医療・介護連携を「情報面」からも進めるため、まず【診療情報提供書】【訪問看護指示書・計画書・報告書】の電子的共有を検討
2026.3.23.(月)
医療・介護連携を「情報面」でも進めるために、まず【診療情報提供書】【訪問看護指示書・計画書・報告書】の電子的共有を進めていく―。
さらに、【入退院情報】などの情報連携も引き続き検討していく―。
3月18日に開催された健康・医療・介護情報利活用検討会の「医療等情報利活用ワーキンググループ」と「介護情報利活用ワーキンググループ」の合同会議が開かれ、こうした方針が固められました。さらに詳細を合同会議で検討し、今夏(2026年夏)に開発方向に向けた取りまとめを行う予定です。

3月18日に開催された「健康・医療・介護情報利活用検討会」の「第30回 医療等情報利活用ワーキンググループ」と「第10回 介護情報利活用ワーキンググループ」との合同会議
医療・介護連携を「情報面」からも積極的に進める
Gem Medで繰り返し報じているとおり、より質の高い医療・介護を効率的・効果的に提供するために、過去の診療情報やケア情報などを全国の医療機関・介護事業所・患者・利用者で共有する仕組みの構築・運用が進められています。
医療については、「全国の医療機関や患者自身がレセプト情報を共有する仕組み」が既に運用されるとともに、「全国の医療機関や患者自身が、より詳細な電子カルテ情報を共有する仕組み」(電子カルテ情報共有サービス)の構築が進められています(関連記事はこちら)。
電子カルテ情報共有サービスでは、▼3文書(診療情報提供書、退院時サマリ、健康診断結果報告書)▼6情報(傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報(救急及び生活習慣病)、処方情報)—について形式の標準化を行い、医療機関等から支払基金等の「電子カルテ情報共有サービス」に【登録】等し、必要に応じて全国の医療機関等や患者自身が【閲覧】を可能とします。現在、モデル事業が行われており、そこで明らかになった課題等への対応を行った後、来年度(2026年度)の冬頃(2027年1、2月頃)をメドに「全国展開」(本格運用の開始)を目指すスケジュールが描かれています(関連記事はこちら)。

電子カルテ情報共有サービスの概要

諸課題の改善を図ったうえで、2027年1、2月頃から電子カルテ情報共有サービスの全国展開(本格運用)を目指す(医療等情報利活用ワーキング7 251224)
介護については、まず▼要介護認定情報▼請求・給付情報(レセプト)▼LIFEデータ(ケアの内容と効果)▼ケアプラン—の4情報について、介護事業所、行政、利用者が共有可能とする仕組みが構築され(介護情報基盤)、2026年4月より「準備の整った市町村」から順次利用可能となります(関連記事はこちらとこちら)。

介護情報基盤で共有される情報(黒い太字部分)

介護情報基盤の運用等に関するスケジュール
ところで、電子カルテ情報共有サービスでは「医療に関する情報」を、介護情報基盤では「介護に関する情報」を共有できますが、医療・介護の複合ニーズを抱える高齢者が増加する中で「医療・介護連携」が極めて重要となり、「医療機関で介護に関する情報を、介護事業所で医療に関する情報を共有できる」環境の整備にも期待が集まります。
このため、「医療等情報利活用ワーキンググループ」と「介護情報利活用ワーキンググループ」の合同会議において「どういった情報を医療・介護間で連携することが有用か」という議論が始まりました。
3月18日の合同会議では、まず、一定の標準様式の検討がなされている【診療情報提供書】と【訪問看護指示書・計画書・報告書】について医療・介護間での連携を検討してはどうかとの方向が厚生労働省から示されました。どういった形で情報を共有するのか(電子カルテ情報共有サービス、介護情報基盤の中で情報を共有するのか、別の仕組みを考えるのか)などの詳細は、現場のニーズも踏まえらながら検討していくことになるでしょう。
また、このほか、「すでに医療・介護間でやりとりされているリハビリテーション計画書についても、標準仕様の作成等、電子化に向けた検討を進める」「入退院情報などの、その他の文書の連携については、様式の標準化、今後の実装タイミング含め、引き続き検討を進める」方針も示されました。
両ワーキングの構成員もこの方向を了承しており、今後、具体的な検討が進められ、今夏(2026年夏)に「開発の方向性に係るとりまとめ」を行う予定です。
構成員からは▼医療・介護双方で共有されることが多く、実現可能性の高い情報から共有を進める考え方は妥当である。今後、情報共有を電子カルテ情報共有サービス・介護情報基盤にどう実装するのかは、モデル事業なども行い、丁寧に進めてほしい(長島公之・医療WG構成員:日本医師会常任理事)▼情報セキュリティについては介護側が理解しやすいガイドラインなどを作成・普及する必要がある。また介護分野にはケアプランデータ連携システムも設けられているが十分に普及していないようだ。コスト面も含めて、介護側が利用しやすい環境・体制をセットで検討してほしい(江澤和彦・介護WG構成員:日本医師会常任理事)▼段階的に進めることはやむを得ないが、最終の姿を一定程度描き、計画的に進めるべき。また情報セキュリティのレベルについて、医療と介護では差があり、どう整合性を図るかが重要となる。レベルを下げることは好ましくないが、介護側への配慮も検討する必要がある(小尾高史・医療WG構成員:東京科学大学総合研究院教授)▼セキュリティに関しては、介護側が「より高いレベルの医療側に合わせる」ことが必要だが、その際、モデルケースなども含めて、介護側に分かりやすく対応方法を提示する必要がある(高倉弘喜・医療WGこう成員:国立情報学研究所ストラテジックサイバーレジリエンス研究開発センター長)▼医療・介護の複合ニーズを抱え、複数の医療機関・複数の事業所で医療・介護サービスを受ける高齢者により適切なサービスを行えるよう、医療・介護情報の連携を進めていく必要がある(山本則子・介護WG構成員:日本看護協会副会長)▼多様な専門職が情報を共有し、より良質なサービス提供につながることが期待される。今回の情報共有が多職種連携の軸になると良い(橋本美穂・医療WG構成員:日本看護協会常任理事)▼現場が容易に情報を取得できるような仕組みを検討してほしい。また同意取得の在り方について、丁寧に検討していく必要がある(田宮菜奈子・医療WG構成員:筑波大学医学医療系教授)▼情報連携は好ましいが、患者・利用者サイドが「どの情報が、どの範囲の関係者に共有されているのか」を確認できる仕組みとすべき(山口育子・医療WG構成員:ささえあい医療人権センターCOML理事長)—など、多様な視点からの意見・注文が出ています。
今後の検討、さらに、その後の開発・実装に向けて、こうした意見・注文も十分に勘案されます。
なお、情報連携を実装するに当たっては「同意のあり方」や「情報共有の具体的な経路」などを検討する必要があり、これらの詳細は電子カルテ情報共有サービス・介護情報基盤の両システムの考え方を踏まえて検討することになります。
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