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GemMed塾 看護モニタリング

乳がん再発リスクなどを検出するプログラム医療機器、メーカーの体制など整い2023年9月から保険適用―中医協総会(2)

2023.7.6.(木)

9月1日付で、乳がんの再発リスク等を検出するプログラム医療機器「オンコタイプ DX 乳がん再発スコアプログラム」を保険適用する—。

7月5日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こうした点が了承されました。同日には2024年度の薬価制度改革に向けた業界ヒアリングも行われており、別稿で報じます(「入院その1」に関する記事はこちら)。

オンコタイプDXの概要

厚労省の関係部局、PMDAが重層的に「プログラム開発状況」を確認する仕組みを新設

2021年11月10日の中医協総会において、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の早期浸潤性乳がん患者の腫瘍組織から抽出した21遺伝子のRNA発現の定量値に基づいて乳がんの再発スコアを算出するプログラム医療機器「オンコタイプ DX 乳がん再発スコアプログラム」(エグザクトサイエンス社)の保険適用が承認されました。

しかし、保険適用日(同年12月1日)の直前(11月30日)になって、当該社から厚生労働省に対して「本プログラムのソフトウェア上の必要な機能が揃っておらず、11月30日時点でも本プログラムの開発は完了していない。本プログラムの上市は、保険収載予定日である12月1日より遅延する見込みである」旨の報告が行われました。



医療機器について厚生労働省は「保険適用後遅滞なく供給を開始する」旨の基準を示しており、本プログラム医療機器では、この基準を満たせない異例の事態が生じたのです(当該社内で情報共有がなされておらず、厚労省への報告も直前となった)。このため中医協では▼12月1日からの保険適用を保留する▼今後、当該医療機器のプログラム開発の完了が確認された段階で、中医協において保険適用内容を改めて検討する―考えを決定(関連記事はこちら)。

あわせて、厚労省は再発防止策を固め、、2022年1月14日の中医協総会で了承されました(関連記事はこちら)。

▽プログラム医療機器のうち「薬事の審査過程で改修が指示され、改修を条件に承認されたもの」については、承認後上市までの間に「指示に従って改修・検証された」ことをPMDAが確認する

▽医療機器審査管理課は、医政局経済課(現、医薬産業振興・医療情報企画課)において、 開発完了に係る自己宣言書を受領に対し「承認時に改修予定品目を伝達する」とともに、「指示どおりに改修・検証されたことの確認結果」(書面)を共有する

▽医政局経済課は、上記の確認結果(書面)を把握した後で、改めて「保険適用時点にプログラムが稼働できる」ことを確認するため、企業より自己宣言書の提出を求めた上で保険適用プロセスに入る(保険医療材料等専門組織に諮る)



「指示に沿った改修がスケジュール通りに行われている」ことを厚労省・PMDAで重層的に確認したうえで保険適用を行っていく仕組みを新たに設けるものです。

その後、当該社で対応を進められ、今般、当該プログラム医療機器が適切に稼働することについて▼社内での検証テスト完了▼PMDAにおける確認▼厚労省保険局医療課における確認▼医薬産業振興・医療情報企画課における「開発完了に係る自己宣言書」の受領▼企業から再発防止策の提出―が済んだことを受け、改めて「保険適用の可否」を審査。次のように対応することが7月5日の中医協総会で決まりました。

オンコタイプDXへの対応

メーカーによる再発防止策



▽オンコタイプ DX 乳がん再発スコアプログラムについては、特定保険医療材料として設定せず、新規技術料として評価する

▽技術料は「4万3500点」(下記点数の合算)とする
▼D004-2【悪性腫瘍組織検査】の「1 悪性腫瘍遺伝子検査」の「イ処理が容易なもの」の「(1)医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」2500点×3回分
▼同点数の注1の「イ 2項目」4000点×2回分
▼同点数の注1の「ハ 4項目以上」8000点×2回分
▼B011-5【がんゲノムプロファイリング評価提供料】1万2000点



保険診療の中で、本プログラム医療機器を用いて乳がんの再発リスクを評価する場合のルールは、今後、改めて通知が示されますが、次のように設定される見込みです。
▽対象患者:ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で、リンパ節転移陰性、微小転移またはリンパ節転移1-3個の早期浸潤性乳がん患者

▽目的:遠隔再発リスクの提示、化学療法の要否の決定

▽必要な行為:腫瘍組織から抽出した21遺伝子のRNA発現の定量値に基づき乳がん悪性度判定検査実施

▽算定上限:患者1人につき原則1回、ただし、医学的必要性から2回以上の実施可(この場合、必要性をレセプトに記載)



このほか、7月5日の中医協総会では、次の新医療機器と新臨床検査の保険適用も承認されています。

【新医療機器】(本年(2023年)9月保険適用)
▽急性下肢動脈閉塞症、急性上腸間膜動脈閉塞症、重症な急性深部静脈血栓症のうち、「速やかな治療が必要」「外科的血栓摘除の実施が困難、または実施しても有効な治療効果が得られないと予想される」患者に対し、血流の再開を図るために使用する「INDIGO システム、Penumbraエンジン」(保険償還価格:44万8000円)

▽一定の要件を満たす胸部下行大動脈病変治療に使用する「ゴア CTAG 胸部大動脈ステントグラフトシステム」(149万円)



【新臨床検査】(本年(2023年)8月保険適用)
▽等温核酸増幅検出法(NEAR法)による「A群β溶血連鎖球菌核酸検出」(360点)



また、昨年(2022年)7月1日時点の主な施設基準の届け出状況・選定療養についての報告も行われており、今後の2024年度診療報酬改定論議の重要参考診療資料となります(厚労省サイトはこちら(施設基準)こちら(選定療養))。



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