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病床機能報告 看護モニタリング

介護情報は広く関係者間で共有すべきだが、主治医意見書やLIFE情報などを利用者に共有する際には配慮・工夫を—介護情報利活用ワーキング

2023.1.26.(木)

より質の高い介護サービス提供を目指し、介護分野においても「介護情報の標準化を行い、介護サービス事業所・施設や利用者、自治体で広く情報共有する仕組み」を構築する—。

その際、例えば要介護認定における「認定調査票」や「主治医意見書の特記事項」、LIFEの「生」情報をすべて利用者にも共有すれば弊害が生じかねない。利用者との共有に当たっては「必要な情報を抽出し、信頼関係を損なわないような工夫(加工)を行う」ことが必要である—。

1月25日に開催された健康・医療・介護情報利活用検討会「介護情報利活用ワーキンググループ」(以下、ワーキング)で、こうした議論が行われました。

どの介護情報を、誰と誰との間で共有するべきかをまず詰めていく

医療分野と同様に、介護分野についても▼利用者の同意の下、過去の介護情報を介護事業者間で共有し、質の高い介護サービスを提供する▼利用者やその家族が、介護情報を確認して自立支援・重度化防止につながる取り組みを行う▼市町村が地域住民の介護情報を確認し、きめ細やかな介護保険運営・住民支援につなげる—仕組み(全国プラットフォーム)の構築が求められています(関連記事はこちらこちらこちら)。

介護情報の共有について2023年度中に結論を得る必要がある(介護情報利活用ワーキング4 220912)



ワーキングでは、「どのような情報を確認・共有可能とすべきか」「情報の利活用に向けて、どのように情報の標準化を進めるか」「どのような手法で情報の共有を行うのか」という点についての議論を始めています(関連記事はこちらこちら)。

1月25日の会合では、どういった情報を、誰に共有可能すべきかという具体的な議論に入りました。

例えば、利用者・家族が自身の情報を知り「自分はこうした状態で、どういった点に気を付けて生活すればよいのか」を理解することで、状態の維持・改善につながることが期待できます。また、要介護者の多くが何らかの傷病を抱えており、情報を医療機関と共有することで「より質の高い介護サービスの提供」「より質の高い医療サービスの提供」画家の言うになると期待できます。

一方、加齢に伴って要介護者の状態は「重度化、悪化していく」ことが一般的です。このため利用者が自身の情報に接した際に「自分の身体はもう改善しないのか、どれだけ頑張っても、今の状態を維持することも困難なのか。頑張る気力を失った」とネガティブな思考に陥り、サービス提供に弊害が生じる可能性もあります。

また、医療分野でも同様の議論が行われていますが「膨大な情報をすべて共有したのでは、必要な情報へのアクセスが難しくなり、かえって弊害が出てしまう」という側面もあります。

こうした点を踏まえ、▼要介護認定情報▼請求・給付情報▼LIFE情報▼ケアプラン—について、▼利用者・家族▼市区町村(保険者)▼介護サービス事業者▼ケアマネ事業者▼医療機関—のいずれとの共有を可能とすべきかを検討した結果、次のような大枠が見えてきました。

【要介護認定情報】
▽認定調査票(市町村作成)、主治医意見書(医療機関が作成し、市町村が保有)、介護保険被保険者証(市町村が作成し、利用者・事業者・ケアマネが保有)、要介護認定申請書(利用者が作成し、市町村が保有)のいずれも重要情報で、共有することが有用である

▽ただし、認定調査票、主治医意見書(特に特記事項)の生情報を「利用者にも共有」した場合、マイナスの影響(上述)も出かねない。「利用者」と「利用者以外」と分けて、共有すべき情報の範囲や共有の仕方などを整理・検討すべき

【請求・給付情報】
▽給付管理票、居宅介護支援介護給付費明細書、介護給付費請求書、介護予防・日常生活支援総合事業費請求書、居宅サービス・地域密着型サービス給付費明細書、介護予防サービス・地域密着型介護予防サービス介護給付費明細書、介護予防・日常生活支援総合事業費明細書 、施設サービス等介護給付費明細書があり、実質的にすべての関係者間で共有されている

