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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

初診からの向精神薬処方など「不適切なオンライン診療」を是正、D to Pwith N・D to Pwith Dを適切に推進—中医協総会(2)

2023.11.9.(木)

初診からの向精神薬処方などの「不適切なオンライン診療」を診療報酬面で是正していく—。

また適切なオンライン診療の普及に向け「オンラインによる睡眠時無呼吸症候群治療」「へき地でも、いわゆるD to Pwith N推進」「指定難病の『診療』に対するD to Pwith D拡大」(遠隔連携診療料の拡大)を図っていく—。

11月8日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こうした議論も行われました(関連記事はこちらこちら)(同日の急性期入院医療に関する記事はこちら)。

不適切なオンラインが一部にあり、診療報酬面でこれをどう是正していくか

2018年度の診療報酬改定で「オンライン診療料」などが創設され、情報通信機器を用いた診療が本格的にスタートしています。その後、「新型コロナウイルス感染症に伴うオンライン診療の拡大」、「一定の要件下での初診からのオンライン診療の解禁」など、その範囲は拡大してきています。

2024年度の次期診療報酬に向けて「適切な形でオンライン診療等、情報通信機器を用いた診療を拡大している」方策が検討されており(関連記事はこちら)、11月8日の中医協総会では、厚生労働省保険局医療課の眞鍋馨課長から次のような論点が示されました。

(1)情報通信機器を用いた診療の現状を見ると「一部に不適切なケース」がある点を踏まえ、どのような対策が考えられるか

(2)情報通信機器を用いた疾病管理を推進する観点で、例えば「睡眠時無呼吸症候群の診療」について、いわゆるオンライン医学管理を拡大できないか

(3)へき地において、いわゆる「D to P with N」が有効であることを踏まえ、へき地における情報通信機器を用いた診療をどう推進していくか

(4)遠隔連携診療料について対象を拡大できないか



まず(1)では、一部に「診療するほぼ全ての患者が他の市町村に所在している医療機関がある」「不眠症に対し初診から抗精神薬が処方されるケースがある」ことを踏まえた、適切な情報通信機器を用いた診療の推進策を探るものです(関連記事はこちら)。

オンライン初診で、禁止されている「向精神薬処方」がなされている(中医協総会(2)1 231108)



オンライン診療の適切な実施に関する指針(オンライン診療指針)では、▼患者の急病急変時に適切に対応するため、患者が速やかにアクセスできる医療機関において直接の対面診療を行える体制を整えておく▼初診の場合には「麻薬・向精神薬の処方」は行わない—ことが定められています。

前者では「他医療機関と連携して対面診療を行う」ことも認められているため、「ルール違反」とは言えませんが、「ほぼすべてのオンライン診療で『他の市町村に所在している患者』を対象としている」事態には疑問が生じます。

また後者は明らかに「ルール違反」です。

こうした点を踏まえて診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、▼いわゆる「7.1報告」(7月1日時点の施設基準取得状況などを厚生局に報告する義務)において「対面診療体制の確保を含め、オンライン診療指針を遵守できているかどうか」の実態を把握できるようにすべき▼初診からの向精神薬処方、とりわけ依存性の高いベンゾジアゼピン系製剤などが行われないよう、適切に指導を行う必要がある—と提案。あわせて「依存性の高い薬剤については、オンライン再診時にも処方量上限を設けるなどの厳格な管理を行う必要がある」「精神疾患領域のオンライン診療については、その特性を踏まえた慎重な対応が必要である」と指摘しました。患者の生命・健康を守るためにも重要な提案・指摘と言えます。

また、支払側の松本真人委員も▼「ほぼすべてのオンライン診療で『他の市町村に所在している患者』を対象としている」事態には疑問も生じるが、「隣接市町村に居住している」ことも考えられる、「オンライン診療医療機関と患者宅との距離」などを尺度にした分析ができないか検討すべき▼初診の麻薬等処方はルール違反であることの周知を徹底すべき—と提案しています。

