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GemMed塾 看護モニタリング

厚労省、医療従事者の需給見通しを検討へ、地域医療構想とリンク

2015.8.21.(金)

 地域医療構想の策定に各都道府県が着手したのを受けて、医師や看護師など医療従事者の需給見通しの検討を厚生労働省が始めることが明らかになりました。政府が6月に公表した2025年時点での機能別の必要病床数をベースに、病床機能ごとの医療ニーズの変化と、これに対応するのに必要なマンパワーの見通しをマクロ的に示し、限られた医療資源の効率的な活用につなげるのが狙いです。

 同省ではこれまでに、医師や看護師の需給見通しをそれぞれまとめていますが、地域医療構想に沿って医療提供体制を再編する方向性が固まったのを受けて、あらためて検討する必要があると判断しました。医療関係団体や有識者らによる会議を近く立ち上げ、検討をスタートさせたい考えです。同省では「(新たな需給見通しを)地域医療構想の実現につなげたい」と話しています。

 高齢化に伴い医療ニーズが急激に高まる25年にかけて、医療機関の一般病床と療養病床は、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」に、地域ごとに再編されることになっています。政府の社会保障制度改革推進本部の専門調査会が6月に公表した試算では、25年時点での病床機能ごとの必要数は、高度急性期13.0万床、急性期37.5万床、回復期37.5万床、慢性期24.2万-28.5万床という結果で、30万人程度には在宅医療などでの対応が必要としています。

 このうち、高度急性期や急性期では濃密な治療が必要な患者の受け入れを想定していて、医師や看護師など手厚い人員配置が必要です。ただ、将来的な不足が予想される回復期を整備するため、厚労省では急性期病床からの移行を促す方針を示しています。これらの病床では理学療法士や作業療法士などリハビリテーションスタッフの手厚い配置が求められます。

 新たな需給見通しの検討に着手するのは、こうした病床再編の流れを前提に医師や看護師のほか、理学療法士などがどれだけ必要になるのかをマクロな視点で見極めるためです。今後は、少子高齢化によって医療ニーズが高まる一方、医療従事者の供給が先細りになるのは避けられず、限られた人材の有効活用や、対応策の検討につなげるのが狙いで、必要病床数の推計値をベースに、病床機能ごとのニーズをまず割り出します。

 ただ、厚労省では今回の需給見通しについて、高度急性期など病床機能ごとの人員配置の検討と直接はリンクしないとしています。

 検討会では、1年程度をかけて需給見通しを立て、その後は、特定の地域や診療科への医師の偏在の解消策も話し合います。医学部の定員は08年以降、暫定的な増員が行われていて、厚労省では、人口10万人当たりの医師数が25年には経済協力開発機構(OECD)の加盟諸国の水準を超えるとみています。そのため文部科学省とも連携して、暫定措置の取り扱いも必要に応じて検討します。

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