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施設・居住サービスの【新興感染症等施設療養費】、看多機の「利用が週平均1回に満たない場合」減算の考え方明確化(2024年度介護報酬改定)

2025.1.27.(月)

厚生労働省は1月22日に、2024年度介護報酬改のQ&A(Vol.12)を公表しました(厚労省サイトはこちら)。今回は、▼居住系サービス・施設系サービスの【新興感染症等施設療養費】▼【看護小規模多機能型居宅介護】におけるサービス提供が過少である場合の減算—について、介護現場の疑問に答えています。

●2024年度介護報酬改定に関する記事はこちら
●2024年度介護報酬改定に関する厚労省サイトはこちら

施設・居住系サービスの【新興感染症等施設療養費】、対象疾患は厚生労働大臣が定める

新型コロナウイルス感染症の流行下では、「医療提供体制の逼迫」が大きな問題となりました。その1つとして、高齢患者がコロナ感染症に罹患して入院した場合、治療を終えて後も「ADL低下」などにより退院がかなわず、新規患者を受け入れられない状態に陥るという問題がありました。

そこで、高齢者施設等の入所者がコロナ感染症に罹患したものの、比較的軽症である場合には「必要な感染予防策を講じた上で、施設内での療養を行う」(病院へ入院せず、施設で療養を続ける)ことが次善の策として求められ、厚労省はこうした対応を行う高齢者施設等への補助を行いました(▼施設内療養者1名につき15万円の支援(15日以内に入院した場合は、施設内療養期間に応じ1日当たり1万円)▼蔓延防止等重点措置区域等の施設等で、療養者数が一定数を超える場合には施設内療養者1名につき更に1日当たり1万円の追加補助—で、両者をあわせて最大30万円、関連記事はこちら)。

2024年度の介護報酬改定では、次なる新興感染症の発生時に備えて、この支援策を【新興感染症等施設療養費】として施設・居住系サービスの介護報酬に位置付けました。

具体的には、新興感染症のパンデミック発生時等において、施設内で感染した高齢者に対して必要な医療やケアを提供する観点や、感染拡大に伴う病床ひっ迫を避ける観点から、入所者等が「厚生労働大臣が定める感染症」(今後、パンデミック発生時に必要に応じて指定、現時点には指定されている感染症はない)に感染した場合に▼相談対応▼診療▼入院調整—などを行う医療機関を確保し、かつ、当該感染症に感染した入所者等に対し、適切な感染対策を行った上で、該当する介護サービス(下記)を行った場合に、1か月に1回、連続する5日間を限度として「1日当たり240単位」の算定を認めるものです。

【対象介護サービス】
(介護予防)特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、(介護予防)認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院

新興感染症等施設療養費の概要(2024年度介護報酬改定)



今般のQ&A12では、上述のとおり「対象感染症は、今後のパンデミック発生時等に必要に応じて厚生労働大臣が指定する」ため、本年(2024年)4月以降指定されている感染症はなく、例えば新型コロナウイルス感染症や季節性インフルエンザ等に感染した入所者には【新興感染症等施設療養費】を算定できないことが明示されています。

看多機の「利用が週平均1回に満たない場合」の減算は、当該利用者のみが減算対象

2024年度介護報酬改定では、【看護小規模多機能型居宅介護】(看多機)に「減算」規定が新設されました。

看多機は、いわば「通い・泊り・訪問サービスを一体的に実施する小規模多機能型居宅介護(小多機)」に「訪問看護サービス」を付加した複合型サービスです。「医療ニーズの高い要介護高齢者に、「馴染みのスタッフが一体的に通い・泊り・訪問サービスを提供し、在宅生活を長く送れるようにする」ことを目指すものと言えます。

ただし、▼「泊まり」「通い」は要介護度が高くなるほど利用が多くなるが、「訪問」は要介護3が最も多い(要介護度と利用頻度が必ずしも相関しない)▼「利用料が高い」、「通い、泊まり、訪問看護、訪問の全ては必要ない」という理由で登録(利用)に至らない要介護者も一定程度いる—といった状況も明らかになってきています。

看多機では、通い・泊り・訪問サービスを一体的に提供するために「1か月あたりの包括報酬」が設定されています。しかし「現時点では、一部のサービスだけ利用できれば良い」という利用者にとっては、この包括報酬が「高い」と感じられる事態を生んでしまっているようです。

看多機の利用状況(社保審・介護給付費分科会2 2310123)

看多機登録にならなかった理由(社保審・介護給付費分科会3 2310123)



そこで「利用実態に合わせた報酬の調整」、つまり「利用が少ない場合には報酬を引き下げる」という対応が社会保障審議会・介護給付費分科会で検討され、「算定月における提供回数について、週平均1回に満たない場合」または「登録者(短期利用居宅介護費を算定する者を除く)1人当たりの平均回数が週4回に満たない場合」には、基本報酬を3割減算するという規定が設けられたのです。

看多機における柔軟サービス利用促進(2024年度介護報酬改定)



今般のQ&A12では、前者の「算定月における提供回数について、週平均1回に満たない場合」の減算について、「当該利用者のみが減算の対象となる」ことが明示されました。



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