Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

2024年度の診療報酬・介護報酬・障害福祉等サービス報酬の同時改定で「医療・介護・障害者福祉の連携強化」目指せ—中医協総会(2)

2023.6.15.(木)

6月14日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、これまでに3回開かれた「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会」の概要が、厚生労働省保険局医療課の眞鍋馨課長から報告されました。

意見交換会では、(1)地域包括ケアシステムのさらなる推進のための医療・介護・障害サービスの連携(2)リハビリテーション・口腔・栄養(3)要介護者等の高齢者に対応した急性期入院医療(4)高齢者施設・障害者施設等における医療(5)認知症(6)人生の最終段階における医療・介護(7)訪問看護(9)薬剤管理—など、医療と介護の双方に跨るテーマについて、中医協委員と社会保障審議会・介護給付費分科会委員との間で問題点や今後の方向性などについて認識の共有が行われました。

このうち(1)「医療・介護・障害サービスの連携」に関しては、高齢化の進展により「医療・介護の複合的ニーズを抱える高齢者」が増加する一方で、支え手となる「現役世代」人口が急速に減少していくを踏まえ、効率的かつ効果的なサービス提供のために▼職種間の連携▼情報の連携—が重要であることを確認。あわせて連携推進のために、例えば「情報の項目・様式の統一・標準化を進める」「主治医が『ケアマネから介護・生活に関わる情報を得て、より効果的な医療提供につなげる』ことも重要である」「医療DXでは、今から『介護分野との連携』を視野にいれておく」などの方向性を確認しています(関連記事はこちら)。

また(2)「リハビリテーション・口腔・栄養」に関しては、「リハビリの効果を上げるためには栄養状態の改善が必要」→「栄養状態の改善には、口腔機能の維持・確保が重要である」点を再確認したうえで、「医療におけるリハビリ実施計画書などの情報を、介護分野に確実に引き継ぐ」ための仕組み創設(診療報酬・介護報酬での対応)などが論点に掲げられています(関連記事はこちら)。

他方、(3)「要介護高齢者等の急性期入院医療」に関しては、▼急性期病棟にも要介護高齢者等が数多く入院している▼急性期病棟での安静臥床が要介護状態等を悪化させてしまう—といった問題点を確認したうえで、(a)急性期病棟にも介護職員配置を進める(b)要介護高齢者などは介護力が充実した地域包括ケア病棟や医療ショート等で主に対応する―という大きく2つの方向性が示され、今後、中医協を中心に議論を重ねていくべきこととなりました(関連記事はこちら)。

また、(4)「高齢者施設・障害者施設等における医療」については、▼施設の医療職種配置状況などに応じて「施設スタッフでの対応を強化する」手法・「往診等の外部医療機関による対応をより円滑化する」手法の組み合わせで強化していくこと▼介護施設等と医療機関の連携に当たっては、施設入所者に求められる医療と、医療機関の役割とのミスマッチが生じないようにする(「高度急性期医療を担う特定機能病院との連携」などは相応しくない)こと▼介護施設等の感染対策強化に向け、例えば【感染対策向上加算】などの要件となっている合同カンファレンス・訓練に、介護施設等の参加を求めていくこと—などを今後、具体的に検討していく方向が明らかにされました(関連記事はこちら)。

一方、(5)「認知症」対応については、「早期発見・早期対応」に向けて医療・介護の多職種連携などをこれまで以上に推進していくことや、急性期入院医療においても「身体拘束ゼロ」を目指すべきことなどを確認しています(関連記事はこちら)。

また、(6)「人生の最終段階における医療・介護」に関しては、医療・介護職でも「知らない」スタッフが少なからずいることなどが明らかにされ、「これまで以上に普及・啓発を進めていく」「日常診療・日常介護の中で、人生の最終段階で受けたい医療・ケア、受けたくない医療・ケアについて話し合いを進めていく」方向が明確されました(関連記事はこちら)。

さらに(7)訪問看護については、「高齢化がさらに進展し、医療・介護ニーズが増大・多様化する中で質と量の充実を進めていく」ことを確認し、早くも「24時間・365日対応の推進」「医療ニーズが高い利用者への対応力向上」「医療保険・介護保険の制度上の差異解消」「医療技術の高度化で、従前は在宅療養が不可能であった者の在宅療養を可能とするための、訪問看護制度の見直し」などの具体的な論点が浮上しています(関連記事はこちら)。



