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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

「カネの融通を認めない地域医療連携推進法人」「外部監査を不要とする地域医療連携推進法人」の詳細示す—厚労省

2024.4.5.(金)

地域医療連携推進法人に参加する法人が、予算編成や事業計画を変更する場合などには地域医療連携推進法人の意見を求めることが必要となるが、地域医療連携推進法人の定款に「参加法人等が病院等に関する業務を行うのに必要な資金を調達するための支援として資金貸付け、債務保証、基金を引き受ける者の募集、出資を行わない」旨を定めている場合は、参加法人等が地域医療連携推進法人に対して意見を求めなければならない重要事項から、▼予算の決定・変更▼借入金の借入れ▼定款・は寄附行為の変更—を除くことができる—。

厚生労働省が3月29日に発出した事務連絡「地域医療連携推進法人制度について(Q&A第2版)」を示し、このような考えを明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

また外部監査が不要となる地域医療連携推進法人の要件についても、詳細を示しています。

医療法改正で、新たな地域医療連携推進法人の類型を認める

2022年からは、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になりはじめ、2025年には、すべての団塊の世代が後期高齢者となります。その後、2040年にかけて高齢者の増加ペースそのものは鈍化するものの、現役世代の人口が急激に減少していきます。このように少子高齢化が進行すれば、医療従事者の確保などが困難になり、限られた医療資源を、これまで以上に効率的かつ効果的に活用することが求められ、「医療提供体制改革」が極めて重要なテーマとなります。

このため、病院・病床の機能分化・連携を強化する「地域医療構想」の実現や、高齢者の在宅限界を高めるための「地域包括ケアシステム」の構築が急務となっています。その一環として、厚労省は「地域医療連携推進法人」制度を2017年4月からスタートさせました(地域医療連携推進法人制度の詳細はこちら(厚労省サイト))(関連記事はこちらこちらこちら)。

地域医療連携推進法人制度の概要

地域医療連携推進法人制度の概要



地域の医療機関等が、いわばホールディングカンパニーである「地域医療連携推進法人」を設立。そこで参加医療機関等が、それぞれ地域でどのような役割を担うかの方針を定め、その方針に沿って機能分化・連携を進めていきます。参加医療機関間では、「病床の融通」や「人事交流」「医薬品や医療機器などの共同購入」が可能となり、限られた医療資源をより効率的・効果的に活用することが可能となります。

本年(2024年)1月1日時点で36法人が認定されています。

この地域医療連携推進法人については、2017年4月のスタート時点にQ&Aが示されています(関連記事はこちら)。また2023年の医療法改正により、地域医療連携推進法人制度の見直し(個人立医療機関の参加認め、事務手続きを緩和した新「地域医療連携推進法人」設立を認めるなど、関連記事はこちら)が行われたことを受け、今般、Q&A第2弾が示されたものです。

第2弾で追加・修正された部分を見てみましょう。

まず、「参加法人(地域医療連携推進法人を構成する者)が予算の決定、借入金、重要な資産の処分、事業計画の決定、定款変更、合併、分割、解散などの重要事項を決定する」場合には、「あらかじめ地域医療連携推進法人に意見を求めなければならない」(ただし、地域医療連携推進法人の意見に法的拘束力まではない)ことがすでに明確にされてきました(もっとも、地域医療連携推進法人の考え方と異なる決定を行う場合、当該者は地域医療連携推進法人に参加すべきでないと考えられる)。

この点について、改正医療法で、「カネの融通を認めない新地域医療連携推進法人」を設立したこと(関連記事はこちら)を踏まえ、次のような考え方が示されました。

▽地域医療連携推進法人への「参加法人等」において予算決定・変更などの重要事項を機関決定する際には、その前に「なんらかの形で地域医療連携推進法人の意見を聴く」プロセスを経る必要があるが、地域医療連携推進法人の定款に「参加法人等が病院等に関する業務を行うのに必要な資金を調達するための支援として資金貸付け、債務保証、基金を引き受ける者の募集、出資を行わない」旨を定めている場合は、参加法人等が地域医療連携推進法人に対して意見を求めなければならない重要事項から、▼予算の決定・変更▼借入金の借入れ▼定款・は寄附行為の変更—を除くことができる



また改正医療法では、一定要件を満たせば「外部監査を不要とする」との見直しも行われました(関連記事はこちら)。

この点を踏まえ、次のような考え方も整理されました。

▽従前、「地域医療連携推進法人はすべて外部監査を受ける」こととされてきたが、本年(2024年)4月1日以降、次のいずれにも該当する場合には外部監査を受けずともよい

(ア)定款に、参加法人等が病院等に関する業務を行うのに必要な資金調達のための支援として「資金貸付け、債務保証、基金を引き受ける者の募集、出資」を行わない旨を定めている
(イ)以下の基準に該当しない
・最終会計年度に係る貸借対照表の負債計上額合計50億円以上、または最終会計年度に係る損益計算書の事業収益計上額合計70億円以上

例えば、(ア)に該当しても、病院等開設等によって地域医療連携推進法人の負債が50億円以上となる、あるいは事業収益が70億円以上となるような場合は、外部監査を受けなければなりません。

▽3月31日決算日の地域医療連携推進法人で、上記(イ)に該当するものが、定款に上記(ア)の内容を定め、X1年10月1日に定款変更の認可を受けた場合には、「X1年4月1日-X2年3月31日までの会計年度」の期間中に「定款に上記(ア)の内容が定められていない」期間がある場合には、全期間(X1年4月1日-X2年3月31日までの会計年度
を対象に外部監査を受けなければならない

▽外部監査に関しては、あらかじめ「年度当初から」監査を委嘱する公認会計士・監査法人を選定しておくことが望ましい



地域医療連携推進法人は、地域医療構想の実現に向けた重要な仕組みの1つでもあります。新制度も勘案しながら、地域で「地域医療連携推進法人の設立」検討論議が積極的に進められることにも期待が集まります。



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