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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

看護師不足が深刻化し、経営状況も非常に厳しく、病院は「絶滅危惧」産業になっている—日病・相澤会長

2023.4.24.(月)

病院の看護師不足が著しい。離職者、とりわけ新卒看護師の離職が多く、その一方で新規採用にも難渋している。2024年度以降の見通しも暗く、こうした状態が続けば、医療の質を確保できず、医療法標準や施設基準などを維持できなくなる—。

さらに、新型コロナウイルス感染症関連補助金を除けば7割の病院が赤字、補助金を加味しても5割の病院が赤字という、非常に厳しい状況になっている—。

日本病院会の相澤孝夫会長は4月24日の定例記者会見でこうした点を紹介したうえで、「病院はいまや『絶滅危惧産業』となっている」と強い懸念を表明。今後「経営維持のための入院基本料大幅引き上げ」や「病院の看護師確保策の充実」などを政府・与党に要請していく考えです。

コロナ禍で「病院実習」を受けられなかった若手看護職員の離職が急増

コロナ感染症が落ち着く中で「病院の看護職員不足」が大きな問題となっています。全国自治体病院協議会の調査でも「とりわけ若手看護職員の離職が増加している」ことが明らかとなり(関連記事はこちら)、日本病院会幹部の間でもこの点を危惧する声が非常に大きくなっていることが相澤会長から報告されました。

相澤会長は、「時短、産休・育休取得者の増加」「夜勤が困難な者の増加」とともに、「退職する看護職員が非常に多くなっている」と指摘。日病の会員病院の75%が「看護師不足」を強く感じており、中には「7対1病棟」(急性期一般1)を1つ閉鎖しなければならないところも出てきているといいます。

とりわけ「若手看護職員の離職」が深刻で、この背景には、やはりコロナ感染症があるようです。コロナ禍で「病院実習」を受けられなかった看護学生が、国家試験に合格(看護師免許取得)し、実際に病院で勤務する段になって「初めて患者と対峙」することに極めて大きなストレスを感じ、「やっていけない」と感じる若手看護職員も稀ではないようです。

こうした「離職者増」に加えて、「新たな看護職員確保」も難しい状況です。日超の調査では、採用計画通りに新卒看護職員を採用できている病院は、2021年度には61%でしたが、22年度には51%に減少、さらに23年度には39%に落ち込みます。さらに、地方では「看護学校での定員割れ」が生じており、看護職員採用は今後も厳しい状況が続くと思われます。さらにその先には「少子化による、若者そのものの数が減少している」事態が待ち受けています。

相澤会長は「病院の看護職員確保に向けて、今から手を打たなければならない」と強調。例えば「病棟に介護福祉士などを配置し、看護職員のサポートや介護業務に関するタスク・シフトをしてもらう(病院看護職員の働き方改革)」「夜勤の在り方を見直す」「診療報酬点数や施設基準の在り方を根本的に見直す」「看護職員をはじめとする医療従事者の給与改善・処遇改善を図る」ことなどを総合的に実施する必要があると訴え、近く厚生労働省に申し入れを行う考えです。

病院経営は非常に厳しく、コロナ補助金なければ7割が赤字の異常事態

また、日病と全日本病院協会・日本医療法人協会の3病院団体が行った調査では「病院経営は非常に厳しく、コロナ関連補助金を除けば7割の病院が赤字である」「医療従事者の十分な給与アップをなしえない」ことなどが明らかになっています。

日病では「病院経営を維持するために、入院基本料の根本的な見直し・大幅な引き上げが必要である」と考えており、この考えに賛同し、入院基本料の引き上げを求める「嘆願書」が4月22日時点で1227件集まっていることが分かりました。このうち2割に当たる250件は「日病の会院『以外』の病院」からのもので、多くの病院が現在の入院基本料水準や経営状況に「大きな不安・不満」を抱えていることが分かります。相澤会長は「日々、嘆願書の件数が増えている。一定の時期(5月中旬まで嘆願書受け付け)に病院現場の声を政府や与党はじめ政治の場に届けたい」との考えを示しました。



さらに相澤会長は、こうした状況を踏まえ「いまや病院は『絶滅危惧産業』である。新聞やテレビでは『病院はコロナ補助金で経営が順調である』と報じられているが、実際は非常に厳しい」と強調します。上述のとおり、3病院団体の調査では「コロナ補助金を受けてもなお赤字の病院が過半数を示している」ことが分かっており、今後、「コロナ補助金の停止」「患者数の減少」「看護職員不足」「コスト増(医療DX対応、スタッフの給与増等)」などが複合的に絡んで病院経営は厳しさを増していきます。これは地域医療提供体制の確保が難しくなることを意味していることを国民全員が「我が事」と捉える必要がありそうです。



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