2023年、出生数は過去最少・死亡数は過去最多を更新し、我が国の人口は84万8728人と過去最大の減少—厚労省
2024.9.18.(水)
昨年(2023年)における出生数は72万7288人で過去最少、死亡数は157万6016人で過去最多。結果、我が国の人口は前年から84万8728人と、過去最大の自然減となった―。
こういった状況が、厚生労働省が9月17日に公表した2023年の「人口動態統計(確定数)の概況」から明確になりました(厚労省のサイトはこちら)(概数に関する記事はこちら)。我が国の人口減少スピードはさらに増しており、「実効性のある」少子化対策を早急に検討・実行する必要があります。
出生数は70万人を切りそうな、合計特殊出生率は1.20に低下
まず昨年(2023年)の出生数を見てみると、72万7288人で、前年(77万759人)から4万3471人減少。明治32年(1899年)の人口動態調査開始以来の「最少」をまた更新しました。新型コロナウイルス感染症が流行する中では「妊娠→出産」を控えるカップルが少なくないと指摘されますが、「70万人を切りそうな勢いで減少している」点には、驚きでは済まされない衝撃を感じます。
出生率(人口1000対)は6.0で前年(6.3)から、さらに0.3ポイント低下しています(2017年:7.6→18年:7.4→19年:7.0→20年:6.8→21年:6.6→22年:6.3→23年:6.0)。
さらに、「1人の女性が一生の間に生む子供の数」に相当する合計特殊出生率を見ると「1.20」で、前年の1.26から0.06ポイント低下しました(2017年:1.43→18年:1.42→19年:1.36→20年:1.33→21年:1.30→22年:1.26→23年:1.20)。
なお、都道府県別に合計特殊出生率を見ると、最も高いのは沖縄県の1.60、最も低いのは東京都の0.99です。東京都では「史上初めて1.0を切った」ことが確定しました。
一方、死亡数は157万6016人で、前年(156万9050人)から6966人増加しました。「戦後最多」を更新しており、少子高齢化とともに「多死社会」が訪れていることを再確認できます。
死亡率(人口1000対)は13.0で前年(12.9)から0.1ポイント上昇しています(2017年:10.8→18年:11.0→19年:11.2→20年:11.1→21年:11.7→22年:12.9→23年:13.0)。
死因別にみると、(1)悪性新生物<腫瘍>:38万2504人(死亡総数に占める割合24.3%)、死亡率(人口10万対)315.6(2)心疾患:同14.7%、190.7(3)老衰:同12.1%、156.7—となっています。老衰による死亡増が目立ちます(コロナ感染症死亡は第8位)。
出生が減少し、死亡が増加した結果、両者の差である「自然増減」は、昨年(2023年)はマイナス84万8728人で、前年(マイナス79万8291人)から5万437人の減少となりました。過去最大の減少となっています。
また、自然増減率(人口1000対)はマイナス7.0で前年(マイナス6.5)から0.5ポイント低下しています。
自然増減数・率ともに「17年連続」の減少・低下となっています。
Gem Medで繰り返し指摘していますが、少子化は「将来の医療・介護提供体制の脆弱化、医療保険・介護保険財政の脆弱化」はもちろん、「国家の衰退」にもつながります(国家の三要素として「領土」「国民」「主権」が挙げられため)。我が国の存立にかかわる重要問題であることを再認識し、「実効性のある少子化対策」を検討する必要があります(給付金などで少子化が改善するのか再検証する必要がある)。
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