2024年度の病院経営定期調査、病院の経営状況に加え、入院時食事療養費見直し状況・医療従事者の給与増状況なども調査—四病協
2024.8.29.(木)
病院経営が厳しさを増す中で、2024年度の病院経営定期調査を行っている(本年(2024年)6月対象)。そこでは、病院の経営状況に加え、入院時食事療養費見直し状況・医療従事者の給与増状況なども調査しており、結果を踏まえて次のアクションを考えていく—。
8月28日に開催された四病院団体協議会(日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4団体で構成)の総合部会でこうした議論が行われたことが、日本病院会の相澤孝夫会長から明らかにされました。
2024年度診療報酬改定は6月施行となったため、調査結果の解釈などに留意
厚生労働省大臣官房の高宮裕介参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当)が提示した資料からは、例えば次のような状況が明らかにされています。
▽一般病院等の医業利益率は低下している(2022年度まで病床利用率の低下傾向が続いている)
▽2020年から2040年にかけて、全ての診療領域において、半数以上の構想区域で手術件数が少なくなる
さらに四病協では「2022年度以降も、2023年度、24年度と病院経営はより厳しさを増している」との点で一致し、「病院経営定期調査」でそうした点を明らかにしていく考えを相澤・日病会長が示しました。
病院経営定期調査は、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の3団体が毎年度実施している調査です(2023年度の病院経営定期調査に関する記事はこちら)。3団体の会員病院を対象に経営状況を詳しく調査・分析しており、例えば2023年度調査では1116病院が回答し、▼病院経営は2021年度→22年度と大幅に悪化している▼病床100床当たりで見ると、2022年度にはコロナ補助金を加えても多くの病院が「赤字」になっている—ことなどが明らかにされています。
現在、▼2022年度-23年度の比較▼2023年6月と24年6月との比較—などを内容とする2024年度調査が進められており、近く「コロナ感染症が落ち着いた後、病院経営はさらに厳しさを増している」などといった結果が公表される見込みです。
また、2024年度調査では、毎年度の病院経営状況そのものに加えて、▼入院時食事療養費見直し(患者負担部分の30円引き上げなど)の影響▼ベースアップ評価料の創設・入院料等の引き上げなどによる医療従事者等の給与増の状況—なども詳しく見ていくことになります。
ただし、従前の調査では「診療報酬改定が4月1日に施行され、6月時点では『改定内容への一定程度の対応』が進んでいる」状況が調べられましたが、2024年度診療報酬改定は「6月施行」となったため、「改定内容への対応が思うように進んでいない」中での調査となるため、分析や解釈などで留意が必要となりそうです。
相澤・日病会長は「2024年度病院経営定期調査の結果を踏まえて、さらに四病協・総合部会で議論し、その後のアクションを考えていく」ともコメントしています。
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