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GemMed塾 看護モニタリング

在宅療養指導管理材料加算の対象薬剤ルール明確化、遺伝性網膜ジストロフィー治療薬(1患者9920万円超)などを保険適用—中医協総会

2023.8.24.(木)

「在宅療養指導管理材料加算の対象薬剤」の取扱いルールについて、「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤」「保険医が投薬することができる注射薬の対象薬剤」と同様に明確化する—。

遺伝性網膜ジストロフィーの超高額治療薬(患者1人当たり9920万円超)と、該当患者判別のための検査機器を保険適用する—。

8月23日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こうした点が承認されました(同日に開催された薬価専門部会に関する記事はこちら)。

「在宅療養指導管理材料加算の対象薬剤の取扱い」ルールを明確化

「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤」「保険医が投薬することができる注射薬の対象薬剤」については、2016年8月の中医協総会で▼「補充療法などの頻回投与」または「発作時の緊急投与」が必要な注射剤で、かつ「必要性が確認されている」「維持期における投与期間が概ね4週間以内」などの要件を満たすものであることを確認する▼対象薬剤の追加時期について、14日未満の間隔で注射を行うものは「原則として薬価収載の次期」、14日以上の間隔をあけて注射を行うものは「14日を超える投薬が可能になった後」(事実上、薬価収載から1年経過後)に追加を検討する—との方針が決まっています(関連記事はこちら

しかし、「在宅自己注射における在宅療養指導管理材料加算の対象薬剤の取扱い」については、ルールが明確ではありません。この点、8月23日の中医協総会において厚労省保険局医療課の眞鍋馨課長が「在宅自己注射における在宅療養指導管理材料加算の対象薬剤の取扱いについても、学会の要望書の中で要望・理由を記載した上で、明示的に中医協で議論してもらう」考え方を提案し、了承されました。

「在宅療養指導管理材料加算の対象薬剤」の取扱いルールを明確化(中医協総会1 230823)



同日には次の薬剤が「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤」「保険医が投薬することができる注射薬の対象薬剤」として追加されました。本薬剤は、上述の「在宅療養指導管理材料加算」の1つであるC161【注入ポンプ加算】の対象薬剤です。上記のルール設定により、今後、より精緻・適切に在宅医療で用いる薬剤の対象薬剤追加がなされると期待されます。

▼指定難病(告示番号62)発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療に用いる「ペグセタコプラン」(販売名:エムパベリ皮下注1080mg)(同日の中医協総会で薬価収載が承認され、8月30日に保険適用される予定)



日本血液学会より「欧米では長期の治療継続が必要となる薬剤であり、在宅自己注射により疾患管理がなされている」「適切な管理を行うことで安全上の問題は見られていない」「本疾患に十分な知識・経験を持つ医師が、患者・介護者に本剤投与による危険性、対症法等を十分に教育・指導し、確実に投与できると確認した場合に、医師の管理指導の下で実施する(ポンプ使用法を含めて)」「自己注射継続が困難となる可能性がある場合には直ちに中止するなどの適切な処置を行う」「感染症徴候などの副作用が発言する場合には直ちに医療機関に連絡するよう指導する」などの要望が出ていることを踏まえたものです。

遺伝性網膜ジストロフィーの超高額治療薬と、該当患者判別のための検査機器を保険適用

また、8月23日の中医協総会では、次の医療機器の保険適用が了承されています。

【新たな医療機器の保険適用】(2023年8月30に保険適用予定)
(新機能・新技術 C2)
▽遺伝性網膜ジストロフィーと診断された患者、または疑われる患者の疾患原因遺伝子の情報を取得する「PrismGuide IRD パネルシステム」(特定保険医療材料価格は設定されず、技術料(D006-24【肺癌関連遺伝子多項目同時検査】とD004-2【悪性腫瘍組織検査】)で評価がされる)



同日に、両アレル性RPE遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィーの治療に用いる薬剤「ボレチゲン ネパルボベク」(販売名:ルクスターナ注(0.5mL1瓶(希釈液2本付)))の薬価収載も承認され、上記検査機器は、この薬剤の適用対象となる患者を選別するために用いるものです。

同剤の薬価は「1瓶当たり4960万226円」(両眼に使用するため1人当たりには2倍となる9920万円余り)と極めて高額(薬価のみで見れば脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」に次ぐ高額薬)に設定され、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「(上記)検査機器を用いて適切な患者選択を行う」ことを強く要望しました。なお、対象患者数はピーク時に「5名」と推計されています。

遺伝性網膜ジストロフィーの治療に用いる薬剤「ボレチゲン ネパルボベク」(販売名:ルクスターナ注(0.5mL1瓶(希釈液2本付)))を保険適用(中医協総会2 230823)



このほか8月23日の中医協総会では、▼急性リンパ性白血病や悪性リンパ腫の治療に用いる「ペグアスパルガーゼ」(販売名:オンキャスパー点滴静注用3750)など6成分・6品目を保険適用する(本年(2023年)8月30日に薬価収載予定)▼血友病治療薬のヘムライブラ皮下注や抗がん剤のリムパーザ錠などについて市場拡大再算定を行う(想定よりも巨額な売り上げとなり、国民皆保険を維持するために薬価を引き下げる)▼難治性の慢性咳嗽治療に用いるリフヌア錠について、費用対効果評価結果に基づいて薬価を引き下げる(猶予期間をとり本年(2023年)11月から)—ことなども承認されています。

【更新履歴】ルクスターナの市場規模予測を「2024年度・6名」と記載していましたが、「ピーク時(2028年度)・5名」の誤りです。またゾルゲンスマについて「皮下注」と記載しておいましたが「点滴静注」の誤りです。大変失礼いたしました。お詫びして訂正いたします。記事は訂正済です。



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