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病院独自調査でも、医療経済実態調査と同じく「病院経営は大きく悪化し、非常に厳しい」状況が明らかに―日病・全日病・医法協

2023.11.29.(水)

病院経営は2021年度→22年度と大幅に悪化し、病床100床当たりで見ると、2022年度にはコロナ補助金を加えても多くの病院が「赤字」になっている。23年度には「さらに状況が悪化する」と強く見込まれる—。

日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の3団体が11月28日に公表した2023年度の「病院経営定期調査」結果(概要)から、こうした状況が明らかになりました(日病のサイトはこちら)。

給与費増、材料費増、光熱水費増で、病院経営は極めて厳しく、さらに悪化していく

日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会の3病院団体では、コロナ禍より定期的に、会員病院を対象にした「経営状況調査」を行っています(2022年度の調査結果に関する記事はこちらこちら)。

今般の2023年度調査では、会員病院の経営状況について▼2021年度・22年度の比較▼2022年6月と23年6月との比較▼2019年・20年・21年・22年・23年の比較(いずれも6月)—などを行っています(3病院団体に加入する1116病院が有効回答)。



まず2021年度と22年度とを比較すると、次のような状況が明らかになりました。病院規模の差をなくすために「稼働病床100床当たり」の状況です。
▽医業利益:21年度の「マイナス1億6670万円」から22年度には「マイナス1億9966万円」となり、赤字が拡大

▽経常利益(コロナ補助金などを含む):21年度の「2億150万円から22年度には「1億2836万円」となり、黒字が縮小
→コロナ補助金を除外すると、21年度の「マイナス4242万円」から22年度には「マイナス7342万円」となり、赤字であり、かつ赤字幅が拡大

▽医業「赤字」病院の割合:21年度の「65.8%」から22年度には「72.8%」で、赤字病院割合が7.0ポイント増加

▽経常「赤字」病院の割合:21年度の「18.1%」から22年度には「23.3%」で、赤字病院割合が5.2ポイント増
→コロナ補助金を除外すると、21年度の「51.4%」から22年度には「60.1%」で、赤字病院割合が8.7ポイント増加

2021年度と22年度の経営状況比較1(2023年度病院経営定期調査(日病、全日病、医法協)1 231128)

2021年度と22年度の経営状況比較2(2023年度病院経営定期調査(日病、全日病、医法協)2 231128)



2021年度から22年度にかけて「病院経営が大幅に悪化している」ことが確認できます。



次に、昨年(2022年)6月と本年(2023年)6月とを比較すると、次のような状況です(同じく稼働病床100床あたり)。
▽医業利益:22年の「マイナス1789万円」から本年には「マイナス2201万円」で赤字が拡大

▽経常利益(コロナ補助金等含む):22年の「マイナス1240万円」から本年には「マイナス1793万円」で、コロナ補助を含めても赤字であり、かつ赤字が拡大
→コロナ補助金を除外すると、22年の「マイナス1328万円」から本年には「マイナス1825万円」で、赤字であり、かつ赤字が拡大

▽医業「赤字」病院の割合:22年の「64.0%」から本年には「70.2%」で、赤字病院割合が6.2ポイント増加

▽経常「赤字」病院の割合:22年の「55.5%」から本年には「64.4%」で、赤字病院割合が8.9ポイント増加
→コロナ補助金を除外すると、22年の「57.5」から本年には「65.7%」で、赤字病院割合が8.2ポイント増加

2022年6月と23年6月の経営状況比較1(2023年度病院経営定期調査(日病、全日病、医法協)3 231128)

2022年6月と23年6月の経営状況比較2(2023年度病院経営定期調査(日病、全日病、医法協)4 231128)



これらの数字から、▼病院経営は21年度→22年度→23年度と「悪化」の一途をたどっている▼23年度には、多くの病院が「コロナ補助金を加えても赤字」となっている—状況が伺えます。

この背景には「収益の伸びを、費用の伸びが上回っている」ことが挙げられます。例えば費用の中で大きなシェアを占める▼給与費(つまり人件費)▼材料費(医薬品、診療材料など)—が大きく伸びています。また、シェアはそれほど大きくありませんが「水道光熱費」は4割程度と、非常に大きな増加率を示しています。

2021→2022年度の経営状況詳細(2023年度病院経営定期調査(日病、全日病、医法協)5 231128)



こうした状況は、機能別(急性期、回復期、精神など)、開設者別に見ても同様です。



さらに、2019年・20年・21年・22年・23年の比較(いずれも6月)をすると、「コロナ禍前の2019年の状況には戻っていない」「時間の経過とともに経営状況が徐々に悪化してきている」状況を伺うことができます。

2019→2022年度の比較(6月分ベース)(2023年度病院経営定期調査(日病、全日病、医法協)6 231128)

2019→2022年度の年度別比較((2023年度病院経営定期調査(日病、全日病、医法協)7 231128)



なお、厚生労働省の実施した医療経済実態調査結果からも「一般病院での経営状況は「非常に悪化しており、大きな医業赤字を抱えている」ことが明らかになっています。



日本病院会の相澤孝夫会長は同日の定例記者会見において、こうした調査結果を踏まえ「日本の医療の質をしっかりと担保することが重要であるが、3病院団体調査からも、厚労省の医療経済実態調査からも、病院経営が非常に厳しいことが確認された。このままでは適正な医療機関継続が困難で、今後、医療提供の制限・廃止が生じ、地域医療提供体制が崩壊してしまう。2024年度の診療報酬改定で、適切な財源確保を行ってほしい」との考えを述べています。

また、診療所については医療経済実態調査結果から「好転しており、医業黒字である」ことが明らかになりましたが、「診療所の中にも経営に苦慮しているところがある。とりわけ地方では厳しい状況であり、例えば財政制度等審議会の提唱する「診療所の報酬を5.5%引き下げる」ような対応を行った場合、医療を守ることができるのだろうか。慎重に検討する必要がある」とも付言しています。

11月28日の定例記者会見に臨んだ、日本病院会の相澤孝夫会長



今後の内閣における改定率設定や、中医協における改定内容論議に、こうした調査結果がどのように活かされるのか注目が集まります。



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