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「外来管理加算の廃止」の支払側提案に、診療側委員は猛反発、「かかりつけ医機能」の診療報酬評価をどう考えるか—中医協総会(1)

2023.11.10.(金)

再診料の「外来管理加算」について、「要件が極めて曖昧であり廃止する」べきか、「内科系の指導管理を評価する、医療機関経営の重要な収益源でもあり、維持する」べきか—。

医療・介護連携の更なる強化を目指し、「地域包括診療・地域包括診療加算」や初診料の「機能強化加算」について「医師のサービス担当者会議への出席を要件化して、顔の見える関係構築を求めていく」べきか、「連携方法はさまざまであり、サービス担当者会議への出席は、あくまで連携の1ケースにとどめる」べきか—。

かかりつけ医機能を評価する診療報酬項目(地域包括診療加算、特定疾患療養管理料、外来管理加算、生活習慣病管理料など)について、「要件などが重複しており、患者にも分かりにくい点を踏まえて併算定の制限をかけていく」べきか、「各種点数の中から、医療機関・医師が最適なものを選択している点を踏まえて、現行通りの併算定を認める」べきか—。

11月10日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こうした激論が繰り広げられました。診療側・支払側で意見の隔たりが非常に大きく、今後も議論が継続されます(関連記事はこちら(中医協総会の医療・介護連携論議)こちら(第1ラウンド論議)こちら(入院・外来医療等の調査評価分科会のとりまとめ))。

同日の中医協総会では「入院時食事療養費の患者自己負担引き上げ」論議なども行われており、これらは別稿で報じます。なお、同日には「地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟」も議題に上がりましたが、時間切れで「次回以降に持ち越し」となっています。

外来医療の機能分化・連携の推進、医療DX対応を診療報酬でどう進めていくか

外来医療についても、入院医療と同様に「まず、かかりつけの医療機関を受診し、診断、治療を受ける」→「当該医師が『専門的な、高度な診療が必要である』と判断した場合には、高度・専門的な医療を行う医療機関(特定機能病院、地域医療支援病院、紹介受診重点医療機関など)を紹介する」→「高度・専門的な医療を終え、状態が安定したきたと医師が判断した場合には、地域のかかりつけの医療機関に逆紹介する」という流れ(機能分化・連携の強化)の推進が図られてきています。

このため、2022年度の前回診療報酬改定では、例えば「紹介受診重点医療機関の診療報酬上の評価、紹介状なし患者の定額負担引き上げ」などが行われました(関連記事はこちら)。今夏には「紹介受診重点医療機関」の公表も行われています(厚労省サイトはこちら)。

一方、紹介を行う「かかりつけの医療機関」については、2023年の医療法改正(「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」の一部)で、▼医療機能情報提供制度の刷新(来年(2024年)4月施行)▼かかりつけ医機能報告の創設(再来年(2025年)4月施行)▼慢性疾患患者等に対する書面交付・説明の努力義務化(再来年(2025年)4月施行)—を行うことになり、現在、具体的な報告制度創設に向けた議論が進められています(関連記事はこちら)。



そうした中で、厚生労働省保険局医療課の眞鍋馨課長は「外来医療の機能分化・連携の更なる推進」「かかりつけ医機能の強化」に向け、次のような点を2024年度診療報酬改定に向けて議論してほしいと中医協総会に要請しています。

(1)外来機能の分化・連携を更に推進するため、医療DXを推進するためにどういった方策が考えられるか

(2)地域包括診療料・加算や機能強化加算について「主治医と介護支援専門員双方向のコミュニケーションを促す」ことをどう考えるか

(3)医療DXの推進等を踏まえ、かかりつけの患者の診療情報を一元的に医療情報プラットフォームを活用して管理することも想定され状況や、今後、高齢・認知症の患者が増加することなどを踏まえ、「かかりつけ医機能をより強化するための診療報酬上の評価」をどのように考えるか

(4)近年「ICTを活用して時間外の患者相談に対応する医療機関外のサービス」が登場しているが、これらと「時間対応加算」や「かかりつけ医機能を評価する診療報酬」との関係をどう考えるか

