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新たな【介護職員等処遇改善加算】、各種要件(キャリアパスIからV、職場環境等)の詳細を明らかに―厚労省

2024.3.19.(火)

厚生労働省は3月15日に、2024年度介護報酬改定に関する告示交付や関係通知発出などを実施。その一環として「介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A(第1版)」も明らかにしました(厚労省サイトははこちら)。

●2024年度介護報酬改定に関する記事はこちら
●2024年度介護報酬改定に関する厚労省サイトはこちら

3つの処遇改善にかかる加算を統合し、新【介護職員等処遇改善加算】に一本化

Gem Medで報じているとおり、2024年年度介護報酬改定では、これまでに設けられた3つの「介護職員等の処遇改善に向けた加算」(介護職員処遇改善加算、特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算)を一本化・充実した【介護職員等処遇改善加算】を新設します。

【新加算I】(例えば訪問介護では加算率24.5%(現在の3加算合計22.4%よりも2.1ポイントの加算率アップ)、1か月の総請求単位数に上乗せする(以下同))
→下記の(新加算II-IV)の要件に加えて、「経験技能のある介護職員を事業所内で一定割合(例えば訪問介護では介護福祉士30%以上)以上配置する」ことを求める

【新加算II】(同じく訪問介護では22.4%加算率(現在の3加算合計20.3%よりも2.1ポイントの加算率アップ))
→下記の(新加算III、IV)の要件に加えて、「改善後の賃金年額440万円以上であるスタッフが1人以上」「職場環境の更なる改善、見える化」を求める

【新加算III】(同じく訪問介護では加算率18.2%(現在の3加算合計16.1%よりも2.1ポイントの加算率アップ))
→下記の(新加算IV)の要件に加えて、「資格や勤続年数等に応じた昇給の仕組みの整備」を求める

【新加算IV】(同じく訪問介護では加算率14.5%(現在の3加算合計12.4%よりも2.1ポイントの加算率アップ))
→「新加算IVとして得た収益の2分の1(1か月の総請求単位数×6.2%)を月額賃金で配分する」「職場環境を改善する(職場環境等要件)」「賃金体系等の整備、研修の実施」などを求める

処遇改善加算見直し概要1(社保審・介護給付費分科会(3)3 240122)

処遇改善加算見直し概要2(社保審・介護給付費分科会(3)4 240122)



加算の要件は、次のように設定されています(厚労省サイトはこちら(通知)こちら(別紙))。

▽賃金改善の実施
→介護事業者等は、新加算等の算定額(1か月当たりの総単位数×加算率)に相当する介護職員その他の職員の賃金(基本給、手当、賞与等を含む)の改善を実施する

▽月額賃金改善要件I
→「新加算IVで見込まれる加算額の2分の1以上」を基本給・決まって毎月支払われる手当の改善に充てる
→加算未算定事業所が新規取得する場合を除き、本要件を満たすために賃金総額を新たに増加させる必要はない(「基本給等以外の手当・一時金での賃金改善の一部を減額し、その分を基本給等に付け替えることで、本要件を満たす」としてよい)
→既に本要件を満たす事業所等では新規の取り組みは不要(ただし、この要件クリアのために新規の基本給等引き上げを行う場合、ベースアップにより行うことを基本とする)
→2024年度中は適用を猶予する

▽月額賃金改善要件II(旧ベースアップ等加算相当の賃金改善)
→本年(2024年)5月末時点で「旧処遇改善加算〇、旧ベースアップ等加算×」の事業所が新規に新加算I-IVを取得する場合には、「旧ベースアップ等加算を算定する場合に見込まれる加算額の3分の2以上の基本給等引き上げ」を新規に実施する
→「本年(2024年)5月以前に旧3加算を算定していなかった事業所」「本年(2024年)6月以降に開設された事業所」が新加算I-IVを新規算定する場合には本要件の適用を受けない

▽キャリアパス要件I(任用要件・賃金体系の整備等)
→次のすべてを満たす(2024年度の一部猶予措置あり)
(1)介護職員の任用の際における職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件(介護職員の賃金に関するものを含む)を定める
(2)(1)に掲げる職位、職責、職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く)を定める
(3)(1)(2)の内容について就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し全介護職員に周知する(常時雇用者10人未満の事業所等では、内規等の整備・周知でも可)

