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地域包括ケア病棟への入院料逓減制、障害者施設等での施設基準明確化、提出データ評価加算の要件見直しなど検討―入院・外来医療分科会(3)

2023.10.3.(火)

地域包括ケア病棟について、入院期間の経過とともに「資源投入量が漸減する」状況があることを踏まえ、「入院料の逓減制」を検討してはどうか—。

障害者施設等において、対象疾患でない患者(慢性腎不全など)が多く入院している病棟が一部に存在することを踏まえ、「基準の明確化」「透析患者の評価見直し」などを検討してはどうか—。

データ提出加算2の上乗せ加算である【提出データ評価加算】について、現在の基準では「ほとんどが上乗せ加算を取得可能である」状況にあることを踏まえ、より実効性のある要件・基準の設定を検討してはどうか—。

9月29日に開催された診療報酬調査専門組織「入院・外来医療等の調査・評価分科会」(以下、入院・外来医療分科会)では、こういった議論も行われました(同日の「医療従事者の働き方改革」を支える診療報酬に関する記事はこちら、救急医療管理加算に関する記事はこちら)。

地域包括ケア病棟に「入院料の逓減性」を導入してはどうか

地域包括ケア病棟については、これまでに「高齢の救急搬送患者受け入れをより積極的に受けるための対策」「短期滞在手術等基本料算定患者を各種指標の計算対象からの除外」「救急搬送され、地域包括ケア病棟に直接入棟する患者への早期リハビリ実施」などを検討する方向で議論が進められてきています(関連記事はこちら)。

さらに9月29日の会合では、新たに次のようなデータが厚生労働省から示されました。

▽救急搬送後「直接」入棟の患者の割合が10%以上である地域包括ケア病棟は、その割合が10%未満である病棟と比べ、看護職員数・看護要員数がやや多い

救急搬送患者を直接受ける割合が多い地域包括ケア病棟と、そうでない病棟との実看護配置の差(入院・外来医療分科会(3)1 230929)



▽地域包括ケア病棟入院料算定患者の1日あたりの医療資源投入量(包括範囲)は、入院後に「漸減する」傾向にある

地域包括ケア病棟でも、入院期間経過とともに医療資源投入量が漸減する(入院・外来医療分科会(3)2 230929)



前者の点からは、「救急搬送後に直接入棟する患者が多い地域包括ケア病棟では人的コストが大きなため、診療報酬上の高い評価を行うべきではないか」との方向が見えてきます。委員から「看護職員の加配を行う病棟などに一定の評価を行うべき」(津留英智委員:全日本病院協会常任理事)との指摘が出る一方で、「評価を変えるほどの看護職員加配は行われているようには見えない」(中野惠委員:健康保険組合連合会参与)との声も出ています。さらに議論を継続する必要があるでしょう。

また、後者については「入棟初期の高コストには、14日間の初期加算(急性期患者支援病床初期加算、在宅患者支援病床初期加算)で評価がなされているが、その後も資源投入量が漸減する点を踏まえて、入院料・管理料にも逓減性(入院期間が長くなれば低い点数に減額していく仕組み)を導入してはどうか」との意見が武井純子委員(社会医療法人財団慈泉会 相澤健康センター総合管理部長)から出ており、中野委員もこれに賛意を示しています。

地域包括ケア病棟等には「60日間の入棟」が認められます(以降の入院は特別入院基本料という低い点数を算定することになる)が、「より早期の在宅復帰を促す仕組み」の必要性が指摘されていると言えます。今後の重要な検討テーマの1つになりそうです。

障害者施設等、施設基準を明確化するとともに、透析患者入院の評価を見直しへ

慢性期入院医療に関しては、これまでに「療養病棟における医療区分の精緻化」や「療養病棟における中心静脈栄養からの早期離脱促進」などが議論されてきましたが(関連記事はこちら)、9月29日の入院・外来医療分科会では【障害者施設等入院基本料】【特殊疾患病棟入院料】に関する議論が行われました。

とりわけ【障害者施設等入院基本料】では、病態の不安定な患者を一定程度受け入れることが求められ、検査や処置が「出来高算定」可能となっています。しかし、脳卒中患者について「療養病棟では検査等が包括評価される」のに対し、「障害者施設では検査等が出来高算定可能である」ことは不公平であるために、病態が同じ患者は「同じ評価とする」との視点で見直しが行われてきてます(一部の病棟では「検査や薬剤を出来高で算定できる」ルールを不当に利用している点が従前から問題視され、是正の必要があった)。前回の2022年度改定では「重度の意識障害を有さない脳卒中患者」についても、療養病棟入院基本料と同じ評価体系とする見直しが行われました(すでに「重度の意識障害を有する脳卒中患者」では療養病棟入院基本料の評価体系と、検査等の出来高算定は認めていない、関連記事はこちら)。