(5)改正医療法に基づき「書面を用いた説明」がかかりつけ医機能の1つとして努力義務化される(上述)点等を踏まえ、診療報酬で、どのように「文書交付(電磁的なものも含む)による患者への適切な説明」を推進していくか

(6)「特定疾患療養管理料」について、▼生活習慣病管理料と異なり「詳細な療養計画書の作成」が求められていない点▼地域包括診療料等の取得医療機関と比べて「かかりつけ医機能が高い」とは言えない点—等を踏まえ、「特定疾患療養管理料」の要件など、生活習慣病に係る診療報酬上の療養指導の評価の在り方をどう考えていくか

(7)かかりつけ医機能を評価する診療報酬(地域包括診療加算、特定疾患療養管理料、外来管理加算、生活習慣病管理料など)の併算定等をどう考えていくか



まず(1)は、例えば直近の紹介・逆紹介の状況などを踏まえて「紹介状なし患者が大病院外来を受診した場合の定額負担」(受診時定額負担)や「紹介受診重点医療機関入院診療加算」などを見直す必要があるか、という議題と考えることができます。

この点、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「200床未満の紹介受診重点医療機関も存在しており、ここにも『紹介状なしに外来受診した場合の受診時定額負担を導入する』ことなどを検討すべきではないか」と提案。

これに対し、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「今夏(2023年夏)に紹介受診重点医療機関の公表などがなされ、これから地域の外来医療提供体制の状況・変化などをフォローしていく段階に入ったばかりである」旨を指摘し、松本委員の提案に反対。また同じく診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、「受診時定額負担により外来患者が減少すると見込まれ、それに手当するための診療報酬上の評価(紹介受診重点医療機関入院診療加算など)がセットとなっている。200床未満では紹介受診重点医療機関入院診療加算が設けられておらず、当然、受診時定額負担の導入もあり得ない」と反対しています。



関連して、2024年度中の稼働を見据えて準備が進められている「電子カルテ情報共有サービス」(関連記事はこちら)やオンライン資格確認等システムの利活用推進などを踏まえ、診療報酬上の評価をどう考えるかという論点もあります。

この点について長島委員は「標準的な電子カルテが医療現場に浸透するまでは、既存の地域医療情報連携ネットワークを診療報酬にどう馴染ませるかを検討すべきではないか。もちろん新たな電子カルテ情報共有サービスの基盤整備に向けた対応も重要である」とコメントするにとどめています(日本医師会総合政策研究機構の地連調査結果はこちら)。電子カルテ情報共有サービスの開発状況、それに対応する医療機関の準備状況、オンライン資格確認等システムの利活用状況なども見ながら検討を継続することになりそうです。

電子カルテ情報等の共有する仕組みの全体像(医療情報利活用基盤WG(1)1 230309)

医療・介護連携の強化に向け、診療報酬サイドからどういった手当てをしていくべきか

一方、(2)では「中身のある医療・介護連携」を推進するためにどのような方策が考えられるかという論点です。

この点、松本委員は「医師のサービス担当者会議(介護保険利用者にどのようなサービスを提供するかが望ましいかを多職種で協議する会議)出席は極めて低調である。医療・介護間で顔の見える、中身のある連携体制を構築するために、地域包括診療料など、かかりつけ医機能を評価する診療報酬では『サービス担当者会議への出席』を要件化(=義務化)すべきである」と提案しました。

これに対し診療側の長島委員、池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長、福井県医師会長)、江澤委員らは、「中身のある医療・介護連携は『サービス担当者会議への出席』以外の手段(主治医からケアマネジャーへの適切な情報共有、ケアマネからの相談に主治医が応じるなど)でも十分に可能である。サービス担当者会議への出席負担は非常に重く、要件化はあまりに非現実的である」旨を強く反論しています。