なお、長島委員は、オンライン診療の実施要件から削除された「時間要件(急変時等には概ね30分で対面診療ができるようにしておくこと)」と「割合要件(オンライン診療/再診+オンライン診療の割合が10%以下)」について、今般の不適切事例から「両要件の有用性が再確認されたと言える」とも指摘しています。オンライン診療推進という視点から、両要件は削除されていますが、今後「時間要件、割合要件の復活」論議が行われる可能性も否定できません。

あわせて長島委員は「不適切なオンライン診療が増えれば、患者、医療機関ともに不安を感じ、これがオンライン診療の普及にブレーキをかけてしまう。効率性・利便性のみを追求した拡大を行えば不適切事例が生じ、とりわけ医療では『取り返しのつかない事態』(健康・生命への被害)が生じかねないことを十分に理解する必要がある。有効性・安全性を確保し、必要性の高い部分に広げて安心感・信頼感を高めることが、オンライン診療の何よりの普及策である」とも付言しています。オンライン診療については「一部の企業がオンライン診療のシステム販路を広げるために、規制改革の名の下に無理な拡大を行っている」と指摘する識者もおられます。「適切な普及」策を十分に考えていく必要があるでしょう。

睡眠時無呼吸症候群のオンライン治療を保険診療で認められないか

また(2)は徐々に拡大されてきている、いわゆるオンライン医学管理について、睡眠時無呼吸症候群の治療法である「持続陽圧呼吸療法」(CPAP)にも拡大できないかという論点です。

この点、日本遠隔医療学会では、について▼睡眠時無呼吸症候群の診断が確実であること▼CPAP開始により睡眠時無呼吸症候群の症状である眠気やイビキなどの症状が改善していること▼通常の対面診療で確認するCPAP管理に係るデータ(CPAP記録の管理、睡眠状態の確認、マスク適合の確認、身体状況の確認)を、オンライン診療でも確認すること▼睡眠時無呼吸症候群に合併する身体疾患管理の必要性に応じて対面診療を適切に組み合わせること—という要件を満たせば、「オンラインによるCPAP」を保険診療の中で実施することが可能である旨の声明を出しています。

オンラインCPAPに関する学会声明(中医協総会(2)2 231108)

CPAPで求められる管理(中医協総会(2)3 231108)



長島委員は「学会指針が守られることを担保することを条件に、オンラインCPAPを認めてもよいのではないか」旨の、松本委員も「学会声明および、診療実態を踏まえて適正性を担保したうえで、オンラインCPAPを認めてもよい」旨の考えを示しています。今後、オンラインCPAPの保険適用に向けた詳細が詰められていきます。

なお、オンライン医学管理の点数は、現在「対面での医学管理料の87%」に設置されています(関連記事はこちら。現在、【在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料】の点数は管理料1:2250点、管理料2:250点に設定されており、この考えに沿えば「1957点程度、217点程度」になると推測されます。もちろん、2024年度改定で【在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料】の点数が見直される可能性も、また87%の水準が見直される可能性もあり、詳細は今後を待つ必要があります。

へき地での「D to P with N」を診療報酬でどう推進していくか

他方、(3)は「医療人材が不足するへき地でこそ、オンライン診療の活用が期待されるが、へき地医療拠点病院・へき地診療所ではオンライン診療が十分に普及していない」「へき地における、いわゆる『D to P with N』の有効性が報告されている」ことを踏まえ、どのように「D to P with N」を推進していくべきか、という論点です。

「D to P with N」とは、「看護師が患者と対面し、直接サービスを提供する」+「オンラインで遠方の医師から診療を受ける」形態で、「オンライン診療では得られない患者情報(匂い、細かな表情など)を看護師が把握して、医師に伝達する」→「医師は、看護師に『咽頭の具合はどうか』などの患者状況把握を依頼する」→「医師の指導内容を、看護師がかみ砕いて患者に分かりやすく伝える」ことなどにより、良質なオンライン診療が確保されると非常に大きな期待が寄せられています。

