Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

かかりつけ医機能報告制度の「報告対象医療機関」と「報告内容」について厚労相に提言、医療機関の種類でなく機能に着目—日病・相澤会長

2024.3.25.(月)

2025年4月からスタートする「かかりつけ医機能報告」制度の報告対象医療機関は、診療所・病院といった医療機関の種類ではなく、「保有する機能」に着目して範囲設定するべきである。また報告すべき内容・項目についても「日常的な診療」をかみ砕いて考えるべきである—。

日本病院会の相澤孝夫会長が3月22日、こうした内容の提言を武見敬三厚生労働大臣に宛てて提出しました(日病サイトはこちら、厚生労働省大臣官房の宮本直樹審議官(医政、口腔健康管理、精神保健医療、災害対策担当)(老健局、保険局併任)が代理受領)。

提言内容を説明する相澤日病会長と、代理受領する厚労省の宮本審議官

「かかりつけ医機能報告」の制度詳細は今夏(2024年夏)までに固める

なお、2025年4月から「かかりつけ医機能報告」制度がスタートします。病床機能報告制度・外来機能報告制度に次ぐ3つ目の報告制度で、各医療機関が「自院は、どのようなかかりつけ医機能を持つのか」を都道府県に報告。都道府県は「どの医療機関が、どのようなかかりつけ医機能を持つのか」を公表して、住民の「医療機関選択」を支援するともとに、地域ごとに「どのようなかかりつけ医機能が地域に不足しているのか、充足するにはどうすればよいか」を議論し、医療提供体制をより効率的・効果的なものにしていくことが狙いです(こちら)。

日病では「かかりつけ医機能とは何か」「かかりつけ医機能報告制度での報告事項をどのように考えるか」という議論を昨秋から集中的に行っており、今般、その内容をまとめて武見厚労相に提言しました。

まず、「かかりつけ医機能報告」の対象となる医療機関の範囲については、原則として「当該医療機関にかかっている患者(自院の患者)に対して医療法第6条の3に規定する日常的な診療を提供し、当該医療機関単独もしくは当該医療機関が所在する地域の他医療機関と連携(例えば当番制等)して、自院の患者から診療要請があった際に、診療時間内外にかかわらず対応できる医療機関とする」ことが提案されました。

「クリニック」「病院」といった医療機関の種類ではなく、医療機関のもつ「機能」に着目した提案内容です。



また、報告する「かかりつけ医機能の内容」については、次のように提案しています。

▽改正医療法第30条の18第4項に明記されている「かかりつけ医機能報告対象病院等の報告内容」に対応する以下の項目とする

(医療法第30条の18第4項)
1 かかりつけ医機能のうち、継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る診療その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能(厚生労働省令で定めるものに限る)の有無及びその内容

(日病提案項目)
▼診療体制(医師数、看護師数)
▼自院にかかっている患者に対して、当該患者より診療の要請があった際には、次のいずれかであること
(1)自院単独で診療時間内外にかかわらず対応が可能な体制の有無
(2)自院が所在する地域の他医療機関と連携して診療時間内外にかかわらず対応が可能な体制の有無
▼必要に応じて他医療機関へ紹介できる体制の有無
▼医療相談(人間ドック、健康診断などの結果)に対する助言の可否

(医療法第30条の18第4項)
2 前号に規定する機能を有するかかりつけ医機能報告対象病院等にあっては、かかりつけ医機能のうち、継続的な医療を要する者に対する次に掲げる機能(イからニまでに掲げる機能にあっては、厚生労働省令で定めるものに限る)の有無、その内容
(イ)当該かかりつけ医機能報告対象病院等の通常の診療時間以外の時間に診療を行う機能
(ロ)病状が急変した場合、その他入院が必要な場合に入院させるため、または病院・診療所を退院する者が引き続き療養を必要とする場合、に当該者を他の病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、居宅等における療養生活に「円滑に移行」させるために必要な支援を提供する機能
(ハ)居宅等において必要な医療を提供する機能
(ニ)介護その他医療と密接に関連するサービスを提供する者と連携して必要な医療を提供する機能
(ホ)その他厚生労働省令で定める機能

(日病提案項目)
(イ)に対応するものとして
▼休日や夜間の診療(初診を含む)の可否
▼休日夜間の診療体制(医師数・看護師数)

(ロ)に対応するものとして
▼連携医療機関等の有無(連携がある場合の当番制の有無)
▼急性疾患を発症した際の対応方法の助言の可否
▼慢性疾患の継続的管理方法の助言の可否
▼緊急時の電話相談の可否

(ハ)に対応するものとして
▼訪問診療、往診の可否

(ニ)に対応するものとして
▼介護その他医療と密接に関連するサービスを提供する者、例えば介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設、訪問看護ステーション等との連携の有無

(ホ)に対応するものとして
▼ターミナルケア、看取りの実施有無

(医療法第30条の18第4項)
3 当該かかりつけ医機能報告対象病院等、および他病院・診療所が厚労省令で定めるところにより相互に連携して前号に規定する機能を確保するときは、当該他病院・診療所の名称およびその連携の内容

(日病提案項目)
▼連携医療機関名、訪問看護ステーション名等と連携内容
▼当番制の場合は当番医療機関名と連携内容
▼他機関への紹介数

かかりつけ医機能に関する日病提言



このほか、次のような点にも留意して「かかりつけ医機能報告」制度の詳細を固め、運用に向かうべきとも提案しました。
▼当該医療機関にかかっている者に対する日常的な診療を行う医師は、臨床研修の到達目標を修得していることが望まれる。
▼継続的な医療を要する者以外の者に対しても、継続的な医療を要する者に対する機能と同様の項目の明示・報告が望まれる。
▼「かかりつけ医機能」を国民が正しく、かつ十分に理解することを目的に、正式名称としての「かかりつけ医機能」を有する医療機関の「通称」を別途検討、設定することが望まれる(例えば「地域密着型医療機関」など)



かかりつけ医機能報告制度の詳細は、今後、「国民・患者に対するかかりつけ医機能をはじめとする医療情報の提供等に関する検討会」「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」を中心に議論が進められ、今夏(2024年夏)の取りまとめが目指されています(関連記事は「かかりつけ医機能とは何か」を広く検討して共通認識を醸成、その中から「かかりつけ医機能報告」の項目選抜へ—かかりつけ医機能検討会2025年4月から稼働する「かかりつけ医機能報告」制度、対象医療機関や報告項目をどう設定するべきか—かかりつけ医機能分科会)。



診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

【関連記事】

2024年度診療報酬改定で入院料等がアップするが、ほとんどは人件費に充てるため「病院経営安定化」は難しい—日病・相澤会長
急性期一般1を厳格化し「高齢救急搬送患者に包括対応する新病棟」へ移管させる流れが見える、電カル改修費の実態を調査—日病・相澤会長
病院で看護師・薬剤師等確保に難渋し、病棟を一部閉鎖する病院もある、単なる賃上げにとどまらず総合的な対策が必要—日病・相澤会長
病院経営が安定しなければ「DX対応」など新たな対応が困難、かかりつけ医機能の考え方は日病内部でも非常に多様—日病・相澤会長
病院の看護職員不足が深刻化、看護職員を確保し、適切な処遇改善を行うためにも「入院基本料の引き上げ」などが必要—日病・相澤会長
かかりつけ医機能報告制度、まず「かかりつけ医機能を果たしている」と考える医師の実態調査から進めるべき—日病・相澤会長
かかりつけ医機能の届け出・実施状況を定期的に確認し、地域住民・医療関係者に広く情報提供することが極めて重要—日病・相澤会長