また松本委員は「様々なデータを見ても、中医協と社会保障審議会・介護給付費分科会との意見交換会の議論からも、医療・介護連携は、言われるほどは進展していない。今のままでは連携が進んでいかない」とも述べましたが、江澤委員や池端委員は「医療・介護連携は、完璧とは言えないが、現場ではかなり進んでいる。サービス担当者会議への出席も重要だが、連携手段はそれのみではなく、医療機関の体制、地域の状況、介護サイドの体制等、それぞれの特性に合わせた最適な手段がある」旨を説き、理解を求めています。

医療DXの推進を見据え、診療報酬の「情報連携」要件をどのように見直していくべきか

他方、(3)はオンライン資格確認等システムや電子カルテ情報共有サービスなどの医療DXの進展を踏まえて、例えば各種文書による情報共有などの診療報酬上の要件をどう考えるかというテーマです。医療・介護連携の更なる強化にむけて「医療・介護間での情報共有強化」論議も進んでいます(関連記事はこちら)。

例えば、地域包括診療料や地域包括診療加算では「要介護認定に必要となる主治医意見書を作成する」ことが要件となっていますが、医療DXの流れの中で「電磁的方法による情報共有」などを推進していくことが重要になると考えられます。

この点について長島委員は「現在、医療・介護間で文書様式の統一・標準化論議も進んでおり(関連記事はこちら)、そうした状況も踏まえて考える必要がある」と、松本委員は「医療DXの推進により紙媒体での共有が不要となる。電子媒体での共有をベースにした要件設定なども考えていく必要もある」と提案しています。

外部業者と連携した時間外対応、中医協委員は診療報酬での評価に現時点では後ろ向き

また(4)は「外部業者等による時間外対応をどう考えるか」という論点です。

時間外対応加算は、名称通り医療機関の「診療時間外」に患者から電話相談などがあった場合に対応可能な体制を敷いていることを評価する加算で、自院での相談対応体制を要件とする時間外対応加算1・2と、他院と連携して相談に対応する体制を敷くことで良しとする時間外対応加算3があります。

時間外加算(中医協総会(1)1 231110)



「かかりつけ医機能」の中には「患者からの相談に時間外にも応じる」ことが含まれており、かかりつけ医機能を評価する診療報酬でも、例えば以下のように「時間外対応加算の取得を要件する」ものもあります。

▽地域包括診療料(診療所):時間外対応加算1の取得が要件の1つ

▽地位包括診療加算:時間外対応加算1-3のいずれかの取得が要件の1つ

地域包括診療料等(中医協総会(1)2 231110)



▽小児かかりつけ診療料1:時間外対応加算1または2の取得が要件の1つ

▽小児かかりつけ診療料2:時間外対応加算3の取得が要件の1つ

小児のかかりつけ医機能評価(中医協総会(1)3 231110)



ところで近年、「医療機関に時間外に受診する前に、外部業者が電話等で診療の必要性などについて助言を行うサービス」が登場しています。いわば「外部業者と連携した時間外対応」で、医療機関の負担軽減につながり、患者の利便性・安心感も向上するなどの大きなメリットがあると考えられ、推進に期待を寄せる識者も少なくありません。

外部の時間外対応イメージ(中医協総会(1)4 231110)



ただし、これを「時間外対応加算の中で評価するべきか」となると別の議論が必要となります。長島委員は「時間外対応では、いかに患者の安心感を確保できるかが重要である(「今は頭痛や発熱などがあるが、先生が大丈夫とおっしゃるので朝まで様子を見よう。少し安心した」と患者・家族が感じる)。このため、患者と信頼関係が構築できている、かかりつけ医療機関が時間外対応を行うことが重要で、こうした点も踏まえて、各種の『かかりつけ医機能を評価する診療報酬』の要件に時間外対応加算が組み入れられている。こうした趣旨に照らせば、外部業者を利用した時間外対応を、現在の時間外対応加算の対象である『自院・他院と連携した時間外対応』と同じく考えることはできないのではないか」と指摘。松本委員も、長島委員の意見に賛同し「まず実態を正確に把握するところから始め、診療報酬での評価が妥当かどうかという点から考えるべき」との考えを示しています。診療側・支払側とも現時点では「慎重」な構えです。

2025年度から、かかりつけ医の努力義務化される書面交付、2024年度改定での対応は?