▽キャリアパス要件II(研修の実施等)
→次のすべてを満たす(2024年度の一部猶予措置あり)
(1)介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら「資質向上の目標」および「aまたはbに掲げる事項」に関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修実施・研修機会を確保する
(a)資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供・技術指導等(OJT、OFF-JT等)を実施し、介護職員の能力評価を行う
(b)資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフト調整、休暇付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施する
(2)(1)について全介護職員に周知する

▽キャリアパス要件III(昇給の仕組みの整備等)(新加算I・II・IIIのみ)
→次のすべてを満たす
(1)介護職員について、経験・資格等に応じて昇給する仕組み、一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み(a-cのいずれか)を設ける
(a)経験に応じて昇給する仕組み(勤続年数や経験年数などに応じて昇給する仕組み)
(b)資格等に応じて昇給する仕組み(介護福祉士等の資格取得や実務者研修等の修了状況に応じて昇給する仕組み、別法人等で資格取得場合でも昇給が図られることが必要)
(c)一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み(実技試験や人事評価などの結果に基づき昇給する仕組み、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることが必要)
(2)(1)の内容を就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全介護職員に周知する(常時雇用者10人未満の事業所等では、内規等の整備・周知でも可)

▽キャリアパス要件IV(改善後の年額賃金要件)(新加算I・IIのみ)
→経験・技能のある介護職員のうち1人以上は「賃金改善後の賃金見込額(新加算等を算定し実施される賃金改善の見込額を含む)が年額440万円以上」である
→小規模事業所等では「新加算の加算額のうち旧特定加算に相当する部分による賃金改善額が月額平均8万円(賃金改善実施期間における平均)以上の職員」配置でもよい

▽キャリアパス要件V(介護福祉士等の配置要件)(新加算Iのみ)
→サービス類型ごとに一定以上の介護福祉士等を配置する(具体的は、下表加算を取得する)

キャリアパス要件Vについて(介護職員等処遇改善加算QA2 240315)



▽職場環境等要件【2025年度以降】
→2025年度以降に新加算I-IVを算定する場合は下表の取り組みを実施する

2025年度からの職場環境等要件(介護職員等処遇改善加算QA3 240315)

処遇改善の大前提となる「賃金改善」の詳細を明確化

今般のQ&A(第1版)では、▼賃金改善方法・対象経費▼対象者・対象事業者▼月額賃金改善要件▼キャリアパス要件I-III▼キャリアパス要件Ⅳ▼キャリアパス要件V▼職場環境等要件—について、介護現場の疑問に答えています。

まず、賃金改善方法・対象経費を見ると次のような点が明らかにされました。

▽賃金改善の基準点は次のように考える
→賃金改善額は、「新加算、旧3加算を原資に賃金改善を行った後の実際の賃金水準」と「新加算等を算定しない場合の賃金水準」とで比較し、各事業者等で算出する
→後者の「新加算等を算定しない場合の賃金水準」は次のように考える
▼原則として「初めて新加算等・交付金等を算定した年度の前年度における賃金水準」とする
▼事業者等での職員構成変動等によって「初めて新加算等・交付金等を算定した年度の前年度における賃金水準」の推計が難しい場合、現在の賃金水準と比較することが適切でない場合は、「新加算等を除いた介護報酬の総単位数の見込額に基づく営業計画・賃金計画を策定した上で試算する」などの適切な方法により算出してよい
▼事業所等を新規開設した場合も、「新加算等を除いた介護報酬の総単位数の見込額に基づく営業計画・賃金計画を策定する」などの適切な方法により算出してよい

▽前年度から事業所の介護職員等の減少・入れ替わりなどがあった場合には次のように考える
→実績報告書では、新加算・交付金等による賃金改善「以外」の部分で賃金引き下げがなされていないかを確認するために、(1)2024年度の加算の影響を除いた賃金額(2)2023年度の加算・独自の賃金改善の影響を除いた賃金額—を比較する
→賃金水準のベースダウン(賃金表改訂による基本給等の一律の引き下げ)などでなく、事業規模縮小に伴う職員数減や職員の入れ替わり(勤続年数が長く高給の職員が退職し、代わりに新卒者を採用したなど)の事情により「(1)<(2)」となる場合には、(2)の額を調整してよい
→この場合の(2)の額の調整方法は、例えば▼退職者が、前年度に在籍していなかったと仮定して賃金総額を推計する▼新規採用職員について、その者と同職で勤務年数等が同等の職員が本年度に在籍したと仮定して賃金総額を推計する—などの方法が想定される