▽全国プラットフォームの中で一元的に管理できれば「より効率的な共有」が可能になると期待できる

【LIFE情報(フィードバック情報)】
▽介護事業者が作成し、フィードバックを受けるが、まだ正式フィードバックがなされていない

▽利用者の状態・ケアの内容・効果について、多くの関係者で共有されることが、より質の高い介護サービスにつながると期待できる

▽利用者本人への情報共有も重要であるが、「誤解を招かない」ような工夫が必要であり、その点を今後検討する必要がある

▽ただし、現在はデータ提出だけでもバタバタであり、「加工」の手間をどう考えるのかも重要である

【ケアプラン】
▽利用者・サービス事業者・ケアマネ事業者で共有しているが、市町村(保険者)や医療機関にとっても非常に重要であり、関係者で広く共有可能とすべき

▽なお、来年度(2023年度)からケアプランデータ連携システムが稼働するが、これと全国プラットフォームとの関係を整理すべき

●各情報の記載様式はこちら



今後、より具体的に「どの情報を、誰と誰との間で共有すべきか」を煮詰めていきます(下表の空欄について共有可能とするか、共有不可とするかを踏めていく)が、情報利活用の専門家である山本隆一構成員(医療情報システム開発センター理事長)は「『利用者・家族に分かりにくいので共有しない』との考え方は適切でない。しかし、利用者・家族への情報提供で本来の目的を失ってしまっては本末転倒である。例えば、『主治医が意見書を作成する際に、利用者サイドに遠慮した記述にする』ことなどがあってはならない。そうした視点で、共有項目・共有者の範囲を煮詰めていくとよいのではないか」とコメントしています。

議論を煮詰め、マトリックスの空欄部分について「どの情報を共有する、どの情報は共有しない」という点を明確にしていく(介護情報利活用ワーキング1 230125)



これまでは「あの情報も大事、この情報も大事」という意見に終始していましたが、議論がかなり整理されてきました。

次回以降、情報共有にあたっての「本人同意」(「同意」が難しい要介護者も少なくない)、「個人情報保護」などの議論を行っていきます。

なお、「多くの事業者や利用者で共有する」ことになった情報項目については、今後「電子化」「標準化」を積極的に進めていくことになります。「紙媒体での共有」「標準化されていない情報の共有」では、適切かつ円滑な情報共有が困難なためです。

今年度・来年度(2022・23年度)に全国プラットフォームの仕組みを検討し、2024年度からシステム開発を行うというスケジュールが設定されています(「新経済・財政再生計画改革工程表2021」)。



また同日には、医療情報(電子カルテ情報)を地域の医療機関等で共有する「地域医療情報連携ネットワーク」の草分け的存在である「あじさいネット」(長崎県)の松本武浩理事(長崎大学病院医療情報部准教授)からヒアリングも行いました。長崎県内の多くの医療機関・訪問看護事業所などがあじさいネットに参加し、患者同意の下で19万人分のカルテが共有可能となっています。これにより「患者が、どのような傷病でどの医療機関等にかかり、どのような治療を受けたのか」を参加医療機関すべてで把握できます。参加医療機関すべてが「日頃から患者の診療に参加する、かかりつけ医・かかりつけ医療機関となっている」状態が確立てきている格好です。

在宅医療分野(900名超)でも、従来の紙運用していた「連絡帳」をネットワーク化することで「実際に患者宅を訪問せずとも情報を得ることができ、例えば、医師が患者宅を訪問してから『これほど状態が悪化していたのか。もっと早く情報を把握できていれば有効な手を打てたのだが・・』という事態を防止できている」などの効果が上がっていることが紹介されました。

あじさいネットでは、在宅患者の情報も共有し、大きな成果をあげている(1)(介護情報利活用ワーキング2 230125)

あじさいネットでは、在宅患者の情報も共有し、大きな成果をあげている(2)(介護情報利活用ワーキング3 230125)

あじさいネットでは、在宅患者の情報も共有し、大きな成果をあげている(3)(介護情報利活用ワーキング4 230125)



なお、あじさいネットの運用コストは、「参加施設からの会費」で賄われており、規模の小さな介護事業所等の参画はまだ十分に進んでいないようです。このため松本理事は「情報連携ネットワークへの介護事業所等の参加を促すには公費による支援が必要ではないか」との見解も示しています。



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