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GemMed塾 看護モニタリング

医師働き方改革進める中で「宿日直許可未取得病院への医師派遣」ストップも、働き方改革の地域医療への影響を緊急調査—四病協

2024.1.25.(木)

医師働き方改革が進む中、大学病院側が「宿日直許可を取得していない病院への医師派遣」をストップする動きも出ているようだ。実態を正確に把握するために、医師働き方改革による地域医療への影響を緊急調査する—。

1月24月に開催された四病院団体協議会(日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4団体で構成)の総合部会でこうした方針が決まったことが、日本医療法人協会の加納繁照会長や馬場武彦副会長らから明らかにされました。

1月24日の四病協・総合部会後の記者会見に臨んだ、日本医療法人協会の加納繁照会長

2021年度→22年度→23年度と病院経営は悪化の度合いを増している

いよいよ、この4月(2024年4月)から、【医師の働き方改革】がスタートします。すべての勤務医に対して新たな時間外労働の上限規制(原則:年間960時間以下(A水準)、救急医療など地域医療に欠かせない医療機関(B水準)や、研修医など集中的に多くの症例を経験する必要がある医師(C水準)など:年間1860時間以下)を適用するとともに、追加的健康確保措置(▼28時間までの連続勤務時間制限▼9時間以上の勤務間インターバル▼代償休息▼面接指導と必要に応じた就業上の措置(勤務停止など)―など)を講じる義務が医療機関の管理者に課されるものです。

医師働き方改革の全体像(中医協総会1 210721)



新たな時間外労働規制のスタートまで「秒読み」段階に入っており、多くの医療機関では「勤務医の業務内容見直し」「宿日直許可の取得」「医師から他職種へのタスク・シフティング」「B水準・C水準取得に向けた手続き」などが進められていますが、必ずしも十分とは言えないようです(関連記事はこちらこちら)。

そうした中で、医療現場からは「大学病院から医師の引き揚げが行われ、地域医療提供体制が確保できなくなるのではないか」と心配する声が強くなっています。大学病院の勤務医、とりわけ若手医師は、「大学病院」と「関連の地域医療機関」とで兼務をするケースが多くなり、労働時間は両医療機関で通算されます。その際、大学病院側では「自院での働き手(勤務医)を確保する」ことを最優先するため、地域医療機関等での勤務縮小や派遣医師の引き揚げなどを行うのではないかと懸念されています。

厚生労働省の行った調査では「引き揚げが懸念されるケースもあるが、減少している」ことが分かっていますが(関連記事はこちら)、医法協の馬場副会長は「肌感覚ではあるが、『宿日直許可を得ていない医療機関』について、大学病院側が医師派遣を見合わせるケースもあるようだ。宿日直許可取得を病院団体として推奨・支援しているが、はみ出てしまうところが出てくる可能性がある」とコメントしています。宿日直許可を得ていない病院での当直などは「夜勤」(=労働)とカウントされるため、こうした病院で当直アルバイトなどをすれば、本務先である大学病院での労働が制限されてしまうことが背景にあります。

1月24日の四病協・総合部会では、こうした状況を正確に把握するために四病協の加盟病院と全国医学部長病院長会議傘下病院を対象に緊急アンケートを行うことを決定しました。

具体的には、▼勤務医の時間外労働の状況▼宿日直許可の取得状況▼特例水準(B・連携B・C1・C2)の取得状況▼地域医療提供体制への「医師働き方改革」の影響▼大学病院等からの医師派遣の動向—について、1月29日から2月9日にかけて調査。

その結果を集計したうえで、全国医学部長病院長会議や日本医師会との協議に臨むことになります(働き方改革がスタートする直前の2月・3月に最終の集中調整協議を行う)。例えば「派遣医師の引き揚げ」が認められる場合には、四病協から全国医学部長病院長会議へ「引き揚げの見直し」などが要請されることになるでしょう。



このほか、1月24日の四病協総合部会では▼2021年度から22年度にかけて病院の経営状況は悪化し、医業収支・経常収支ともに「これまで見たことない水準」にまで低下した。コロナ関連補助金でなんとか経常収支プラスになっているが、2023年度には「さらに経営状況が悪化」するとともに、コロナ補助金が縮小しており、極めて厳しい状況になると予想される。状況を踏まえて対応などを検討していく(関連記事はこちら)▼地域医療介護総合確保基金(うち医療従事者の確保に関する事業)について、「民間の人材派遣会社対応には支弁できない」「病院薬剤師の奨学金返済に支弁できる」ことが明確化され、病院団体としても歓迎している—ことなどが医法協の加納会長から明らかにされています。



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