介護職員等の減員などがあった場合の対応(介護職員等処遇改善加算QA1 240315)



▽「決まって毎月支払われる手当」は次のように考える
→「労働と直接的な関係が認められ、労働者の個人的事情と関係なく支給される手当」を指す
→決まって毎月支払われるのであれば、月ごとに額が変動するような手当も含む
→「月ごとに支払われるか否かが変動するような手当」「労働と直接的な関係が薄く、当該労働者の個人的事情により支給される手当」(通勤手当、扶養手当など)は、新加算等の算定、賃金改善の対象となる「賃金」には含めてよいが、「決まって毎月支払われる手当」には含まれない
→「時給や日給の引き上げ」は、「基本給等の引き上げ」として取り扱ってよい
→「時給や日給への上乗せの形で支給される手当」は、「決まって毎月支払われる手当」と同等と考えてよい

▽「キャリアパス要件、職場環境等要件を満たすために取り組む費用」は、賃金改善額に含めてはならない

▽最低賃金を満たした上で、賃金引き上げを行うことが望ましいっていただくことが望ましい。

▽賃金改善額には次の額を含む
・法定福利費(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、児童手当拠出金、雇用保険料、労災保険料等)における、新加算等による賃金改善分に応じて増加した事業主負担分
・法人事業税における新加算等による賃金上昇分に応じた外形標準課税の付加価値額増加分
・法定福利費等の計算に当たっては、合理的な方法に基づく概算によることが可能
※任意加入とされている制度に係る増加分(例えば、退職手当共済制度等における掛金等)は含まない

▽賃金改善実施期間の設定にあたって、「賃金改善実施月」は必ずしも算定対象月と同一ではなくてもよいが、例えば、次のいずれかのパターンの中から事業者が任意に選択する(配分のあり方について予め労使の合意を得るよう、可能な限り努める)
【例】6月に算定する新加算の配分
・6月の労働時間に基づき、6月中に見込額で職員に支払うパターン
・6月の労働時間に基づき、7月中に職員に支払うパターン
・6月サービス提供分の介護報酬が、7月の国保連審査を経て、8月に各事業所に振り込まれるため、8月中に職員に支払うパターン

▽実績報告において「賃金改善額<新加算等の加算額」となった場合には、算定要件を満たさないものとして「加算の返還」の対象となる
→ただし、「不足する部分の賃金改善を賞与等の一時金として介護職員等に追加的に配分す る」ことで、返還を求めない取り扱いとしてよい

▽「2024年度の2.5%、25年度の2.0%のベースアップ」は処遇改善加算の算定要件ではなく、「各事業所等で目指すべき目標」である
→2025年度賃金改善分の一部を前倒し、本来の2024年度賃金改善分と併せることも可能
→2024年度の加算額の一部を、2025年度に「繰り越し」て賃金改善に充てることも可能(この場合、予め労使の合意を得るよう努める)



また賃金改善の対象者・対象事業者については、次のような点が明確にされました。

▽賃金改善の対象者、新加算等の各事業所内における配分は、▼介護職員への配分を基本とする▼「特に経験・技能のある職員」に重点的に配分する—こととし、「事業所内での柔軟な職種間配分」を認める

▽▼EPAによる介護福祉士候補者▼外国人の技能実習制度における介護職種の技能実習生▼介護分野の1号特定技能外国人—も新加算等の対象となる

▽介護職員その他の職員が「派遣労働者」の場合も新加算等の対象とすることは可能で、賃金改善を行う方法等について派遣元と相談した上で、対象とする派遣労働者を含めて処遇改善計画書や実 績報告書を作成する
→その際、新加算等を原資とする派遣料等の上乗せが「派遣元から支払われる派遣職員の給与」に上乗せされるよう派遣元と協議する
→在籍型の出向者、業務委託職員も同様

