「光熱水費・人件費高騰への財政支援」「コロナ感染症の5類移行への段階的対応」を求める要望書を2月頭にも提出—日病協
2023.1.31.(火)
高騰する光熱水費・人件費に対応するための「財政措置」を政府で講じてほしい—。
新型コロナウイルス感染症の位置付けが「2類感染症から5類感染症へ移行」されたとしても、病院の感染対策などに変化はない。こうした点に配慮した段階的な対応をお願いしたい—。
1月27日に開かれた日本病院団体協議会の代表者会議でこういった「要望書」を2月頭にも政府に提出する方針が固められたことが、会議終了後の記者会見で小山信彌議長(日本私立医科大学協会会業務執行理事)と山本修一副議長(地域医療機能推進機構理事長)から明らかにされました。
また、日病協では、病院薬剤師確保に向けた制度整備・診療報酬対応などに関する要望・提案書をこの4月にも政府へ提出する方針も固めています。
「コロナ感染症が5類に移行しても、病院の感染対策等に変わりがない」点に配慮を
長引くウクライナ情勢などの影響で「光熱水費」の高騰が続いています。入院医療を提供する病院では、このコスト増が非常に大きくなっています。一方、保険診療の中では「コスト増を料金に反映させる」(=値上げ)は行えず、一般企業等に比べてコスト増の影響度合いが深刻です(関連記事はこちら)。
また、人件費の高騰も続いていますが、やはりコスト増を料金(診療報酬の一部)に反映させられない保険診療中では、人件費を上げることに大きな制約があり「賃金競争で一般企業に勝てず、人材確保が困難になってきている」状況にあります。
こうした状況を放置すれば地域医療提供体制が崩壊しかねず、日本私立医科大学協会や地域医療機能推進機構、日本病院会など15の病院団体で構成される日本病院団体協議会(日病協)は、1月27日の代表者会議で「光熱水費の高騰、人件費の高騰に対応するための財政措置」を政府に要望していく方針を固めました。例えば「補助金」や「診療報酬」での対応が念頭にあると思われますが、山本副議長は「来年度(2024年度)の診療報酬改定を待てないほど厳しい状況である」と述べ、「早急な対応」を政府に求める考えを強調しています。
また、Gem Medで報じているとおり、。岸田文雄内閣総理大臣が本部長を務める新型コロナウイルス感染症対策本部は「5類感染症への移行方針」を明確化しました。
しかし、「コロナ感染症が収束してきている」「対策を講じなくてよい」ことを意味するものでなく、医療機関では必要な感染対策の徹底を継続していかなければなりません。
この点、医療提供体制については、現在の「コロナ対応病床で入院患者を受け入れる」体制から「幅広い医療機関で受け入れる」体制へ移行していく方針が示されていますが、小山議長は「コロナ感染患者を十分な感染対策をせずに受け入れれば院内クラスターが発生し、手術等を大きく制限しなければならない」と、山本副議長は「病院の感染対策対応などは5類感染症へ移行したとしても何ら変わらない」という点を強調。
日病協代表者会議でも、この点を確認したうえで、政府に対し「段階的な対応」を行うよう求めていく考えです。山本副議長は病院の感染対策対応などは5類感染症へ移行したとしても何ら変わらない点への配慮を求めていく」と要望の趣旨を説明しています。
政府も「段階的な対応を行う」としており、3月を目途に「医療提供体制の考え方」をまとめていく考えを示しており、具体的な対応の中に「日病協の思い」を織り込んでもらうことを狙うものと言えるでしょう。ただし診療報酬や補助金などの具体的な要望には言及しない見込みです。
小山議長、山本副議長は「2つ要望書(光熱水費・人件費高騰への対応、コロナ感染症5類移行への対応)を2月頭にも政府に提出したい」とコメントしています。
病院薬剤師確保に向けた制度整備・診療報酬対応などを4月にも要望・提案へ
また、日病協では「病院薬剤師確保に向けた方策」の検討を進めています(関連記事はこちら)。小山議長、山本副議長は「問題点の整理を進めており、4月にも制度設計(例えば、「薬剤師国家試験に合格後に、就学資金の『返済』に充てる資金を貸し付け、一定の医療機関(薬剤師が不足する地域、不足する医療機関など、関連記事はこちら)での勤務を条件に、当該貸し付け金の返済を免除する」仕組みなど)や診療報酬での対応などに関する要望・提案書を政府に提出する」考えを示しています。
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