他方、(5)は改正医療法で努力義務化される「慢性疾患患者等に対する書面交付」(再来年(2025年)4月施行)に向けて、診療報酬で「先取りの評価」を行うべきか、という論点です。例えば、上述の紹介受診重点医療機関については、2022年度の診療報酬改定時点では存在しませんでしたが、紹介受診重点医療機関入院診療加算を先取りで設けたことにより、「安心して紹介受診重点医療機関に手上げできる」環境が整えられたと言えます。上述のように、紹介受診重点医療機関になれば外来患者が減る(=病院の収益が減る)ため、診療報酬上の手当て(加算)が不明瞭であれば、安心して手上げを行うことができなかったと考えられます。

患者とかかりつけ医との合意により「提供する医療内容」に関する書面交付の仕組みを設ける(社保審・会医療部会(1)2 221205)



新たに努力義務化される「書面交付」についても、稼働前から診療報酬を準備しておくことなどで、円滑な推進が図られるのではないかと期待されます(「かかりつけ医機能報告制度」そのものは、詳細が明確でないため診療報酬上の評価を考えることは難しいが、「書面交付」については、内容が一定程度固まっているため、診療報酬の枠組みを作っておくことが可能と考えられる)。

この点について松本委員は、「改正医療法では、患者が希望した場合に書面の交付を行う努力義務が課されるが、生活習慣病管理料ではすでに計画書交付が要件となっており、そうした点も参考に評価を検討してはどうか。機能強化加算(かかりつけ医機能を評価する診療報酬の1つ)を取得する医療機関であっても、書面を交付したうえでの治療内容説明などは必ずしも十分に行われていない。改正医療法の施行も見据えて、『書面交付の義務化』(要件化)を行うべき。また紙媒体だけでなく、電磁的方法(電子メールなど)を用いる書面交付など、効率的な運用も併せて考えていくべきである」と提案しました。「書面交付の手間を評価する」のではなく、かかりつけ医機能を評価する診療報酬を取得する場合には「書面交付を義務化する」といったイメージの提案です。

これに対し長島委員は、「改正医療法では『患者・家族からの求めに応じて書面を交付する』努力義務が課されており、例えば『すべての患者に書面を交付することを、かかりつけ医機能を評価する診療報酬の要件にする』といった話ではない。現在、計画書作成が要件化されていない特定疾患療養管理料においても、患者等から求めがあり、医師が必要と考えれば書面による説明を行っている。機能強化加算では『かかりつけ医機能として実施している内容』の文書を院内に配置することとなったが、持ち帰る患者はほとんどいない。書面を交付するべきケース・患者か、口頭説明でも十分かは現場の医師が判断すべきであり、書面交付の要件化(=義務化)は現場感覚と大きく乖離している」と反対。また池端委員も「書面交付を要件化すれば、『画一的な文書を事前に用意し、そこにサインするだけ』といった形骸化が生じかねない」と慎重な検討を求めています。

11月10日には「書面交付の要件化」のみが争点になりましたが、「書面作成・交付の手間を診療報酬で別に議論する」という議論はなされておらず、今後の議論の行方に注目する必要があるでしょう。

特定疾患療養管理料、要件の厳格化(計画書の交付など)をどう考えるべきか

また(6)は「特定疾患療養管理料の要件」などをどう考えていくかという論点です。これまでに、▼特定疾患療養管理料でも、生活習慣病管理料と同様に「計画書作成・交付」などを要件化し、より効率的・効果的な疾患管理を行えるようにすべきではないか▼特定疾患療養管理料では、かかりつけ医機能を評価する目安となる在宅時医学総合管理料や小児かかりけ診療料、認知症地域包括診療料の取得などが芳しくない点をどうかんがえるか—といった議論が行われてきました(関連記事はこちらこちら)。

特定疾患療養管理料について(中医協総会(1)5 231110)