▽事業所(法人)全体での賃金改善が要件を満たしていれば、「一部の介護職員を対象としない」ことも可能
→ただし、「一部の職員に賃金改善を集中させる」「同一法人内の一部の事業所のみに賃金改善を集中させる」など、職務内容・勤務実態に見合わない著しく偏った配分は不可
→事業者等は「当該事業所における賃金改善を行う方法」などについて職員に周知し、職員から照会があった場合は「当該職員の賃金改善の内容」を書面を用いるなど分かりやすく回答する

▽介護サービスと障害福祉サービス等を両方実施し、職員が兼務等を行っている場合でも「介護サービス事業所における賃金について、常勤換算方法による計算をし、按分し計算する」ことを想定している
→計算が困難な場合等には実際にその職員が収入として得ている額で判断してよい

▽法人本部の人事担当者など「介護サービス事業者等のうちで介護に従事していない職員」については次のように考える
→新加算等の算定対象となるサービス事業所等の業務を行っていると判断できる場合は賃金改善対象に含めることが可能
→新加算等を算定していない介護サービス事業所等(加算対象外サービス事業所等を含む)、介護保険以外サービスの事業所等の職員は、新加算等を原資とする賃金改善の対象に含めることは不可



また、月額賃金改善要件において「基本給等以外の手当、一時金で行っている賃金改善の一部を減額し、その分を基本給等に付け替えることで本要件を満たすとしてよい」とされていますが、この点について、▼事業所全体での賃金水準が低下しないようにする▼各職員の賃金水準が低下しないよう努める—との双方を満たすべきことが明示されています。

キャリアパス要件IからV、現時点の考え方を明確化

さらに、キャリアパス要件I-IIIについては、次のような点が明確化されました。

▽キャリアパス要件Iにおける「就業規則『等』の明確な根拠規定を書面で整備する」のうち、「等」とは「法人全体の取扱要領」「労働基準法上の就業規則作成義務のない事業場(常時雇用者10人未満)における内規」などが想定される

▽キャリアパス要件IIにおける「介護職員と意見を交換しながら」とは、例えば▼対面▼労働組合との意見交換▼メール等による意見募集—など、様々な方法で、可能な限り多くの介護職員の意見を聴く機会を設けるような配慮が望まれる

▽キャリアパス要件IIの「資質向上のための目標」とは、例えば▼利用者のニーズに応じた良質なサービスを提供するための介護職員が技術・能力(例:介護技術、コミュニケーション能力、協調性、問題解決能力、マネジメント能力など)の向上に努めること▼事業所全体での資格等(例:介護福祉士、介護職員基礎研修、訪問介護員研修等)の取得率向上—などが考えられる

▽キャリアパス要件IIにおいて「資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供、技術指導等を実施(OJT、OFF-JT等)するとともに、介護職員の能力評価を行うこと」とあるが、この「資質向上のための計画」には基準や様式は定めず、事業者の運営方針や事業者が求める介護職員像・介護職員のキャリア志向に応じて適切に設定してほしい
→計画期間等の定めもなく、必ずしも賃金改善実施期間と合致しなくともよい
(計画の例)

キャリアパス要件IIの資質向上計画についての具体例(介護職員等処遇改善加算QA4 240315)



▽キャリアパス要件IIの「介護職員の能力評価」としては、「個別面談等を通して、例えば、職員の自己評価に対し、先輩職員・サービス担当責任者・ユニットリーダー・管理者等が評価を行う」手法が考えられる
→こうした機会を適切に設けているのであれば、必ずしも全ての介護職員に対して評価を行う必要はないが、「介護職員の自己認識が事業者全体の方向性の中でどのように認められているのかを確認しあう」ことが重要で、その趣旨を踏まえ適切に運用してほしい

▽キャリアパス要件IIIは「経験、資格、評価に基づく昇給の仕組みを設ける」ことを要件とし、キャリアパス要件Iは「職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備する。昇給に関する内容を含めることまでは求めない」としている

