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GemMed塾 看護モニタリング

訪問看護と訪問リハビリの役割分担を明確化、リハビリ専門職による訪問看護をさらに適正化—社保審・介護給付費分科会(1)

2023.7.25.(火)

訪問看護と訪問リハビリの役割分担を明確化する必要がある。度重なる報酬改定で「リハビリ専門職による訪問看護」の適正化が進められてきているが、さらなる適正化を検討していく必要がある—。

より質の高い訪問看護提供に向けて「複数事業所の連携」や「専門性の高い看護師の配置」などの評価を積極的に進めるべきである—。

訪問リハビリについて、医療・介護間での情報連携を強化し、より早期に適切な内容のリハビリ提供を開始する必要がある—。

7月24日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会で、こうした議論が行われました。なお、同日には「居宅介護支援(ケアマネジメント)」や「訪問介護・訪問入浴介護」「居宅療養管理指導」「福祉用具・住宅改修」に関する総論論議も行われており、別稿で報じます。

リハ専門職による訪問看護のさらなる適正化、訪問看護と訪問リハの役割分担を明確化

2024年度の介護報酬改定論議が進んでいます。
【介護給付費分科会】
通所リハビリ、短期入所生活介護、短期入所療養介護
通所介護、認知症対応型通所介護、療養通所介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型 共同生活介護
スケジュール等
ICT・ロボット活用等

【介護給付費分科会と中央社会保険医療協議会との意見交換会】
ACP等
訪問看護等
身体拘束ゼロ等
施設での医療、認知症等
要介護高齢者の急性期入院医療、リハ・口腔・栄養の一体的推進等



7月10日の分科会では、訪問系サービス((1)訪問介護(2)訪問入浴介護(3)訪問看護(4)訪問リハビリ(5)居宅療養管理指導(6)居宅介護支援(ケアマネジメント)(7)福祉用具・住宅改修—)を議題としました。本稿では、(3)の訪問看護と(4)の訪問リハビリに焦点を合わせ、他サービスについては別稿で報じます。



訪問看護は、医療ニーズの高い要介護等高齢者の自宅に、訪問看護ステーションや医療機関(病院、診療所)から看護師等が訪問し、療養上の世話や診療補助を行うサービスです。

要介護高齢者の多くが医療ニーズも抱える中で、訪問看護事業所・利用者は増加を続けており、その重要性は今後も増していきますが、介護給付費分科会では次のような課題が指摘されました。

(1)「訪問看護ステーションからのリハビリスタッフ訪問」と「訪問リハビリ」との機能・役割分担をどう考えていくか

(2)医療ニーズの高い要介護者への対応力をさらに高めていく方策をどう考えるか

(3)「介護保険の訪問看護」と「医療保険の訪問看護」との差をどう考えるか



まず(1)は従前から問題視されているテーマで、「一部に、リハビリ専門職が多くを占める訪問看護ステーションがあり、日中に、軽度者を中心にリハビリサービスを提供している」点をどう考えるかという問題です(中には「訪問リハビリステーション」を名乗るところすらある)。訪問看護ステーションに求められる「医療ニーズの高い重度の要介護者に対し、24時間・365日サービス提供をしていく」方向と逆を向いています。

度重なる診療報酬・介護報酬で「適正化」が図られてきており、例えば2021年度の前回介護報酬改定で「1日に2回を超える介護予防訪問看護サービスを提供した場合、従前は報酬を10%減額していたところ、『50%減額』とする」との厳しい対応が行われた結果、「1日に2回を超える介護予防訪問看護サービス」は激減しています。しかし、要介護者に対する「1日2回を超える訪問看護サービス」は、こうしたペナルティが課されていないために、増加を続けています。

要支援者への「リハビリ専門職による訪問看護」は、報酬適正化とともに激減している(介護給付費分科会(1)1 230724)



また、「看護職員の割合が低い(20%未満)訪問看護ステーションでは、緊急時訪問看護加算や特別管理加算及びターミナルケア加算の届出割合が極めて低い」ことも再確認されています。