D to P with Nは有用である(中医協総会(2)4 231108)



この点について、長島委員は「へき地でのD to P with Nを推進するべきであろう。現実的であり、また有効でもある。診療報酬だけでなく、インフラ整備や人材育成について地域医療介護総合確保基金や各種補助金もセットで対応するべきである」と提案。また松本委員は「看護師や医師に、オンライン診療の技術やIT知識などに関する研修受講を要件化してすすめるべき」と注文。さらに木澤晃代専門委員(日本看護協会常任理事)は「へき地でのD to P with N推進には、デバイス(タブレット端末など)操作、オンライン診療支援の技術、医師との信頼関係構築などの課題を同時に解消していく必要があり、これに資する診療報酬上の対応が求められる。また担当ナースは広く考えてほしい」と要望しています。

今後、こうした意見をもとに具体的な「診療報酬の姿」(点数、要件など)を詰めていくことになります。

指定難病の「診療」にも、遠隔連携診療料(D to P with D)を拡大できないか

さらに(4)は遠隔連携診療料の拡大に関する論点です。

遠隔連携診療料は、難病などの患者がかかりつけの医師との対面診療を受けながら、遠方の専門医とオンライン診断・診療を受ける(「てんかん」では診断・診療の双方、「指定難病」では診断)ことを評価するものです(いわゆるD to P with D、2020年度改定で新設され、22年度に拡充)。かかりつけ医との対面診療で「オンライン診療のデメリットである情報収集の困難さなどを克服」できるとともに、遠方の専門医の診療を「身近に受けられる」という大きなメリットがあることから、医師の地域偏在解消にもつながると期待されています。

しかし、算定回数を見ると、2022年6月審査分でも「わずか4回」にとどまっており、「ほとんど活用されていない」のが実際です。オンライン診療のデメリットを克服しながら、メリットを受けられる優れた仕組みであり、普及が待たれています(関連記事はこちら)。



この点について眞鍋医療課長は、「D to P with Dを指定難病である『炎症性腸疾患』の診療に実践している事例がある」こと、「D to P with Dの対象患者のうち、確定診断後の患者が診療件数の75%を占めたとの報告がある」ことなどを紹介。

D to P with Dの事例(中医協総会(2)5 231108)

D to P with Dの成果1(中医協総会(2)6 231108)

D to P with Dの成果2(中医協総会(2)7 231108)



ここから、遠隔連携診療料は「指定難病の診断」のみならず、「指定難病の診療」にも大きな効果を持つことが伺え、対象の拡大を検討していくことが期待されます。

この点については、松本委員から「遠隔連携診療料の拡大は、指定難病患者の安心にも、限られた医療資源の有効活用(日本で1人しか専門医がいないような希少疾病もあり、その医師のもとに定期的に通院することが難しいケースも多々ある)にもつながる」と、また長島委員から「指定難病の診療にも遠隔連携診療料を拡大していくことを前向きに検討すべきである。ただし、指定難病には様々あり、どのような評価が良いのかを考えていく必要がある。現在は『1年間を限度に3か月に1回算定可能』としているが、一律の算定基準で良いかも考えていくべきである」との考えが示されました。

眞鍋医療課長は「指定難病全体への拡大を想定しているが、改めて指定難病の実態を確認し、対象範囲を決定したい」旨の考えを示しています。

上述のように、指定難病では、例えば「日本で1人しか専門医がいない」ような希少疾病もあります。遠方から、その専門医のもとに定期的に通院することは難しく、「かかりつけの医師のもとに通院」しながら、遠方の専門医の「オンライン診療」を受けられる環境が整うことは指定難病患者には大きな朗報と言えるでしょう。

今後の詳細な詰めに期待が集まります。



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