我が国の平均寿命、女性87.26年で世界2位、男性81.09年で世界3位―2017年簡易生命表
2018.7.24.(火)
2017年の我が国の平均寿命は、男性が前年より0.11年延びて81.09年に、女性が同じく0.13年延びて87.26年となりいずれも過去最長を更新した。また死因については、悪性新生物・心疾患・肺炎・脳血管疾患(男女肺炎と脳血管疾患の順位が異なる)が上位を占めているが、死亡確率は「悪性新生物」「肺炎」「脳血管疾患」では低下し、「心疾患」では上昇している―。
このような状況が、厚生労働省が7月20日に発表した2017年の「簡易生命表」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)(前年の状況はこちら)。
前年に比べて男性は0.11年、女性は0.13年、平均寿命が延伸
簡易生命表は、「ある年、1年間(今回であれば2017年)の死亡状況が今後変化しない」と仮定した場合、▼各年齢の人が1年以内に死亡する確率▼平均してあと何年生きられるかという期待値―などを死亡率や平均余命などの指標(生命関数)で表したものです。医療費ともっとも相関の高い要素は「年齢」であることが分かっており(戦争や大災害を除く)、また介護費も「年齢」から大きな影響を受けています。このため医療保険制度・医療提供体制等の在り方を考える上でも生命表は極めて重要な基礎資料となります(年金制度ではまさにダイレクトに関連する)(関連記事はこちら)。
2017年の平均寿命(ゼロ歳時の平均余命)を見てみると、男性は81.09年で、前年に比べて0.11年延伸。女性は87.26年で、同じく0.13年延伸しています。ゼロ歳から90歳まで、5歳刻みに平均余命を前年と比較すると、男女ともに85歳・90歳で前年からごくわずかに短縮しています。
平均寿命が延びた原因について、厚労省は、男女とともに「悪性新生物」「高血圧性を除く心疾患」「脳血管疾患」などの死亡率が低下したことが影響していると分析。平均寿命の男女差は6.17年で、前年より0.1年拡大しています。
また厚労省の調べでは、我が国は男性では香港(81.70年)・スイス(81.5年)に次いで第3位、女性は香港(87.66年)に次いで第2位の長寿国であることが分かりました(男性では前年より順位を一つ下げる、女性は前年と同じ)。ただし国によって平均寿命の作成方法などが異なるので、厳密な比較はできません。
死因第1位は依然として「がん」、男性死因の28.72%、女性死因の20.03%を占める
次に死因について見てみると、2017年の死亡確率(ゼロ歳時)上位は次のようになっています。女性では、3年ぶりに脳血管疾患が死因第3位に浮上しており、男女ともに心疾患の死亡確率が上昇している点などが目を引きます。なおまた男女ともに肺炎の死亡確率が大きく減少してい増すが、厚労省は「2017年から死因統計に使用する分類の変更(ICD-10 2013年版)に伴う、現死因選択ルールの明確化によるもの」とコメントしています。
【男性】
第1位:悪性新生物 28.72%(前年比0.42ポイント減)
第2位:心疾患(高血圧性を除く) 14.33%(同0.12ポイント増)
第3位:肺炎 8.81%(同2.27ポイント減)
第4位:脳血管疾患 7.66%(同0.13ポイント減)
【女性】
第1位:悪性新生物 20.03%(同0.32ポイント減)
第2位:心疾患(高血圧性を除く) 17.22%(同0.10ポイント増)
第3位:脳血管疾患 8.71%(同0.27ポイント減)
第4位:肺炎 7.27%(同1.80ポイント減)
▼悪性新生物▼心疾患▼脳血管疾患—の3疾患を合計した死亡確率(ゼロ歳児)は、男性では50.71%(同0.44ポイント減)、女性では45.96%(同0.49ポイント減)となりました。
また死因第1位を独走する悪性新生物についても、男女ともに死亡確率が下がっています。この背景には▼検診受診率の向上(早期発見)▼医学・医療の進歩(画期的な新薬等の開発)▼国民の生活習慣の改善―などが総合的に関係していると考えられますが、長期的な傾向であるのか注視していく必要があります。
また、これらの死因を克服することが出来た場合、理論的には平均余命が長くなると考えられます。厚労省は、疾患克服で2017年のゼロ歳時における平均余命(平均寿命)が、次のように延伸すると推計しています。
【悪性新生物】 男性3.62年、女性2.84年
【心疾患(高血圧性を除く)】 男性1.40年、女性1.32年
【脳血管疾患】 男性0.75年、女性0.71年
【肺炎】 男性0.59年、女性0.45年
また、▼悪性新生物▼心疾患▼脳血管疾患—の3疾患すべてを克服すると、男性で6.81年、女性で5.61年、平均寿命が長くなり、男性では87.90歳、女性では92.87になる計算です。
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