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医療機関が、かかりつけ医機能を発揮する「身近な地域」とはどのエリアをさすのかを明確にすることが重要—日病・相澤会長

2022.9.21.(水)

かかりつけ医機能を持つ医療機関では、外来診療において▼日常的な医学管理・重症化予防▼地域の医療機関等との連携▼在宅医療支援、介護等との連携—のほか、▼患者の緊急時に自院または他院と連携して対応する▼患者に対し全人的医療を提供する▼地域包括ケアシステムに協力する—という役割を果たす必要がある—。

また、こうした役割は「身近な地域で」果たすことになるが、「身近な地域とはどのエリアをさすのか」を詰めて考えていかなければならない。あわせて、かかりつけ医機能を持つ医療機関で重要な付加的要素の1つとなる「在宅医療提供」についても併せて考えていく必要がある—。

日本病院会幹部の間でこうした議論が進んでいることが、9月21日の定例記者会見で相澤孝夫会長から明らかにされました。10月に詰めの議論を行い、その後「日本病院会の考えるかかりつけ医機能」について一定の方向が示される見込みです。

9月21日にオンライン定例記者会見に臨んだ、日本病院会の相澤孝夫会長

外来診療における「かかりつけ医機能を持つ医療機関の役割」、日病で意見固まる

「かかりつけ医機能」の明確化に関する議論が注目を集めています。

本年(2022年)6月7日の「骨太方針2022」(経済財政運営と改革の基本方針2022)で「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う」方針を明確化。また、昨年(2021年)12月の「新経済・財政再生計画改革工程表2021」では、「かかりつけ医機能の明確化と、患者・医療者双方にとってかかりつけ医機能が有効に発揮されるための具体的方策について、2022年度・2023年度に検討する」方針を掲げています。

こうした方針を受け、厚生労働省の「第8次医療計画に関する検討会」などで「かかりつけ医機能」の検討が進んでいます(関連記事はこちらこちらこちら)。



日病でも、こうした議論に向けて「提言」を行うべく、幹部会(常任理事会)で「かかりつけ医機能とは何か」の議論を始めています(関連記事はこちら)。

9月21日の定例記者会見では相澤会長から、「外来診療において、かかりつけ医医機能を持つ医療機関はどのような役割を果たすべきか」について日病の考え方がまとまりつつあることが報告されました。

厚労省は2007年に、法令の中で「かかりつけ医が果たす役割」を次のように例示しています(その後の診療報酬改定などを受け、逐次改訂)。

▽身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う医療機関(かかりつけ医療機関、編集部で追記)の機能は、次の とおりとする。ただし、病院については(5)を除く
(1)日常的な医学管理および重症化予防
(2)地域の医療機関等との連携
(3)在宅医療支援、介護等との連携
(4)適切かつ分かりやすい情報の提供
(5)地域包括診療加算の届出
(6)地域包括診療料の届出
(7)小児かかりつけ診療料の届出
(8)機能強化加算の届出

法令における「かかりつけ医機能」



このうち(1)から(3)の機能については、「かかりつけ医機能を持つ医療機関」の役割として疑う向き日病幹部の中にはないようです。一方、(5)から(8)の診療報酬届け出については「まず制度を設け、そこに点数がつくものだ。制度の中に診療報酬が組み込まれるのはいかがなものか」という点から「かかりつけ医機能を持つ医療機関の役割とは異なるもの」と日病幹部の間で判断されました。また、(4)の情報提供は「かかりつけ医に限らず、すべての医療機関が行うべきもの」であり、やはり「かかりつけ医機能を持つ医療機関の役割とは異なるもの」と判断されました。

ここに、前回の議論で浮上した、▼患者の緊急時に自院または他院と連携して対応する▼患者に対し全人的医療を提供する▼地域包括ケアシステムに協力する—の3点を付加することが妥当という結論に達しています。

したがって、日病では「かかりつけ医機能を持つ医療機関の役割」を次の6点として位置づける考えを固めたと言えます。
(1)日常的な医学管理および重症化予防
(2)地域の医療機関等との連携
(3)在宅医療支援、介護等との連携
(4)患者の緊急時における自院または他院と連携した対応
(5)患者に対する全人的医療の提供
(6)地域包括ケアシステムへの協力



ところで、上記法令に記載されているように、これらの機能は「身近な地域」で発揮することが求められます(当然とも言えるが、「北海道の患者に、九州の医療機関がかかりつけ医機能を発揮する」ことは考えにくい)。しかし「身近な地域」がどのエリアをさすのかは明確ではありません。都市のような、こうした医療機関が数多く存在する地域では、そのエリアは必然的に「狭く」なりますが、過疎地や山村などでは、医療機関数が少ないために、1つの「かかりつけ医機能を持つ医療機関」がカバーすべきエリアは「広い」ものとしなければなりません。

また、都市部では複数の「かかりつけ医機能を持つ医療機関」が連携して、上記の機能をもつ場面も数多く想定されそうです。一方、過疎地や山村などでは、1つの「かかりつけ医機能を持つ医療機関」が上記の役割を全て担うというケースが多くなりそうです。

この点からは、「どの医療機関がかかりつけ医機能を持つのか」も含めて、地域ごとに「かかりつけ医機能」を考えていくことが重要になると分かります。相澤会長は「外来診療については、2次医療圏単位では広すぎる」とコメントしたうえで、「地域におけるかかりつけ医機能の在り方」「地域とはどのエリアをさすのか」をさらに議論し、「かかりつけ医機能が、実際に発揮できるようにする必要がある」と強調しています(「かかりつけ医機能とは何か」で議論が終わっては、現場でかかりつけ医機能を発揮することができない)。

さらに、「かかりつけ医機能を持つ医療機関」に求められる重要な不可要素である「在宅医療提供」などについても議論を詰め、10月の次回常任理事会(日病幹部会議)において「日本病院会の考えるかかりつけ医機能」について一定の方向が固められる見込みです。議論の行方に注目が集まります。



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