看護職員割合が低い訪問看護ステーションでは、緊急時訪問や中重度者の受け入れに消極的である(介護給付費分科会(1)2 230724)



こうした状況を踏まえ、委員からは「看護職員とリハビビ理専門職員との役割に応じた評価、訪問看護と訪問リハビリとの役割分担などを進めるべき」(小林司委員:日本労働組合総連合会総合政策推進局生活福祉局長、井上隆委員:日本経済団体連合会専務理事)、「改定の都度に議題があがるが、『本来の訪問看護ステーションの役割』(重度者対応、24時間・365日対応など)が発揮できるように、きちんと軌道修正を図るべき」(江澤和彦委員:日本医師会常任理事)などの意見が出ています。

2024年度の介護報酬改定でも「リハビリ専門職による訪問看護の適正化」が重要論点の1つになるでしょう。



また(2)は、上述した「本来の訪問看護ステーションの役割である、重度者対応、24時間・365日対応など」をより多くの事業所に果たしてもらうための方策をどう考えるか、という論点です。訪問看護ステーションの大規模化が進み、24時間・365日対応などの下地は相当整ってきていますが、「地域によっては大規模が困難である」(利用者が点在しているため、訪問看護ステーションもそれに合わせた立地とせざるを得ず、小規模になってしまう)、

この点、田母神裕美委員(日本看護協会常任理事)は▼24時間対応力の強化に向けて、大規模化はもちろん、複数の訪問看護ステーションが連携対応した場合の評価充実、夜間対応の評価充実を行う(夜間対応は看護職員の精神的・肉体的負担も大きい)▼医療ニーズが高い利用者、ターミナル期の利用者が増加している点に鑑みた「退院日の訪問看護」等に対する評価の充実▼専門性の高い看護職員(専門看護師、認定看護師、特定行為研修を修了した看護師)を配置する訪問看護ステーションの評価—などを検討するよう要請しています。田中志子委員(日本慢性期医療協会常任理事)や伊藤悦郎委員(健康保険組合連合会常務理事)もこうした考えに部分的に賛意を示しており、今後の具体的な検討に注目が集まります。



また(3)の論点について田母神委員は「医療保険と介護保険とでターミナル期の訪問看護の内容は同様であるが、報酬には大きな差があり、診療報酬・介護報酬の同時改定がなされる2024年度改定で格差を埋めるべきである」と提案。利用者サイドが「介護保険の訪問看護」と「医療保険の訪問看護」とを混在して利用するケースは少ないですが、提供者サイドに立てば「医療保険として行った業務は高く評価されるが、介護保険として行った業務は低くしか評価されない」のでは、得心が行かない部分もあるでしょう。「同一の労働は、同一の評価をすべき」という視点に立った発言と言えます。

ターミナル期における訪問看護の内容を見ると、医療保険と介護保険とで大きな差はない(介護給付費分科会(1)3 230724)



このほか、「病院病棟勤務と訪問看護ステーション勤務との併任・兼任などすることで、双方(病棟勤務、訪問看護ステーション勤務)に効果がある。こうした取り組みも推進していくべき」(田中委員)、「訪問看護の必要性・重要性は今後も増していくが、一方で看護職員確保が難しくなってきている。他サービスと連携した柔軟なサービス提供体制等を今から探っていくべき」(古谷忠之委員:全国老人福祉施設協議会参与)、「訪問看護についても処遇改善を図っていくべき」(田母神委員)といった意見・提案が出ています。秋以降の第2ラウンド論議のベースとなります。

訪問リハでも医療・介護連携を推進、長期間の介護予防訪問リハをどう考えるか

(4)の訪問リハビリは、通所困難な要介護高齢者に対し、医療機関(病院・診療所)や老人保健施設のリハビリ専門職が居宅を訪問し、機能の維持・確保に向けたリハビリテーションを提供するサービスです。重度化防止・自立支援に向けて欠かせないサービスの1つであり、今後も推進が期待されます。

