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GemMed塾 「看護必要度」新制度シミュ―レーション

80歳で歩いて外出できる「80GO」達成に向け、フレイル・ロコモ対策を進める―日本医学会連合

2022.4.14.(木)

フレイル・ロコモティブシンドローム(ロコモ)は健康寿命の短縮・要介護状態を引き起こす危険な状態である―。

しかし、フレイル・ロコモは予防・改善が可能であり、医学会をはじめ国全体が一丸となって国民の健康寿命延伸に貢献する―。

具体的には「80歳までの活動性維持を目指す80GO」運動を展開する―。

日本医学会連合は先頃、こうした内容を盛り込んだ「フレイル・ロコモ克服のための医学会宣言」を行いました(医学会連合のサイトはこちら(宣言)こちら(解説))。高齢化が進展する中で、極めて重要な「宣言」として注目する必要があるでしょう。

フレイル・ロコモの人は要介護リスクが4倍だが、予防・改善が十分に可能

フレイルとは「加齢に伴い抵抗力が弱まり、体力が低下した状態」と一般に定義されます。

ロコモティブシンドロームは、「運動器症候群、骨・筋肉・関節などの運動器の障害のために移動機能を低下した状態」と一般に定義されます。

広い年齢層で「運動器の軽度の機能低下」→「ロコモ」→「徐々に重症化」→「高齢者ではフレイルに至る」と整理することができます。

このフレイル・ロコモが、「要介護状態になるリスクを高める」ことは従前から指摘されており、「フレイルの人」では「そうでない人」に比べて要介護になるリスクが4.6倍、「ロコモの人」では「そうでない人」に比べて同じく3.6倍になるとの研究結果もあります(フレイルでは4.6倍、ロコモでは3.6倍)。

フレイルでは要介護リスクが4.6倍になる(フレイル・ロコモ克服宣言1 220401)

ロコモでは要介護リスクが3.6倍になる(フレイル・ロコモ克服宣言2 220401)



ただし、これも従前から指摘されていますが「ロコモ・フレイルは予防でき、さらに改善できる」(一度、ロコモ・フレイルになっても適切な医学的管理・指導により健康な状態に復帰することが十分可能である)ことも分かっています。

フレイル(虚弱)から要介護状態になる高齢者が多く、フレイル対策が非常に重要である

フレイル・ロコモ対策の方向(フレイル・ロコモ克服宣言3 220401)



このため医学会連合では「医学会」「市民」「産業界」「教育界」などが相互に連携し、フレイル・ロコモの克服に向けた対策に積極的に取り組むことが重要と強調。具体的に「80歳で歩いて外出できる」(車いすを利用する方では、自ら車いすを操作して外出できる)状態をイメージした「80GO」(ハチマルゴー)運動を展開していく考えを宣言しました。

あわせて80GOを実現するために、医学会では下表のような目標と方策を打ち立てました。医療面では、▼生活習慣病対策の充実(診療継続が重要である)▼急性期から慢性期まで切れ目のない領域横断的・全人的医療の実施(総合診療機能が重要となる)▼病態・疾患→フレイル・ロコモ→病態・疾患の悪化―という悪循環の克服▼保険診療におけるフレイル・ロコモ対策の促進―などを、介護面では▼介護予防事業とフレイル・ロコモ対策との整合性確保▼医療・介護・福祉の多職種連携体制の構築―などを打ち出しており、既存の「地域包括ケアシステム」ともマッチする内容と言えます。

80GOに向けた医学外の目標と方策(フレイル・ロコモ克服宣言4 220401)



なお、解説編では、各学会がフレイル・ロコモ対策に向けた、どういった取り組み(教育・研究・診療・社会活動)を行うのかが詳説されています。

たとえば日本整形外科学会では、▼整形外科での医学生教育プログラムにロコモを組み入れる▼理学療法士・作業療法士などのメディカルスタッフ団体との協働を進める▼小学校・中学校などの学校教育段階から「ロコモや運動器」問題を取り上げてもらうよう働きかける▼ロコモティブシンドローム診療ガイド2021を活用していく▼ロコモ診断基準(ロコモ度3)を用いた運動器治療の効果測定を進める▼がん・がん治療によって生じる移動機能低下(がんロコモ)の研究を進めると同時に、がんロコモに積極的に取り組む医師(がんロコモドクター)を登録・公表する▼「時速4㎞(秒速1.1m)の歩行速度」を容易に測定できる方法を開発する▼現在の移動機能を年齢に換算する「ロコモ年齢」の仕組みつくり、健診や人間ドッグでの活用を進める―などの取り組み方針を打ち出しています。

ついに今年度(2022年度)から団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となります。高齢者の増加は「フレイル・ロコモの人」が増加しやすくなることを意味し、「80GO」運動の浸透に期待が集まります。



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