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GemMed塾 看護モニタリング

かかりつけ医機能の届け出・実施状況を定期的に確認し、地域住民・医療関係者に広く情報提供することが極めて重要—日病・相澤会長

2022.11.7.(月)

かかりつけ医機能は「病院も含めた医療機関」の機能と考えるべきであり、具体的には(A)診療時間内外を問わず、自院で、もしくは他医療機関と連携して対応する(B)特定領域に偏らない広範囲にわたる全人的医療を行う(C)総合的な医学管理を行う—と整理すべきである—。

かかりつけ医機能の届け出状況、実施状況を定期的に確認し、地域住民・地域医療関係者にその情報を広く公表することが、「かかりつけ医機能」を育むうえで極めて重要である—。

日本病院会の相澤孝夫会長は11月2日、このような「かかりつけ医機能」に関する提言を加藤勝信厚生労働大臣に宛てて行いました(日病のサイトはこちら)。

当面は、「医療機関からの申し出、届け出」をかかりつけ医機能提供の基本とすべき

外来医療について「まずかかりつけ医機能を持つ医療機関にかかり、そこから必要に応じて高機能病院を紹介してもらう」という流れを強化することが求められています【外来医療の機能分化】。

外来医療機能分化を進めるためには、「紹介中心型の高機能病院」と「かかりつけ医機能を持つ医療機関」とが車の両輪となることが重要です。紹介中心型の高機能病院については「地域医療支援病院」「特定機能病院」「紹介受診重点医療機関」などの整備が進められ、明確化が図られてきています(関連記事はこちら(紹介受診重点医療機関)こちら(2022年度診療報酬改定))。

一方、紹介する側の「かかりつけ医」「かかりつけ医機能」については、定義も明確にされておらず、また論者によってイメージする内容が千差万別であるなど「曖昧」な状況が続いていましたが、本年(2022年)6月7日の「骨太方針2022」(経済財政運営と改革の基本方針2022)で「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う」方針を明確化。また、昨年(2021年)12月の「新経済・財政再生計画改革工程表2021」では、「かかりつけ医機能の明確化と、患者・医療者双方にとってかかりつけ医機能が有効に発揮されるための具体的方策について、2022年度・2023年度に検討する」方針を掲げています。

厚労省も社会保障審議会・医療部会において「かかりつけ医機能を検討していく」方針を明確にしており(関連記事はこちら、従前「第8次医療計画等に関する検討会」で議論されていたが、議論が広範囲に及んだため、医療部会で議論することとなった)、本年度(2022年度)・来年度(2023年度)に「かかりつけ医機能」論議が活発に進められていきます。

そうした中で日病でも、幹部会(常任理事会)において「かかりつけ医機能とは何かを会内で明確にし、医療部会論議のベースとなるような提言を行う」方針が固められ、今般、提言が行われたものです(関連記事はこちらこちらこちら)。



提言では、まず次の3点を確認しています。

▽「自主的に届け出た医療機関」がかかりつけ医機能を果たすことにより、円滑な地域医療連携体制が構築でき、医療提供体制を本来の姿に正せる

▽かかりつけ医機能は「医療機関」の果たす機能である

▽かかりつけ医機能は「病院」にとっても重要な機能である

ここから、「医師個人の機能ではない」「クリニックの機能ではない」という考えが導かれます。例えば、▼医療機関の少ない地域では、比較的大規模な病院が「かかりつけ医機能」を果たすこともある▼医療機関の多い地域でも、地域密着型の病院が「かかりつけ医機能」を果たすこともある▼患者の疾病(例えば指定難病など)によっては大学病院などの高機能病院が「かかりつけ医機能」を果たすこともある—といった点が導かれそうです。



また、かかりつけ医機能を提供する医療機関の役割は、狭く決めることなる「包括的な概念」として示すことが必要であるとの考えも整理しています。こうした考えは、医療法施行規則などで次のように「医師個人を中心にかかりつけ医機能が考えられている」点と矛盾します。

▽身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う医療機関(かかりつけ医療機関、編集部で追記)の機能は次のとおりとする。ただし、病院については(5)を除く
(1)日常的な医学管理および重症化予防
(2)地域の医療機関等との連携
(3)在宅医療支援、介護等との連携
(4)適切かつ分かりやすい情報の提供
(5)地域包括診療加算の届出
(6)地域包括診療料の届出
(7)小児かかりつけ診療料の届出
(8)機能強化加算の届出



また、この8項目の機能について、▼不明確である▼(1)から(3)は分かりにくい▼(4)は医療機関として当然のことである(かかりつけ医機能を持たない医療機関にもあてはまる)▼(5)から(8)は診療報酬の届け出として整理され不適当である—と判断。日病では、次の3項目に整理し直すことを提言しています。

(A)診療時間内外を問わず、自院で地域住民に対応する、もしくは他の医療機関と連携して対応する
→▼患者の病状▼当該医療機関の当日の人員体制—などの理由で、自院のみで対応することができない場合でも、身近な地域の医療機関と相互に補完しあい「かかりつけ医機能」を確保する

(B)特定の領域に偏らない広範囲にわたる全人的医療を行う

(C)総合的な医学管理を行う



さらに日病では、「地域によって医療提供体制・人口・人口密度が異なることから、当面、『かかりつけ医機能』は医療機関からの申し出により整理することが望ましい」との考えも示しています。

他方、▼かかりつけ医機能を国民・医療者にしっかり周知し、十分に認識してもらうことが重要(現在は不十分であり、これが「かかりつけ医機能」が広がらない原因の1つ)▼病床機能報告等と同様に、定期的に「かかりつけ医機能」の成果・実施状況などを確認し、育てていくことが重要—との考えも示しています。

こうした点を踏まえれば、「医療機関がかかりつけ医機能を届け出で、実施する」→「当該情報(届け出状況、実施状況)を丁寧に分かりやすい形で住民に公表する」ことが極めて重要であると言えるでしょう。



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