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小児がん連携病院に年間新規症例20以上の「類型1A」新設、小児がん症例の集約化目指す―小児がん拠点病院指定要件WG(2)

2022.6.28.(火)

小児がん拠点病院と連携し、地域の小児がん患者に適切な医療提供や支援を行う「小児がん連携病院」について、診療実績などを踏まえた「類型の細分化」を行う—。

6月27日に開催された「小児がん拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」(以下、ワーキング)では、こういった見直し内容も概ね固められました。7月(2022年7月)に開催される親会議「がん診療提供体制の在り方に関する検討会」に報告します。

●厚労省の提示した指定要件見直し案はこちら(今後、構成員意見等を踏まえて修正される可能性があります)
(参考)現行の指定要件はこちら

「小児がん」症例の集約による医療の質確保と、患者アクセスとのバランスを確保

Gem Medでお伝えしているとおり、今夏(2022年夏)に「がん診療連携拠点病院」(成人拠点)や「がんゲノム医療中核拠点病院」「がんゲノム医療拠点病院」「小児がん診療病院」などの指定要件が見直されます。
【関連記事】
●成人拠点等:こちらこちらこちら
●小児拠点等:こちらこちら)。
●ゲノム中核拠点等:こちら
●がん診療体制の在り方検討会(親会議):こちら

成人拠点・小児拠点・ゲノム拠点等の指定要件を整合性を確保して見直すため、がんゲノム医療中核拠点病院等の指定期間を延長する(がん診療提供体制検討会2 211027)



6月27日のワーキングでは、▼小児がん拠点病院▼小児がん連携病院—などの指定要件見直し案を概ねで固めました。本稿では、後者の「連携病院」に焦点を合わせます(小児がん拠点病院の指定要件見直しに関する記事はこちら)。

小児がん連携病院は、小児がん拠点病院と連携して「質の高い小児がん医療提供」「特殊ながんに対する医療提供」「長期フォローアップ」などを行う病院です。機能に応じて次の3つの類型があります。

【類型1】
標準的治療が確立しており均てん化が可能ながん種について、拠点病院と同等程度の適切な医療を提供することが可能な病院

【類型2】
現時点で均てん化が難しく、診療を集約すべき特定のがん種(脳腫瘍や骨軟部腫瘍等)に対し適切な医療を提供できる病院、または限られた施設でのみ実施可能な粒子線治療等の標準的治療を提供する病院

【類型3】
地域で小児がん患者の晩期合併症や移行期医療に対応するために、長期フォローアップとともに、必要に応じた適切な医療を提供することが可能な病院



小児がん拠点病院は、全国に15施設のみが指定されています。希少がんである小児がんについて、症例・医療スタッフ集約化により病態解明・治療法開発を狙うものです。ただし、「患者のアクセス」という面で問題が出てくることから、連携病院を整備することで「集約化による医療の質の維持・向上」と「患者のアクセス確保」との両立を目指していると言えます。

ただし、「類型1について診療実績のバラつきが大きい」「類型・機能が分かりにくい」という問題があります。

拠点病院では、▼小児がんの年間新規症例が30以上▼固形腫瘍の年間新規症例が10以上▼造血器腫瘍の年間新規症例が10以上—などの基準が定められており、実績を見ても「年間新規症例(固形腫瘍+造血器主要)は概ね40症例以上」となっています。

小児がん拠点病院の診療実績(小児がん指定要件ワーキング(2)1 220627)



一方、類型1の連携病院では、症例数要件は設けられておらず、例えば年間新規症例数(固形腫瘍+造血器主要)を見ると、拠点病院よりも多い60症例超の病院もある一方で、10症例未満(ゼロという施設も)の病院もあります。

小児がん連携病院の診療実績は大きくバラついている(小児がん指定要件ワーキング(2)2 220627)



