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【2024年度介護報酬改定2】ケアマネの基本単位数や特定事業所加算の単位数引き上げ、利用者数区分の見直し(緩和)も実施

2024.1.22.(月)

2024年度の次期介護報酬改定に向けて、1月22日に開催される社会保障審議会・介護給付費分科会において、新単位数などの諮問が行われます。「分科会での審議・答申→パブリックコメント募集」を経て、その後に告示公布・通知等発出がなされます。

●新単位数表などはこちら
●改定内容の全体像はこちら
●改定内容の概要はこちら



改定内容は膨大なため、何回かに分けて見ていきます。本稿では「居宅介護支援」(ケアマネジメント)に焦点を合わせます。ケアマネ介護報酬見直しは「本年(2024年)4月1日から施行」されます(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

ケアマネの基本単位数引き上げ、利用者数区分も見直し

2024年度介護報酬改定については、昨年(2023年)12月20日の武見敬三厚生労働大臣・鈴木俊一財務大臣の折衝によって、「1.59%のプラス改定を行い、このうち0.98%は「介護職員等の処遇改善」に充てられ、残り0.61%が「実質的な本体プラス」部分となる。なお、この0.61%の中で「看護職員やケアマネジャーなどの処遇改善」対応を行うなどの方針が固められました。

訪問看護ステーションやケアマネ事業所などは「処遇改善加算の対象外」であることから、「0.61%の『実質的な本体プラス』部分の中で処遇改善に対応する」ことになります。具体的には「基本単位数引き上げ」を行い、各事業所がこの増収分をもとに「居宅介護支援事業所のケアマネジャーの処遇改善」を行うなどの対応が考えられます。

1月22日の介護給付費分科会には、居宅介護支援・介護予防支援について次のような基本単位数引き上げを行う考えが厚生労働省老健局老人保健課の古元重和課長から提案されました。「要介護者が増加する一方で、ケアマネジャー確保が難しくなっている」点に鑑み、取り扱い件数の区分も見直されています。

【居宅介護支援費(I)】(居宅介護支援費(II)を算定していない事業所)
●居宅介護支援費(i)(現行「1-44件」→改定後「1-49件」)
▽要介護1・2:(現行)1076単位 → (改定後)1086単位
▽要介護3・4・5:(現行)1398単位 → (改定後)1411単位

●居宅介護支援費(ii)(現行「45-59件」→改定後「50-59件」)
▽要介護1・2:(現行)539単位 → (改定後)544単位
▽要介護3・4・5:(現行)698単位 → (改定後)704単位

●居宅介護支援費(iii)(60件以上)
▽要介護1・2:(現行)323単位 → (改定後)326単位
▽要介護3・4・5:(現行)418単位 → (改定後)422単位



【居宅介護支援費(II)】
(現行「ICT機器活用・事務職員配置を行う事業所」→改定後「指定居宅サービス事業者等との間で居宅サービス計画に係るデータを電子的に送受信するためのシステムの活用・事務職員配置を行う事業所」、指定介護予防支援の提供を受ける利用者数の取扱件数を現行「2分の1換算」から改定後「3分の1換算」に見直し)
●居宅介護支援費(i)(現行「1-44件」→改定後「1-49件」)
▽要介護1・2:(現行)1076単位 → (改定後)1086単位
▽要介護3・4・5:(現行)1398単位 → (改定後)1411単位

●居宅介護支援費(ii)(現行「45-59件」→改定後「50-59件」)
▽要介護1・2:(現行)522単位 → (改定後)527単位
▽要介護3・4・5:(現行)677単位 → (改定後)683単位

●居宅介護支援費(iii)(60件以上)
▽要介護1・2:(現行)313単位 → (改定後)316単位
▽要介護3・4・5:(現行)406単位 → (改定後)410単位



【介護予防支援費】
▽地域包括支援センターが行う場合:(現行)438単位 → (改定後)442単位
▽指定居宅支援事業所が行う場合:(現行)— → (改定後)472単位

【特定事業所加算】の評価引き上げ、ターミナルケアマネジメント加算の要件見直しなど

居宅介護支援(ケアマネジメント)については、介護給付費分科会において次のような加算等の見直し方針も固められており、例えば次のような新加算創設・加算単位数引き上げが行われます(ほかの見直しも行われ、別稿でも紹介します)。

まず【ターミナルケアマネジメント加算】について、次のような見直しが行われます。より積極的に「自宅での看取り」を支援する狙いがあります。

▽自宅で最期を迎えたいと考えている利用者の意向を尊重する観点から、「人生の最終段階における利用者の意向を適切に把握する」ことを要件とする

▽対象となる疾患を末期の悪性腫瘍に限定せず、「医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断した者」を対象とする

▽医療・介護連携に総合的に取り組むケアマネ事業所の評価である【特定事業所医療介護連携加算】では、「ターミナルケアマネジメント加算の算定回数」が要件となっているが、現行の「5回以上」から「15回以上」に厳格化する(加算取得のためにより積極的に自宅看取り支援を行うことが求められる)



また、介護報酬が業務に要する手間・コストを評価するものであることを踏まえて、▼利用者が居宅介護支援事業所と併設・隣接しているサービス付き高齢者向け住宅等に入居している場合▼複数の利用者が同一の建物に入居している場合—には、基本単位数を「95%に減額する」(5%減算)の規定が新設されます。具体的な対象利用者については、次のような考え方が示されました。

▽指定居宅介護支援事業所の所在する建物と同一の敷地内、隣接する敷地内の建物、または指定居宅介護支援事業所と同一の建物に居住する利用者
▽指定居宅介護支援事業所における1か月当たりの利用者が同一の建物に20人以上居住する建物(上記を除く)に居住する利用者



さらに、中重度者や支援困難ケースへの対応、専門性の高い人材の確保など、公正中立で質の高いケアマネジメントを実施している事業所を評価する【特定事業所加算】について、次のような単位数引き上げや算定要件見直しなどが行われます。

【単位数】
▽加算(I):(現行)505単位 → (改定後)519単位
▽加算(II):(現行)407単位 → (改定後)421単位
▽加算(III):(現行)309単位 → (改定後)323単位
▽加算(A):(現行)100単位 → (改定後)114単位

【算定要件等】
▽多様化・複雑化する課題に対応するための取組を促進する観点から、「ヤングケアラー、障害者、生活困窮者、難病患者等、他制度に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加していること」を要件とする
▽(主任)介護支援専門員の専任要件について、居宅介護支援事業者が介護予防支援の提供や地域包括支援センターの委託を受けて総合相談支援事業を行う場合は、これらの事業との兼務が可能である旨を明確化する
▽事業所における毎月の確認作業等の手間を軽減する観点から、運営基準減算に係る要件を削除する
▽介護支援専門員が取り扱う1人当たりの利用者数について、居宅介護支援費の見直しを踏まえた対応を行う(上述参照)



このほか、▼業務継続計画(BCP)未策定事業所に対する減算を2024年度改定で導入するが、ケアマネ事業所は「2025年3月31日」まで減算を適用しない▼一部の福祉用具(固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉づえを除く)、〇多点杖)について「貸与」と「販売」の選択制を導入し、ケアマネ事業所も情報管理に関与する—などの対応も行われます。



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