今後、こうした意見も踏まえて、具体的な改定論議が中医協と介護給付費分科会で進められていきます。6月14日の中医協総会では、今後の議論に向けて「2024年度は診療報酬・介護報酬の同時改定が行われる。これを機に医療・介護連携の一層の推進を図る必要がある」(安藤伸樹委員:全国健康保険協会理事長)、「2024年度は障害福祉等サービス報酬改定も行われる。医療と福祉との連携・相互理解も進めてほしい」(高町晃司委員:日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)などの要望が出ています。



また、6月14日の中医協総会では、医療DXの基盤とも言える「マイナンバーカード」について、「他人の情報が紐づけられていた」点について、保険者代表である松本真人委員(健康保険組合連合会理事)から「厚労省指示の下で、情報の総点検を行っている」ことが報告されました。この点、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「医療DX推進、オンライン資格確認等システムの円滑利用などのために、国民・患者から十分な信頼を得なければならない。データの正確性確保に全力で取り組んでほしい」と要請しています。



なお、6月14日の中医協総会では、眞鍋医療課長から新たな先進医療・患者申出療養(いずれも保険外の医療技術について、保険診療との併用を認め、データ収集の上で保険適用を目指す仕組み)について次のような報告を受けています。

【新たな先進医療】
▽胚移植を受ける不妊症患者(反復する体外受精又は顕微授精・胚移植(ART)の不成功の既往を有する、反復する流死産の既往を有する、患者・パートナーいずれかの染色体構造異常(均衡型染色体転座など)が確認されている、のいずれかを満たす)に対する「着床前胚異数性検査」(大阪大学医学部附属病院で実施)

【新たな患者申出療養】
▽胸部悪性腫瘍に対する経皮 凍結融解壊死療法(慶應義塾大学病院で実施、関連記事はこちら



病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

【関連記事】

医師働き方改革サポートする【地域医療体制確保加算】取得病院で、勤務医負担がわずかだが増加している—中医協総会(1)
患者・一般国民の多くはオンライン診療よりも対面診療を希望、かかりつけ医機能評価する診療報酬の取得は低調―入院・外来医療分科会(5)
医師働き方改革のポイントは「薬剤師へのタスク・シフト」、薬剤師確保に向けた診療報酬でのサポートを―入院・外来医療分科会(4)
地域包括ケア病棟で救急患者対応相当程度進む、回復期リハビリ病棟で重症患者受け入れなど進む―入院・外来医療分科会(3)
スーパーICU評価の【重症患者対応体制強化加算】、「看護配置に含めない看護師2名以上配置」等が大きなハードル―入院・外来医療分科会(2)
急性期一般1で「病床利用率が下がり、在院日数が延伸し、重症患者割合が下がっている」点をどう考えるべきか―入院・外来医療分科会(1)

総合入院体制加算⇒急性期充実体制加算シフトで産科医療等に悪影響?僻地での訪問看護+オンライン診療を推進!—中医協総会
DPC病院は「DPC制度の正しい理解」が極めて重要、制度の周知徹底と合わせ、違反時の「退出勧告」などの対応検討を—中医協総会
2024年度の費用対効果制度改革に向けた論議スタート、まずは現行制度の課題を抽出―中医協
電子カルテ標準化や医療機関のサイバーセキュリティ対策等の医療DX、診療報酬でどうサポートするか—中医協総会

日常診療・介護の中で「人生の最終段階に受けたい・受けたくない医療・介護」の意思決定支援進めよ!—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
訪問看護の24時間対応推進には「負担軽減」策が必須!「頻回な訪問看護」提供への工夫を!—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
急性期入院医療でも「身体拘束ゼロ」を目指すべきで、認知症対応力向上や情報連携推進が必須要素—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
感染対策向上加算の要件である合同カンファレンス、介護施設等の参加も求めてはどうか—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
要介護高齢者の急性期入院医療、介護・リハ体制が充実した地域包括ケア病棟等中心に提供すべきでは—中医協・介護給付費分科会の意見交換
2024年度の診療報酬に向け、まず第8次医療計画・医師働き方改革・医療DXに関する意見交換を今春より実施—中医協総会