この点については、松本委員から改めて「特定疾患管理料も計画的な疾患管理を評価する点数でありながら、計画書の作成・交付が求められておらず、計画的な疾患管理をどこまで行えているのか懸念がある。今のままの要件で継続することは認められない」との指揮がなされました。

これに対し、長島委員は「特定疾患療養管理料は『専門的な診療行為を評価』しており、機能強化加算や地域包括診療加算など『かかりつけ医機能の体制を評価する』ものではない。『かかりつけ医機能を果たす診療報酬の取得』が現れないのは当然のことである。特定疾患管理料は、内科系医師の技術を評価する重要な項目で、医療機関の経営、地域医療提供体制の確保とも密接に関連している点を踏まえた検討が必要である」と強く反論しています。

かかりつけ医機能を評価する診療報酬の「併算定」、患者には分かりにくいとの指摘

さらに(7)は、かかりつけ医機能を評価する各種の診療報酬項目が「併算定可能となっている」点をどう考えるかという論点です。

併算定の概要(中医協総会(1)6 231110)

併算定の状況(中医協総会(1)7 231110)

生活習慣病のレセイメージ(中医協総会(1)8 231110)



松本委員は「併算定は、かかりつけ医機能の『重複』評価であり妥当ではない。健保連の調査では『2重の併算定算定、3重の変算定』も相当程度行われており(関連記事はこちら)、こうした状況の解消が必要」と強く指摘。また同じく支払側の眞田享委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)や鈴木順三委員(全日本海員組合組合長代行)も「かかりつけ医機能の評価、要件も重複しており、患者・国民にとって非常に分かりにくい。併算定は解消していくべきである」と訴えています。

これに対し長島委員は「患者・国民への分かりやすさは重要である」としたうえで、「各点数は、それぞれ必要性があって創設され、幾度の診療報酬改定で見直しを受け、それぞれ役割・機能を持っており、主治医が必要性を踏まえて、どの点数算定が好ましく、妥当かを選別している。診療行為を評価する側面と、体制を評価する側面との違いもある。そうした歴史的背景を踏まえた検討が必要である。そうした点を無視し併算定制限を行うことは暴論である」と反論。江澤委員も同旨の反論を行っています。

支払側が「外来管理加算の廃止」を提唱し、診療側は猛反発

ところで、こうした事項に関連して松本委員は再診料の「外来管理加算」について、「要件が極めて曖昧であり、妥当性に大きな疑問を持っている。患者にも理解ができず、廃止すべき」との考えを明らかにしました。

この考えには、診療側委員がこぞって猛反発。「暴論である。そうした発言を受けると、地域医療の存続に大きな不安を覚える、到底受け入れられない」(長島委員)、「医療機関経営の根幹にかかわる問題であり、全面的に反対する」(池端委員)、「医師は、患者から家庭事情なども詳しく聞き、疾患・病状の背景を探る。外来管理加算はそうした点を評価するものであり、廃止論には全面的に反対する」(茂松茂人委員:日本医師会副会長)、「外来管理加算は、全人的な患者管理という内科系の技術を評価するところからスタートしている。廃止論は受け入れられない」(太田圭洋委員:日本医療法人協会副会長)など多数の意見が出されました。

外来管理加算は、「処置、リハビリ等を行わずに計画的な医学管理を行った場合」に算定する再診料の加算です。松本委員の指摘するように「要件が曖昧である」ことは否定できませんが、内科系外来の重要な収益源であり診療側の猛反発も理解できます。今後も「外来管理加算の存否、要件見直し」などが議題に上がるのか、要注目です。

外来管理加算(中医協総会(1)9 231110)



このほか松本委員は、▼生活習慣病管理料の算定上限は月1回に削減すべき(月2回以上受診がコロナ禍で大きく減少しており、必要性に疑問がある)▼患者は、かかりつけ医に「どのような病気でもまず診てもらえる」ことを期待しており、機能強化加算等の要件に「どのような病気にもファースト対応する」ことを加えるべき▼特定疾患療養管理料について、疾患による点数の重みづけを考えるべき—などの提案を行っていますが、これらについて長島委員ら診療側委員は「診療現場の実態を見ていない」と反対しています。