▽キャリアパス要件IIIの「昇給方式」は、「基本給による賃金改善」が望ましいが、基本給、手当、賞与等を問わない

▽非常勤職員や派遣職員も含め、キャリアパス要件IIIでは「事業所や法人に雇用される全ての介護職員が対象となり得る」必要がある
→介護職員であれば、派遣労働者であっても、派遣元と相談の上、新加算等の対象とすることが可能(この場合、計画書・実績報告書は派遣労働者を含めて作成する)
→キャリアパス要件IIIを満たす必要があり、派遣労働者を新加算等の対象とする場合には、当該派遣職員についても「キャリアパス要件Ⅲに該当する昇給の仕組み」整備が必要

▽「一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み」とは、「客観的な評価基準や昇給条件が明文化されている」ことを要する
→判定時期は事業所の規模や経営状況に応じて設定してよいが、「明文化」が必要



また新加算I・IIに適用されるキャリアパス要件IVに関しては、次のような点が示されました。

▽「2025年度以降、月額8万円以上」との従前の特定加算要件は、3加算一本化により廃止するが、激変緩和措置として「2024年度に限り、旧特定加算相当の加算額を用いて月額8万円以上の改善を行っていればよい」としている
→その際、「旧特定加算相当の加算額」は、例えば「2024年6月以降、新加算Iを算定する」場合であれば、「6月以降も旧特定加算Iを算定し続けた場合に見込まれる加算額」を用いるなどの適当な方法で推計してよい

▽新加算等による賃金改善後の年収が440万円以上(2024年度には「旧特定加算相当による賃金改善の見込額が月額8万円以上」の場合を含む)か判断するにあたっては「手当等を含めて判断」する
→処遇改善後の賃金「440万円」には、社会保険料等の事業主負担、その他の法定福利費等は含めずに判断する

▽介護保険サービスと介護予防・日常生活支援総合事業を一体的に運営しており、同一の就業規則等が適用されるなど「労務管理が一体」と考えられる場合は、同一事業所とみなして、「年収が440万円以上となる者を合計1人以上設定する」ことでキャリアパス要件IVを満たすと考えてよい
→「介護給付と予防給付」「施設と短期入所」「老健施設と併設通所リハビリ」「特養ホームと併設ショートステイ」「老健施設と併設医療ショート」も同様に考える
→「老健施設と併設通所リハビリ」では、原則として「それぞれで要件を満たす(年収440万円となる者をそれぞれに設定する)」必要があるが、「キャリアパス要件IVを満たす職員要件は、処遇改善計画書作成を一括して行う同一法人全体として満たしていればよい」ので、例えば「老健施設で2人、年収440万円となる者を設定する」ことでもよい
→「介護保険の共生型指定を受け共生型サービスを提供している事業所」では、介護保険の共生型サービスとして「年額440万円となる者」を1人以上設定しなければならない(介護サービス+障害福祉サービスでも同様)
を両方行っている事業所につ いても同様に扱われたい。ただし、小規模事業所等で加算額全体が少額である場合等は、 その旨を説明すること。



また新加算Iのみに適用されるキャリアパス要件Ⅴに関しては、次のような考え方が示されました。

▽介護福祉士等の配置要件について、特定施設、特別養護老人ホームでは「サービス提供体制強化加算I・IIに加え、入居継続支援加算I・IIまた日常生活継続支援加算I・IIの算定」で満たすことになるが、「喀痰吸引を必要とする利用者の割合についての要件等を満たせないことにより入居継続支援加算や日常生活継続支援加算を算定できない状況が常態化し、3か月以上継続した場合」には変更届け出を行うこととされており、「3か月間以上継続」しなければ変更届け出は不要
→入居継続支援加算等を算定できない状況が常態化し3か月以上継続した場合に変更届け出を行うが、変更届け出の4か月目以降、旧特定加算I・新加算Iから旧特定加算II・新加算IIへの算定区分変更となる。

▽「要件を満たさない状態が3か月間以上継続しなければ変更届け出が不要な場合」には、「喀痰吸引を必要とする利用者の割合」のほかに、「日常生活継続支援加算の新規入所者の要介護度」「認知症日常生活自立度」に係る要件が含まれる
→これらの要件を満たせないことにより入居継続支援加算・日常生活継続支援加算を算定できない場合は、それが3か月間以上継続しなければ、継続して新加算I等の要件を満たすと考えてよい