さらに2024年度の次期診療報酬改定に向け、厚労省は次のようなデータを示しています。

▽障害者施設等入院基本料では「重度の肢体不自由児・者、脊髄損傷等の重度障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者、難病患者」が全入院患者の「概ね7割以上」であることが求められるが、12.6%の病棟でそうした患者が7割未満である

基準をクリアしない障害者施設の状況(入院・外来医療分科会(3)3 230929)



▽特殊疾患病棟入院料1では「重度の肢体不自由児・者、脊髄損傷等の重度障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者、難病患者」が全入院患者の「概ね8割以上」であることが求められるが、16.7%の病棟でそうした患者が8割未満である

基準をクリアしない特殊疾患病棟の状況(入院・外来医療分科会(3)4 230929)



▽上記の「概ね7割以上」「概ね8割以上」をクリアできていない病棟では、「慢性腎不全」患者が多く入院しており、中には「100%慢性腎不全患者である」病棟もある

障害者施設に「慢性腎不全」患者が入院するケースも少なくない(入院・外来医療分科会(3)5 230929)



また、透析患者へのレセプト請求点数を見ると、「療養病棟<障害者施設」となっており、「不公平」と見ることもできそうです。

療養の透析患者と、障害者施設の透析患者とでは、請求点数の相当の差がある(入院・外来医療分科会(3)6 230929)



こうした状況から、▼施設基準の「概ね●割以上」という規定を、「●割以上」と明確化してはどうか▼障害者施設病棟・特殊疾患病棟における「透析患者」の評価を見直してはどうか—との論点が厚労省から示されています。

この点については、「基準を明確化し、クリアできない場合には入院料を減額するなどの対応が考えられるのではないか」(猪口雄二委員:日本医師会副会長)、「障害者施設等を透析患者対応に使用することは好ましくない、基準を明確化し、適正化を促すべき」(中野委員)との声が出る一方で、「20対1の療養病棟では、重度の慢性腎不全患者に十分な対応が難しいという面も考慮すべき。当該患者対応のために一時的に看護職員を加配することも困難である」(井川誠一郎委員:日本慢性期医療協会副会長)との指摘もあります。より実態を詳しく見て、どういった対応をとるべきかを検討することになります。

データ提出加算の「提出データ評価加算」、要件を実効性あるものに見直してはどうか

ところで、「より質の高い医療提供」「医療内容の標準化」などを目指し、【データ提出加算】が設けられています。自院の状況を他院と比較することで「診療内容を見直し、質の向上、標準化が進む」ことを期待するものです。

この【データ提出加算】には、「データの質」を高める取り組みをしている医療機関を評価する【提出データ評価加算】という上乗せ加算が設けられています。具体的には「データ提出加算2を取得し、未コード化傷病名の割合が様式1・外来EFファイルで2%未満、レセプトで10%未満である」場合などに40点が上乗せされます。

しかし、厚労省の調べでは「データ提出加算2を算定する医療機関のほとんどが、医科レセプトの未コード化傷病名の割合が極めて低い」ことが分かりました。つまり、データ提出加算2取得病院では、ほぼ【提出データ評価加算】の要件をクリアしている格好です。

提出データ評価加算の要件は、データ提出加算2取得病院のほとんどでクリアできている1(入院・外来医療分科会(3)8 230929)

提出データ評価加算の要件は、データ提出加算2取得病院のほとんどでクリアできている2(入院・外来医療分科会(3)9 230929)



このデータを踏まえて林田賢史委員(産業医科大学病院医療情報部部長)は「未コード化傷病名割合は『データの質を確保する』という面では役割を終えたのではないか、今後、『適切な教育・研修を受けた人間によるコーディングが実施されているか』といった体制を評価軸に据えるなどの見直しを検討してはどうか」とコメントしています。

この点について見直しが行われた場合、DPC「保険診療指数・係数」の「未コード化傷病名割合に着目した減算」規定にも見直しが波及する可能性があります。



このほか9月29日の入院・外来医療分科会では、▼短期滞在手術等基本料1について「入院」で行われるケースが少なからずある点を検討すべき(外来でしっかり実施しているところを適切に評価すべき)▼短期滞在手術等基本料3の該当手術について入院期間などが短縮している点を踏まえた見直しを検討してはどうか▼医療資源の乏しい地域では、リハビリスタッフ入るものの、回復期リハビリ病棟の基準クリアが難しいケースが少なくない。また在宅療養支援病院の基準クリアも難しく、それぞれについて柔軟化を検討すべきではないか—などの意見が出ています。

医療資源の乏しい地域では、リハスタッフは一定数いるものの、回復期リハビリを設定できないケースが少なくない(入院・外来医療分科会(3)7 230929)



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