こうした状況に鑑みて厚生労働省は、「類型1を1Aと1Bの細分化し、1Aに症例数要件を設けてはどうか」との見直し案を提示しています。

【類型1A】
類型1Bの要件をクリアするとともに、次の要件を満たす
▼小児がんについて年間新規症例数が20以上
▼地域ブロック協議会への積極的な参加を通じて各地域の小児がん医療が適切に提供されるよう努める(関連記事はこちら
▼成人診療科との連携を進めるため、がん診療連携拠点病院の都道府県協議会などに積極的に参画する(関連記事はこちら

【類型1B】
現在の「類型1」要件クリアに加えて、▼相談支援センター設置▼患児の教育環境整備▼院内がん登録の実施▼人生育成体制の整備—などの要件を満たす



現行の【類型1】について底上げを行う(類型1Bとする)とともに、その中で診療実績が優れた施設を類型1Aとするものです。患者にとって「どの施設が優れた実績を有しているのか」などが分かりやすくなるメリットがあります。

一方で、小児がんが希少がんであることから「類型1Aが指定できない」県も出てきます。地域の小児がん患者が少なければ、個々の病院の症例数も少なくなり、どれだけ頑張っても「類型1Aになれない」状況が生まれるのです。松本公一座長(国立成育医療研究センター小児がんセンターセンター長)は、2019年度の診療実績をもとにすれば、▼奈良県▼長崎県▼青森県▼山口県▼岩手県▼宮崎県▼石川県▼香川県▼大分県▼山形県▼和歌山県▼富山県▼福井県▼秋田県▼佐賀県▼山梨家▼島根県▼徳島県▼高知県▼鳥取県—で「類型1Aが指定できない可能性がある」と指摘(年間の小児がん新規症例数が25未満の県)。このため「新規症例数が少ない県においては、類型1Aの症例数要件を緩和(例えば20例以上→10例以上など)を検討してはどうか」と提案しました。

上述のように「類型1Aの指定」により、「患者に分かりやすくなる」ほか、「症例が集約され、医療の質が向上する」(患者が類型1Aを希望するケースが増えると考えられる)などのメリットがあります。

一方、上記の「類型1A病院がなくなる」県の小児がん患者にとっては、他県の病院を受診する機会が増えることになり「アクセス」の面でややデメリットが出てきそうです(もちろん類型1B病院で診療を受けることも可能だが)。

つまり、類型1Aの指定は、小児がん症例に関する「集約化」と「アクセス」とのバランスをどう考えるかという問題も孕んでおり、松本座長は「アクセスについて、もう少し配慮した方が良いのではないか」と考えていることが伺えます。松本座長のほかにも小俣智子構成員(武蔵野大学人間科学部社会福祉学科教授)や小川千登世構成員(国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科長)らも「アクセスへのもう一段の配慮が必要ではないかといった旨の見解を示しています。

しかしワーキングでは、「例えば四国では、他県の病院に行くよりも、大阪や東京の拠点病院のほうが行きやすいなどの事情もあるようだ。希少がんである小児がん治療の質を上げるためにも集約化を進めるべきではないか」(米田光宏構成員:国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部外科診療部長、小児がんセンター副小児がんセンター長腫瘍外科診療部長(併任)、国立がん研究センター中央病院小児外科長)、「一部地域で症例数要件緩和を行えば、集約化という本来の趣旨が損なわれてしまう」(滝田順子構成員:京都大学大学院医学研究科発達小児科学教授)などの意見が数多く出され、厚労省案を了承することとなりました。

もっとも、類型1Aを新たに設けたのちに「診療の質がどうなっているのか、アクセスがどうなっているのか」などを検証し、今後も必要な見直しを行っていくことが重要です。「医療の質の確保」と「アクセスの確保」のバランスは、状況によって変わってくるためです。今回の「類型1を1A・1Bに細分化する」提案は、将来を拘束するものではなく、「1つの試み」である点に留意が必要です。



なお、類型2・類型3病院についても▼院内がん登録の実施▼人材育成体制の確保—が新たに求められることになります。

小児がん拠点病院・連携病院などの全体像(小児がん指定要件ワーキング(2)3 220627)



見直し内容は、今後、親組織である「がん診療提供体制の在り方に関する検討会」に報告され、そこでの議論を待つことになります。



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