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勤務医の労働時間上限規制が2024年度から厳格される中、「救急医療体制の確保」が極めて重大な課題となる―入院・外来医療分科会(3)

2023.10.6.(金)

勤務医の労働時間上限規制が2024年度から厳格される中、「救急医療体制の確保」が極めて重大な課題となる―

かかりつけ医機能について、「医療サイドが想定する機能」と「患者が求める機能」との間に一定のギャップがあり、この解消が重要になる—。

「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた適切な意思決定支援に関する指針について、「入院料間の差」「入院・外来での差」などが大きくある。「早期の意思決定支援」に向けた取り組みを進める必要がある—。

10月5日に開催された診療報酬調査専門組織「入院・外来医療等の調査・評価分科会」(以下、分科会)では、こうした議論も行われました(一般病棟用の看護必要度見直しに関する記事はこちら、DPC制度改革に関する記事はこちら)。近く、分科会としての最終とりまとめを行います。

かかりつけ医機能、「医療サイドの想定」と「患者の要望」との間に一定のギャップ

Gem Medで報じているとおり、2014年度の診療報酬改定から「入院医療改革について、下地となる専門的な議論を分科会で行い、それを踏まえて中医協で改革方法を固める」という流れができ、さらに外来医療についても同様の形で専門的な議論を行うことになっています(ただし、2016年度改定からは、実質的な方向付けまでは行わず、「専門的な調査・分析」と「技術的な課題に関する検討」にとどめている)。

2024年度の次期診療報酬改定に向けては、「2022年度の前回改定後の医療現場の状況」を見た検討が必要で、分科会ではこれまで「2022年度調査結果」をベースにした技術的検討が続けられてきました。さらに10月5日の分科会では「2023年度調査結果」の速報値が報告されました。データは膨大なため本稿では注目されるポイントに絞って眺めてみます。

【救急医療体制】
▽救急搬送受け入れ件数を見ると、多くは「急性期一般1」で受けている(急性期一般1「以外」では救急告示病院でも受け入れが少ない)

▼今後、ますます「高齢者の救急搬送」が増え、地域包括ケア病棟等での受け入れ強化が重要になるが、夜間・休日の受け入れ対応が困難なケースも少なくない。医師働き方改革(2024年4月から勤務医の労働時間上限規制が強化される)に伴い、当直医確保も難しくなっていくる。こうした点を考慮すれば「まず急性期一般1で救急搬送患者を受け、そこから平日の日中に地域包括ケア病棟に転院させる」という流れがますます重要になってくる(牧野憲一委員:日本病院会常任理事、旭川赤十字病院院長)

救急搬送について1(入院・外来医療分科会(3)1 231005)

救急搬送について2(入院・外来医療分科会(3)2 231005)



【急性期充実体制加算】
▽【総合入院体制加算】から【急性期充実体制加算】への移行に伴い、精神科実施などが減少している

▼地域医療確保のために推移を慎重に見守る必要がある(中野惠委員:健康保険組合連合会参与)

急性期充実体制加算について(入院・外来医療分科会(3)3 231005)



【かかりつけ医機能】
▽慢性疾患に係る適切な研修を修了医師は40.8%、日本医師会のかかりつけ医機能研修を全て修了した医師は36.9%の医療機関に配置されている

▽施設が有するかかりつけ医機能としては「必要時に専門医に紹介する」が最多で、患者が「かかりつけ医」に求める役割も「必要時に専門医に紹介する」が最多である

医療サイドの考える「かかりつけ医機能」(入院・外来医療分科会(3)5 231005)

患者サイドの考える「かかりつけ医機能」(入院・外来医療分科会(3)6 231005)



▽医療機関における「書面を用いた患者への説明」について、「患者の病状」に関するものが最多で、「介護・福祉サービス」の説明は27.7%であった(医療法改正で「慢性疾患患者への書面交付・説明」が努力義務となる、関連記事はこちら

書面を用いた患者説明の状況(入院・外来医療分科会(3)7 231005)



▽医療・介護連携に関しては、「主治医意見書の作成」96.9%、「サービス担当者会議への参加」40.4%、「介護支援専門員とのケアプラン策定等に係る相談時間確保」39.0%など

医療・介護連携について(入院・外来医療分科会(3)8 231005)




▼医療・介護に関しては形式にとどまらず、「真の連携」を進めるべき(中野委員)
▼患者は「かかりつけ医機能」として「どんな病気でもまずは診療してくれる」機能を強く求めているが(2番目に多く、8割近い)が、施設ではその意識は低い(5割にとどまる)。このギャップ解消が今後重要になろう(小池委員)



【外来化学療法】
▽「患者からの電話等による緊急の相談等に対する相談窓口を設けている」ことのホームページでの紹介は58.6%、「外来で実施可能なレジメンの割合」のホームページでの紹介は26.4%にとどまっている

▼外来化学療法の体制にとどまらず、様々な情報をホームページで公表し、患者・国民の医療機関選択に資するように進べき(鳥海弥寿雄委員:東京慈恵会医科大学医療保険指導室室長)

外来化学療法のホームページ公表状況(入院・外来医療分科会(3)9 231005)



【術後疼痛管理】
▽2022年度の前回改定で新設された【術後疼痛管理チーム】を届け出ている施設は12%にとどまり、届け出のハードルとしては「所定の研修を修了した専任の薬剤師・看護師の確保」が大きい

術後疼痛管理チームの状況(入院・外来医療分科会(3)12 231005)



【ACP】
▽「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた適切な意思決定支援に関する指針について、「入院料間の差」「入院・外来での差」などが大きくある

▼「早期の適切な意思決定支援」につながるよう、ACP策定を進めていく必要がある(鳥海委員、中野委員)

入院のACP状況(入院・外来医療分科会(3)10 231005)

外来のACP状況(入院・外来医療分科会(3)11 231005)



更なる分析・技術的検討を進めたうえで「最終とりまとめ」の早急な取りまとめを目指します。



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