「より早期から、適切なリハビリを提供する」ことが機能維持にとって重要ですが、次のような課題があると指摘されます。

▽医療機関を退院してから介護保険の訪問リハを開始するまでの期間を見ると、約32%が「2週間以上かかっている」、約24%が「4週間以上かかっている」

早期の通所リハビリが期待されるが、一定の時間がかかっている(社保審・介護給付費分科会(2)2 230710)



▽医療機関におけるリハビリ(疾患別リハビリ)の情報が、うまく介護保険のリハビリ(訪問リハビリなど)事業所に伝達・共有されていない(介護側で医療側リハビリの実施計画書を入手していた利用者は44%、しかも医療機関・介護事業所が別法人などの場合には、その割合は26.8%にとどまる)

通所リハビリと医療機関の疾患別リハビリとの間で情報共有に問題がある(社保審・介護給付費分科会(2)3 230710)



▽診療未実施減算(リハビリ計画書作成・リハビリ実施に当たり訪問リハビリ事業所の医師が診療を行わない場合には50単位の減算を行う)が依然として1割超存在する

依然として訪問リハビリ計画書の診療未実施減算が1割超ある(介護給付費分科会(1)4 230724)

訪問リハビリ事業所の医師が診療を行わずにリハ計画書作成を行った場合には減算が適用される(介護給付費分科会(1)5 230724)



こうした状況に対して、介護給付費分科会では「早期の医療介護連携を促すべき」(小林委員、井上委員)との声が強く出されました。通所リハビリと同様に、医療・介護連携を強化し、より効果的なリハビリ提供を推進していくことになります。

ところで地方自治体サイドからは「訪問リハビリ事業所の医師配置要件を緩和すべき」との提言がなされていますが、医療介護連携に逆行するとも考えられそうです。このため江澤委員や東憲太郎委員(全国老人保健施設協会)は「医師の適切な指示・指導の下でこそ適切なリハビリが実施できる」として、これに強く反対。その一方で、「訪問リハビリ事業所の拡大に向けて、老人保健施設について訪問リハビリ事業所の見做し指定を行う」よう求めています。現在、訪問リハビリ事業を行う老健施設は3割程度にとどまっており、見做し指定を行うことで、大幅にサービス量が拡大されると見込みまれ、今後の重要論点の1つになるでしょう。



他方、要支援者に対する介護予防訪問リハビリに関しては、次のような課題が浮上しています。

▽介護予防訪問リハビリでは、事業所評価加算の算定率が極めて低調である(1年間の要介護度改善度合いが加算要件となっているが、要介護認定の期間が「3年間」などと延長され、その間は要介護度の変化を見ることができず、改善度合いを把握しにくい面もある)

介護予防訪問リハの事業所評価加算の算定割合は低い(介護給付費分科会(1)6 230724)

介護予防訪問リハの事業所評価加算では「要介護度の改善度合い」が要件の1となっている(介護給付費分科会(1)7 230724)



▽長期減算(12か月以上)の割合が依然として高い

長期間の介護予防訪問リハ減算の割合は依然として高い(介護給付費分科会(1)8 230724)

長期間の予防介護訪問リハは、家族が希望するケースが多いようだ(介護給付費分科会(1)9 230724)



この点、「長期間の介護予防訪問リハの効果は疑問視されている。利用者・家族の希望による長期間利用が多く、減算をより厳しく考えるべき」(井上委員、伊藤委員)との意見が出る一方で、「通所リハビリの際にも述べたが、長期間のリハビリ提供で機能が維持されている部分もある」(東委員)との見解も示されています。「リハビリの効果」で見ることも考えられますが、高齢者では効果が出にくい面もあり、当面は「抜本的な解決策」にはなりにくいようで(精緻な評価指標の研究が必要である)、今後、どう対応していくのかをさらに議論する必要があるでしょう。

なお、「減算を厳しくした場合、利用者サイドからすれば利用しやすくなってしまう」といった問題点もあることに留意が必要です。

このほか、訪問リハビリについて「認知症リハビリの効果が訪問系でも確認されており、導入を進めるべき」(東委員)といった指摘も出されています。

訪問においても認知症リハビリには効果があると示唆される研究結果が出ている(介護給付費分科会(1)10 230724)



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