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看護補助者に「求められる像」と「求められる能力」を整理、看護チームの1員として看護補助者の育成を—日看協

2024.10.21.(月)

日本看護協会は10月15日に「看護補助者の業務に必要な能力の指標」を作成・公表しました(日看協サイトはこちら)。

医療従事者の「働き方改革」が重視され、例えば医師については、Gem Medでも何度も報じている通り、本年(2024年)4月から、すべての勤務医に対して新たな時間外労働の上限規制(原則:年間960時間以下(A水準)、救急医療など地域医療に欠かせない医療機関(B水準)や、研修医など集中的に多くの症例を経験する必要がある医師(C水準)など:年間1860時間以下)を適用するとともに、追加的健康確保措置(▼28時間までの連続勤務時間制限▼9時間以上の勤務間インターバル▼代償休息▼面接指導と必要に応じた就業上の措置(勤務停止など)―など)を講じる義務が医療機関の管理者に課されています(関連記事はこちら)。

この点、看護師には「医師からのタスク・シフティング先」としての期待が高まっていますが、すでに看護師も自分の業務で手一杯であるととともに、より高度かつ広範な業務に携わることが期待されています。

そうした中では、看護師は「看護師資格を保有していなければ実施できない業務」に集中し、「看護師でなくとも実施可能な業務」は他職種に移管していくことが必要で、その他職種の1つとして「看護補助者」が重要となります。

2022年度・24年度の診療報酬改定でも、この点が強く意識され【看護補助体制充実加算】が創設・充実されています。本加算は、看護職員から看護補助者へのタスク・シフティングを促すことを目指し、看護職員サイドへの「業務を移管するにあたっての留意点」等の研修、看護補助者サイドへの「業務を受けるにあたっての知識・技術」等の研修などを行うことを評価しています(関連記事はこちら)。2024年度改定では「経験年数が長く、直接的ケア等のタスクを受けられるような看護補助者」をより多く配置する病棟を手厚く評価するなどの見直しが行われています(関連記事はこちら)。

ところで、看護師から看護補助者への業務移管(タスク・シフト)を行うにあたっては、「看護師と看護補助者との協働」を強く意識する必要があります。そこで日看協では、看護補助者が「看護チーム」の一員として、看護師の指示のもとで安全な看護補助業務を行い、チームの目標達成に向けて協働するために「看護補助者の段階的な能力指標」を示しました。各施設の機能や特徴などを踏まえて、この指標を活用することが期待されるとともに、【看護補助体制充実加算】で求められる、看護補助者の育成・評価に用いることも可能です。



指標では、「看護補助者の業務に必要な能力」と「求められる看護補助者像」を整理。

例えば、看護補助者には「看護師から指示を受けた看護補助業務を遂行する力」が求められ、第1段階(初歩の段階)では、▼看護補助者の業務内容・業務範囲を説明できる▼施設の看護補助者の業務に関する規定等を確認する▼施設の看護補助者の業務に関する規定等に従い、看護師長・看護職の指導を受けながら業務を安全に遂行する▼所属部署における看護補助業務の概要と流れを理解する▼自身の責任範囲を理解し、1人で判断せず、看護師の指示を受けて業務を遂行する▼看護師からの指示受けと報告の方法を理解し、指示を受け、報告する▼疑問点や不明点は、看護師長や指示者に確認する—ことが期待されます。

また第2段階(中程度の段階)では、▼施設の看護補助者の業務に関する規定等に従い、安全に業務を遂行する▼業務の優先順位を考えて行動計画を立てる▼疑問点や不明点を円滑に確認して看護師から指示を受け、報告する—ことを要請。

さらに第3段階(いわば看護補助者リーダーの段階)になると、▼施設の看護補助者の業務に関する規定等に従い、安全に業務を遂行するとともに、看護補助者の同僚や後輩にも助言を行う▼業務の優先順位を考え、円滑に行動計画を実行する▼必要時に、業務マニュアルや実施方法の改善について看護チームに提案する▼より複雑な手順が規定されている業務についても遂行する—ことが期待されます。



こうした能力を獲得するための教育は、各施設で、理念や業務内容に応じて「看護管理者の責任」の下に行われる必要があります。

あわせて日看協では、看護管理者から看護補助者に対し本指標を用いて「面談」などでフィードバックを行うことを要望。例えば、「●●さんは、◆◆能力を獲得しており、すでに看護補助者リーダーの域に達していますね。ただし◇◇能力がまだ十分とは言えません。今後、◇◇能力の充実を目指してください」などと伝達することが考えられます。

さらに日看協は「看護補助者を対象とした標準研修」も提供し、第1段階の能力獲得教育に活用することも可能です。

他方、▼看護師には「看護チームにおける業務のうち、看護の専門性を要しない業務を判断し、その業務について看護補助者に適切に指示し、指導を行う」責任があること▼看護管理者には「看護職と看護補助者がそれぞれの役割と責任を果たせるよう、看護補助者のみならず、看護職への教育を担保する」責任があること—も指摘しています。



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