このように外来医療、とりわけ「かかりつけ医機能の評価」を巡っては、診療側委員と支払側委員とで、意見・見解に大きな隔たりがあります。今後も議論・調整が継続されますが、「患者にとってより良い医療を提供する」という視点をベースにした議論に期待が集まります。



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総合入院体制加算から急性期充実体制へのシフトで地域医療への影響は?加算取得病院の地域差をどう考えるか―入院・外来医療分科会(1)
「特許期間中の薬価を維持する」仕組み導入などで、日本の医薬品市場の魅力向上を図るべき―中医協・薬価専門部会
乳がん再発リスクなどを検出するプログラム医療機器、メーカーの体制など整い2023年9月から保険適用―中医協総会(2)
高齢患者の急性期入院、入院後のトリアージにより、下り搬送も含めた「適切な病棟での対応」を促進してはどうか—中医協総会(1)
2024年度の薬価・材料価格制度改革論議始まる、医薬品に関する有識者検討会報告書は「あくまで参考診療」—中医協総会(3)
マイナンバーカードの保険証利用が進むほどメリットを実感する者が増えていくため、利用体制整備が最重要—中医協総会(2)
かかりつけ医機能は「地域の医療機関が連携して果たす」べきもの、診療報酬による評価でもこの点を踏まえよ—中医協総会(1)
2024年度の診療報酬・介護報酬・障害福祉等サービス報酬の同時改定で「医療・介護・障害者福祉の連携強化」目指せ—中医協総会(2)
医師働き方改革サポートする【地域医療体制確保加算】取得病院で、勤務医負担がわずかだが増加している—中医協総会(1)
患者・一般国民の多くはオンライン診療よりも対面診療を希望、かかりつけ医機能評価する診療報酬の取得は低調―入院・外来医療分科会(5)
医師働き方改革のポイントは「薬剤師へのタスク・シフト」、薬剤師確保に向けた診療報酬でのサポートを―入院・外来医療分科会(4)
地域包括ケア病棟で救急患者対応相当程度進む、回復期リハビリ病棟で重症患者受け入れなど進む―入院・外来医療分科会(3)
スーパーICU評価の【重症患者対応体制強化加算】、「看護配置に含めない看護師2名以上配置」等が大きなハードル―入院・外来医療分科会(2)
急性期一般1で「病床利用率が下がり、在院日数が延伸し、重症患者割合が下がっている」点をどう考えるべきか―入院・外来医療分科会(1)

総合入院体制加算⇒急性期充実体制加算シフトで産科医療等に悪影響?僻地での訪問看護+オンライン診療を推進!—中医協総会
DPC病院は「DPC制度の正しい理解」が極めて重要、制度の周知徹底と合わせ、違反時の「退出勧告」などの対応検討を—中医協総会
2024年度の費用対効果制度改革に向けた論議スタート、まずは現行制度の課題を抽出―中医協
電子カルテ標準化や医療機関のサイバーセキュリティ対策等の医療DX、診療報酬でどうサポートするか—中医協総会

日常診療・介護の中で「人生の最終段階に受けたい・受けたくない医療・介護」の意思決定支援進めよ!—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
訪問看護の24時間対応推進には「負担軽減」策が必須!「頻回な訪問看護」提供への工夫を!—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
急性期入院医療でも「身体拘束ゼロ」を目指すべきで、認知症対応力向上や情報連携推進が必須要素—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
感染対策向上加算の要件である合同カンファレンス、介護施設等の参加も求めてはどうか—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
要介護高齢者の急性期入院医療、介護・リハ体制が充実した地域包括ケア病棟等中心に提供すべきでは—中医協・介護給付費分科会の意見交換
2024年度の診療報酬に向け、まず第8次医療計画・医師働き方改革・医療DXに関する意見交換を今春より実施—中医協総会

2022年度改定での「在宅医療の裾野を広げるための加算」や「リフィル処方箋」など、まだ十分に活用されていない—中医協(1)