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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

我が国の平均寿命は男性81.41年、女性87.45年、「老衰」による死亡の増加続く―2019年簡易生命表

2020.8.3.(月)

2019年の我が国の平均寿命は、男性が前年より0.16年延びて81.41年に、女性が同じく0.13年延びて87.45年となりいずれも過去最長を更新した。また死因については、「老衰」による死亡増が目立ち、男性では第5位、女性では第3位のままだが、女性では、近く「第2位」に浮上する見込みである。悪性新生物・心疾患・肺炎・脳血管疾患の死亡率の減少傾向は続いている―。

このような状況が、厚生労働省が7月31日に発表した2019年の「簡易生命表」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)(前年の状況はこちら、前々年の状況はこちら)。

前年に比べて男性は0.16年、女性は0.13年、平均寿命が延伸

簡易生命表は、「ある年の1年間(今回であれば2019年)の死亡状況が、今後とも変化しない」と仮定した場合に、▼各年齢の人が1年以内に死亡する確率▼平均してあと何年生きられるかという期待値―などを「死亡率」や「平均余命」などの指標(生命関数)で表したものです。

戦争や大災害などを除いて、医療費と最も相関の高い要素は「年齢」です。また介護費も「年齢」と大きな関係を受けます。つまり、国民の年齢構成が高くなれば、医療費・介護費は増加する傾向があるのです。このため医療保険制度・医療提供体制等の在り方を考える上で生命表は極めて重要な基礎資料となります(もちろん年金制度ではまさにダイレクトに関連する)。

2019年の平均寿命(ゼロ歳時の平均余命)を見てみると、男性は81.41年で、前年に比べて0.16年延伸。女性は87.45年で、同じく0.13年延伸しています。ゼロ歳から90歳まで、5歳刻みに平均余命を前年と比較すると、男女とも年齢区分階級で前年から延伸しています。

平均寿命が延びた原因について、厚労省は、男女ともに悪性新生物・心疾患(高血圧性を除く、以下同じ)・脳血管疾患・肺炎・不慮の事故などの死亡率が低下していることが影響していると分析しています。平均寿命の男女差は6.03年で、前年より0.03年縮小しました。

平均余命の状況(2019年簡易生命表1  200731)



また厚労省の調べでは、我が国は男性では香港(82.34年)・スイス(81.7年)に次いで第3位、女性は香港(88.13年)に次いで第2位の長寿国となっています(男女とも順位は前年と同じ)。ただし、国によって平均寿命の作成方法などが異なるため、厳密な比較はできません。

平均余命の国際比較(2019年簡易生命表2 200731)

「老衰」による死亡、女性ではそう遠くない将来「死因第2位」に浮上する見込み

次に死因について見てみましょう。2019年の死亡確率(ゼロ歳時)上位は次のようになっています。男女とも「老衰」による死亡率が前年よりも大きく増加し、女性ではそう遠くない将来「死因第2位に浮上しかねない」状況となっています。一方、がん・心疾患・脳血管疾患・肺炎といった疾患による死亡率が低下しており、「医療水準の向上」や「生活習慣改善等による予防の効果」と見ることができるでしょう。

【男性】
第1位:悪性新生物 28.20%(前年比0.03ポイント低下)
第2位:心疾患 14.22%(同0.20ポイント低下)
第3位:肺炎 8.43%(同0.01ポイント低下)
第4位:脳血管疾患 7.20%(同0.21ポイント低下)
第5位:老衰 6.35%(同0.57ポイント増)

【女性】
第1位:悪性新生物 19.95%(同0.06ポイント低下)
第2位:心疾患 16.71%(同0.44ポイント低下)
第3位:老衰 16.44%(同1.15ポイント上昇)
第4位:脳血管疾患 8.06%(同0.30ポイント低下)
第5位:肺炎 6.68(同0.20ポイント低下)

死因別死亡率(その1)(2019年簡易生命表3 200731)

死因別死亡率(その2)(2019年簡易生命表3 200731)



▼悪性新生物▼心疾患▼脳血管疾患—の3疾患を合計した死亡確率(ゼロ歳児)は、男性では49.62%(同0.44ポイント低下)、女性では44.72%(同0.80ポイント減)となり、いわゆる3大死因による死亡は、全体の半数より小さくなっています。

また死因第1位を独走する悪性新生物についても、男女ともに死亡確率が下がっています。この背景には▼検診受診率の向上(早期発見)▼医学・医療の進歩(画期的な新薬等の開発)▼国民の生活習慣の改善―などが総合的に関係していると考えられますが、長期的な傾向であるのか注視していくことが重要です。



また、これらの死因を克服することが出来た場合、理論的には平均余命が長くなると考えられます。厚労省は、疾患克服で2019年のゼロ歳時における平均余命(平均寿命)が、次のように延伸すると推計しています。

【悪性新生物】 男性3.54年、女性2.84年
【心疾患】 男性1.41年、女性1.28年
【脳血管疾患】 男性0.72年、女性0.67年
【肺炎】 男性0.58年、女性0.42年

▼悪性新生物▼心疾患▼脳血管疾患—の3疾患すべてを克服すると、男性で6.65年、女性で5.45年平均寿命が長くなり、男性では88.06歳(前年から0.11年延伸)、女性では92.90歳(同0.03延伸)になる計算です。

特定死因を除去した場合の平均余命の延び(2019年簡易生命表5 200731)

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