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2017年度の社会保障予算、介護保険制度改革などによる減少を見込んで設定―社会保障WG

2016.7.12.(火)

 来年度(2017年度)の社会保障予算について、8月の概算要求段階では「最近の伸び率(受給者数、1人当たり給付費など)の実績など等を勘案して自然増」を見込み、12月の本予算において制度改正による減少を見込んで編成する―。

 2017年度の制度改正に向けて、▽慢性期の医療・介護ニーズに対応するサービス提供体制に係る制度上の見直し▽医療・介護を通じた居住費用負担の公平化▽外来時の定額負担▽高額療養費・高額介護サービス費の在り方▽介護保険における利用者負担の在り方▽介護納付金の総報酬割▽軽度者に対する介護保険の生活援助サービスなどに関する給付の見直しや地域支援事業への移行―といったテーマについて年内(2016年内)に結論を出す―。

 経済済財政諮問会議の経済・財政一体改革推進委員会「社会保障ワーキンググループ」は11日に、このような基本的な考え方を整理しました(内閣府のサイトはこちら)。

概算要求時点では「1人当たり医療費」の伸びなどを勘案して自然増を見込む

 政府の予算は、8月に各省庁からの概算要求を受け、秋から冬にかけて精査を行い、12月末に本予算編成を行い、年明けの国会での議決を経て成立します(関連記事はこちらこちらこちら)。

 11日の社会保障ワーキングでは、来年度(2017年度)の社会保障予算について、次のような編成方針をとるという基本方針が確認されました。

▽今年度(2016年度)当初予算をベースに、「最近の伸び率(受給者数、1人当たり給付費など)の実績など等を勘案して自然増」を見込んで概算要求を行う(8月)

▽制度改正による減少を見込んで本予算を編成する(12月)

2017年度予算においては、概算要求時点では「1人当たり社会保障給付費」の伸び率などをベースに自然増を勘案し、本予算編成時点で制度改正による減を勘案する

2017年度予算においては、概算要求時点では「1人当たり社会保障給付費」の伸び率などをベースに自然増を勘案し、本予算編成時点で制度改正による減を勘案する

 前者では、特に「1人当たり医療費」の増加が注目されています。ハーボニーやオプジーボといった超高額薬剤の出現によって、2015年度から1人当たり医療費が大きく増加していることを受け、社会保障審議会の医療部会や中央社会保険医療協議会で「高額薬剤」が重要テーマとなっています。今後の議論に要注目です(関連記事はこちらこちらこちら)。

 後者の制度改正については、「負担能力に応じた公平な負担」や「給付の適正化」といった、改革工程表において「2016年末までに結論を得る」とされている事項について検討し、必要な措置を講じることが確認されました(関連記事はこちら)。

 具体的には、次のような事項について2016年末(つまり今年末)までに検討することとなっています。

【医療・介護提供体制の適正化】

▽慢性期の医療・介護ニーズに対応するサービス提供体制に係る制度上の見直し

▽医療・介護を通じた居住に係る費用負担の公平化の検討

▽かかりつけ医の普及の観点からの診療報酬上の対応や外来時の定額負担について検討

【インセンティブ改革】

▽要介護認定率や1人当たり介護費の地域差を分析し、保険者である市町村による給付費の適正化に向けた取り組みの促進

【負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化】

▽高額療養費制度・高額介護サービス費制度の在り方

▽介護保険における利用者負担の在り方

▽介護納付金の総報酬割

▽医療保険、介護保険ともに、マイナンバーの活用等により、金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担を求める仕組み

▽公的保険給付の範囲や内容についての適正化

▽軽度者に対する介護保険の生活援助サービス・福祉用具貸与などについて、給付の見直しや地域支援事業への移行

▽市販品類似薬に係る保険給付

2017年度の社会保障制度改正に向けて、高額療養費などの見直しに向けた検討が進められており、2016年末に結論が出される

2017年度の社会保障制度改正に向けて、高額療養費などの見直しに向けた検討が進められており、2016年末に結論が出される

 例えば、「慢性期の医療・介護ニーズに対応するサービス提供体制に係る制度上の見直し」については社会保障審議会の「療養病床の在り方等に関する特別部会」(関連記事はこちらこちら)、介護保険関係(要介護認定率や軽度者に対する給付の見直しなど)については介護保険部会(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)、医療保険関係(高額療養費や外来定額負担など)は医療保険部会で、現在、精力的に検討が進められています。今秋から冬にかけて議論がより具体化しますので、どのような結論が得られるのか注目する必要があります。

慢性期入院の地域差解消に向け、入院受療率と在宅医療充実の2つのKPIを設定

 また11日の社会保障ワーキングでは、社会保障費の「伸びの要因」や「地域差の要因」などの見える化を行い、要因に対応した効果的な適正化を進めることの重要性も指摘されました。

 そのため、KPI(Key Performance Indicators)を適切に設定し、「見える化」を推進する方針も確認されました。

 例えば医療提供体制については、都道府県ごとに地域医療構想を策定し、一般病床・療養病床を▽高度急性期▽急性期▽回復期▽慢性期―に機能区分していく方針が固められています。このうち「慢性期機能」については、都道府県ごとに療養病床の入院受療率が大きくことなる点が特筆され、地域医療構想の中で地域差の解消に向けた計画を策定することとされています(関連記事はこちらこちら)。

 この点については、▽療養病床の入院受療率▽在宅医療の充実―の2点をKPIとして、進捗状況を評価する考え方が示されました。

慢性期入院医療については、地域差解消に向けて(1)療養病床の入院受療率(2)在宅医療の充実―の2つのKPIを設定して、進捗状況を見ていく方針

慢性期入院医療については、地域差解消に向けて(1)療養病床の入院受療率(2)在宅医療の充実―の2つのKPIを設定して、進捗状況を見ていく方針

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