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病床機能報告 病床ユニット

「予後不良なタイプの白血病」発症メカニズムの一端が明らかに、今後の分子標的薬開発につながると期待―国がん

2024.4.26.(金)

「予後不良なタイプの白血病」の発症メカニズムの一端が明らかになり、今後の治療薬(分子標的薬)開発につながると期待される—。

国立がん研究センターや東京大学大学院等の研究グループが先頃、このような研究成果「白血病を引き起こすタンパク質がゲノムに作用するメカニズムを解明」を公表しました(国がんのサイトはこちら)。

「NUP98-JADE2融合タンパク質が白血病を引き起こすメカニズム」の一端を解明

若年層で最も多いがんである「白血病」には、「現行の治療法では治癒をもたらすことが難しい予後不良タイプ」があります。この予後不良タイプの1つに「遺伝子異常の一種である『染色体転座』によって生み出されるNUP98とHBO1タンパク質複合体の構成因子であるHBO1やJADE2との融合タンパク質」が非常に強い発がんドライバーとして機能するものがあります。しかし、「HBO1」や「JADE2」が、がん化にどのように関与しているかはよく分かっていません。

「HBO1/JADE1 複合体によってアセチル化される基質」が「ヒストンのメチル化状態」によって変化する



そこで研究グループは、JADEタンパク質に含まれる「PZP」という構造に着目し、その機能を調べたところ次のような点が明らかになりました。

▽PZPドメイン(領域)は「ヒストンH3」というタンパク質の一部分と結合し、その部分に「さらなる目印」がつからないように働く
→しかし、「ヒストンH3」タンパクを構成する一部アミノ酸(4番目のリジン)に、あらかじめ「メチル化」という目印が付加されていると、PZPドメインはヒストンH3と結合できなくなる
→その結果、自由になったヒストンH3が「新たな目印」を受け入れるようになる

▽JADEタンパク質に結合するHBO1には、「アセチル化」という目印を付加する働きがある
→上述のとおり、「ヒストンH3」がメチル化の目印を持っていない時にはPZPドメイン(領域)が「ヒストンH3」と結合するために、HBO1は別の「ヒストンH4」にアセチル化の目印を付加する
→しかし、「ヒストンH3」がメチル化の目印を持つ場合には、JADEタンパク質中のPZPドメイン(領域)が「ヒストンH3」に結合できなくなり、HBO1が「ヒストンH3」の方にアセチル化の目印を不可するようになる

「PZPドメイン(領域)を欠失したJADEタンパク質」はゲノム上の標的領域に効率よく結合することができない



▽こうした目印の付け替えはゲノムの中で信号機のような働きをし、細胞の中でゲノムの「適切な場所の遺伝子」が「適切なタイミング」で活性化するために重要となる



▽PZPドメイン(領域)はDNAとも非特異的に結合する
→PZPドメイン(領域)を失ったJADEタンパク質は、ゲノムにあまり結合できなくなっている
→結果、ゲノム上の標的となる場所に効率よく結合することができなくなる

「NUP98-JADE2」はPZPドメイン(領域)を失うと、白血病発症が低下する



▽これは、JADEタンパク質がゲノムをスキャンして特定の標的領域を見つける上でも「PZPドメイン(領域)とヒストンやDNAとの結合」が重要な働きをしていることを示す



▽遺伝子変異によって生まれた変異型のNUP98-JADE2融合タンパク質は、「適切でないタイミングで特定の遺伝子を活性化」することで、白血病を引き起こす
→白血病を引き起こすNUP98-JADE2融合タンパク質は、PZPドメイン(領域)を失うと白血病を引き起こす働きが著しく弱まる



こうした結果を踏まえ、研究グループでは「PZPドメイン(領域)が白血病治療薬の標的になりうる」と判断しています。



研究グループは、「NUP98-JADE2融合タンパク質が白血病を引き起こすメカニズム」の一端、とりわけ「JADE/HBO1複合体が特定のヒストン修飾を認識して、新たに修飾するヒストンの部位を選択している」ことを明らかにしました。

新たな「分子標的の発見」「分子標的薬の開発」につながると期待されます。



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