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外来診療 経営改善のポイント 2024年度版ぽんすけリリース

我が国の平均寿命、コロナ感染症等の影響で男性81.47年、女性87.57年に短縮、老衰死因が上位浮上―2021年簡易生命表

2022.8.3.(水)

2021年の我が国の平均寿命は、男性が前年より0.09年短くなって81.47年に、女性が同じく0.14年短くなって87.57年となり、いずれの年齢階層でも「短く」なってしまった。この背景には「猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症」「老衰」が大きく影響している—。

「老衰」による死亡増が依然目立っており、男性では死因第3位、女性では死因第2位に上昇した。悪性新生物・心疾患・肺炎・脳血管疾患の死亡率の減少傾向は続いている―。

このような状況が、厚生労働省が7月29日に発表した2021年の「簡易生命表」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

コロナ・老衰の影響で前年に比べて男性は0.09年、女性は0.14年、平均寿命が短縮

簡易生命表は、「ある年の1年間(今回であれば2021年)の死亡状況が今後とも変化しない」と仮定したうえで、▼各年齢の人が1年以内に死亡する確率▼平均してあと何年生きられるかという期待値―などを「死亡率」や「平均余命」などの指標(生命関数)で見える化したものです。

戦争や大災害などを除いて、医療費と最も相関の高い要素は「年齢」です。また介護費も「年齢」と極めて大きな関係があります。つまり、国民の年齢構成が高くなれば、医療費・介護費は増加する傾向があるのです。このため医療保険制度・医療提供体制など、社会保障制度の在り方を考える上で、生命表は極めて重要な基礎資料となります(もちろん年金制度ではまさにダイレクトに関連する)。

2021年の平均寿命(ゼロ歳時の平均余命)を見てみると、男性は81.47年で、前年に比べて0.09年短縮。女性は87.57年で、同じく0.14年短縮しています。ゼロ歳から90歳まで、5歳刻みに平均余命を前年と比較すると、男女とも年齢区分階級で前年から「短縮」しています。

平均余命・平均寿命(2021年簡易生命表1 220729)



これまで基本的に「平均寿命は延伸」してきましたが、▼2020年初めから流行している新型コロナウイルス感染症の影響▼老衰—が寿命短縮に影響していると厚労省は分析しています。

死因別の寿命への寄与状況(2021年簡易生命表2 220729)



また諸外国と比較すると、我が国は▼男性では香港(82.97年)・スイス(81.6年)・ノルウェー(81.59年)に次いで第4位▼女性は香港(87.67年)に次いで第2位—の長寿国となっています。ただし、国によって平均寿命の作成方法などが異なるため、厳密な比較はできない点に留意が必要です。

平均余命の国際比較(2021年簡易生命表3 220729)

「老衰」による死亡、男性で死因第3位、女性で死因第2位に浮上

次に死因を見てみましょう。2021年の死亡確率(ゼロ歳時)上位は次のようになっています。男女とも「老衰」による死亡率が大きく増加し、女性では「死因第2位」に、男性では「死因第3位」に上昇しました。一方、がん・心疾患・脳血管疾患・肺炎といった疾患による死亡率は低下(とりわけ肺炎の低下が著しい)しており、「医療水準の向上」や「生活習慣改善等による予防の効果」と見ることができるでしょう。

【男性】
第1位:悪性新生物 27.66%(前年比0.67ポイント低下)
第2位:心疾患 14.38%(同0.03ポイント低下)
第3位:老衰 7.41%(同0.26ポイント増)
第4位:脳血管疾患 6.86%(同0.14ポイント低下)
第5位:肺炎 6.25%(同0.82ポイント低下)

【女性】
第1位:悪性新生物 19.86%(同0.32ポイント低下)
第2位:老衰 18.80%(同0.75ポイント上昇)
第3位:心疾患 16.20%(同0.25ポイント低下)
第4位:脳血管疾患 7.46%(同0.33ポイント低下)
第5位:肺炎 4.56%(同0.77ポイント低下)

死因別死亡確率(2021年簡易生命表4 220729)



▼悪性新生物▼心疾患▼脳血管疾患—の3疾患を合計した死亡確率(ゼロ歳児)は、男性では48.90%(前年に比べて0.84ポイント低下)、女性では43.52%(同0.90ポイント低下)となり、いわゆる3大死因による死亡はさらに減少してきています。

また死因第1位を独走する悪性新生物についても、男女ともに死亡確率が下がっています。この背景には▼検診受診率の向上(早期発見)▼医学・医療の進歩(画期的な新薬等の開発)▼国民の生活習慣の改善―などが総合的に関係していると考えられます。



また、これらの死因を克服することが出来た場合、理論的には平均余命が長くなると考えられます。厚労省は、疾患克服で2021年のゼロ歳時における平均余命(平均寿命)が次のように延伸すると推計しています。

【悪性新生物】 男性3.43年、女性2.81年
【心疾患】 男性1.42年、女性1.23年
【脳血管疾患】 男性0.69年、女性0.62年
【肺炎】 男性0.43年、女性0.29年

▼悪性新生物▼心疾患▼脳血管疾患—の3疾患すべてを克服すると、男性で6.49年(前年に比べて0.20年短縮)、女性で5.28年(同0.18年短縮)、平均寿命が長くなる計算です。

特定死因を除去した場合の平均余命の延び(2021年簡易生命表5 220729)



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