このほか、▼職場環境等要件の24項目について「毎年、新規に取り組む」を行う必要はない(例えば新加算等を前年度から継続して算定する場合、従前の取り組みを継続していればよい)▼地域密着型サービスの市町村独自加算について「新加算等の算定における介護報酬総単位数」に含めてよい—ことも示されました。



新たな加算であり、運用する中で介護事業所等には新たな疑問が生じることでしょう。それらを踏まえてQ&Aは順次追加されていきます。



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2024年度介護報酬改定では「介護人材確保」が最重要ポイント、介護経営安定と制度安定のバランスも鍵—社保審・介護給付費分科会(2)
介護報酬改定の施行時期、「4月を維持」すべきか、「診療報酬と合わせ6月施行」とすべきか—社保審・介護給付費分科会(1)
2024年度介護報酬改定、小規模事業所のBCP策定や老健の高額薬剤使用等もポイント、認知症研修は極めて有用―介護給付費分科会・研究委員会
介護職員の加算、算定率の高いものは基本報酬に組み入れ、著しく低いものは背景を踏まえ廃止も含めた検討進める—社保審・介護給付費分科会
介護職員の処遇改善、ICT・介護助手活用による生産性向上、サービスの質を確保した上での人員基準柔軟化など検討—社保審・介護給付費分科会
認知症対策、介護サービスの質向上目指すLIFE、医療介護連携、とりわけ医療・介護間の情報連携等を強力に推進—社保審・介護給付費分科会
特定施設入居者生活介護の医療対応力・看取り対応力強化のために、どのような方策が考えられるのか—社保審・介護給付費分科会(5)
一部の特養ホームで「緊急時はすべて救急搬送する」事態も、特養入所者への医療提供をどう確保していくべきか—社保審・介護給付費分科会(4)
老健施設の「在宅復帰・在宅療養支援機能の更なる強化」を2024年度介護報酬改定でも目指す—社保審・介護給付費分科会(3)
介護医療院は医療施設だが「肺炎による医療機関転院」も生じている、さらなる医療・介護力強化が重要課題を—社保審・介護給付費分科会(2)
要介護者に適切な医療提供が行え、医療サイドに生活情報が伝わるよう、中身のある医療・介護連携推進を—社保審・介護給付費分科会(1)
介護保険の要となる「ケアマネの確保、ケアマネ事業所の安定経営」、訪問介護人材の確保にどう対応すべきか—社保審・介護給付費分科会(2)
訪問看護と訪問リハビリの役割分担を明確化、リハビリ専門職による訪問看護をさらに適正化—社保審・介護給付費分科会(1)
介護保険リハビリのアウトカム評価をどう考えていくか、高齢者は「リハビリ効果出にくい」点考慮を—社保審・介護給付費分科会(2)
通所サービスの介護報酬大規模減算は「事業所等の大規模化」方針に逆行、一般通所介護でも認知症対応力向上—社保審・介護給付費分科会(1)
認知症グループホームでの「医療ニーズ対応」力強化をどう図るか、定期巡回と夜間訪問との統合は2027年度目指す—社保審・介護給付費分科会
2024年度介護報酬改定論議スタート、地域包括ケアシステム深化・介護人材確保などがサービス共通の重要論点—社保審・介護給付費分科会
介護ロボット・助手等導入で「質を下げずに介護従事者の負担軽減」が可能、人員配置基準緩和は慎重に—社保審・介護給付費分科会(2)

日常診療・介護の中で「人生の最終段階に受けたい・受けたくない医療・介護」の意思決定支援進めよ!—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
訪問看護の24時間対応推進には「負担軽減」策が必須!「頻回な訪問看護」提供への工夫を!—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
急性期入院医療でも「身体拘束ゼロ」を目指すべきで、認知症対応力向上や情報連携推進が必須要素—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
感染対策向上加算の要件である合同カンファレンス、介護施設等の参加も求めてはどうか—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
要介護高齢者の急性期入院医療、介護・リハ体制が充実した地域包括ケア病棟等中心に提供すべきでは—中医協・介護給付費分科会の意見交換