以上)以上配置する」ことを求める
【新加算II】(同じく訪問介護では22.4%加算率(現在の3加算合計20.3%よりも2.1ポイントの加算率アップ))
→下記の(新加算III、IV)の要件に加えて、「改善後の賃金年額440万円以上であるスタッフが1人以上」「職場環境の更なる改善、見える化」を求める
【新加算III】(同じく訪問介護では加算率18.2%(現在の3加算合計16.1%よりも2.1ポイントの加算率アップ))
→下記の(新加算IV)の要件に加えて、「資格や勤続年数等に応じた昇給の仕組みの整備」を求める
【新加算IV】(同じく訪問介護では加算率14.5%(現在の3加算合計12.4%よりも2.1ポイントの加算率アップ))
→「新加算IVとして得た収益の2分の1(1か月の総請求単位数×6.2%)を月額賃金で配分する」「職場環境を改善する(職場環境等要件)」「賃金体系等の整備、研修の実施」などを求める
こうした加算により「介護従事者の賃金改善→介護人材の確保→介護サービスの維持確保」が期待され、結果「介護サービス利用者・家族への大きなメリット」が生まれます。しかし、短期的には「介護サービス利用者の負担」増加につながることも事実です。
そこで厚労省は、利用者・家族向けのリーフレットを作成し、利用者等に配布、事業所や施設内に掲示などすることで「介護従事者の処遇改善加算について、利用者・家族等の理解を得る」ことが重要であると指摘しています。利用者・家族等の理解が不十分なままでは「突然、介護費用が高くなった」とトラブルにつながる可能性もあり留意が必要です。
なお、▼利用者の負担が過重にならないよう、自己負担額が一定額(下表)を超えた場合には、申請により払い戻される仕組みなどがある(高額介護サービス費)▼処遇改善加算は「区分支給限度基準額の外」にあるため、現在利用されているサービスの回数や時間への影響はない—ことも説明しています。
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