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骨太方針2023に「2024年度報酬改定での物価高騰・賃上げ対応」を明記し、必要な財源を確保せよ—国民医療推進協議会

2023.6.8.(木)

少子化対策は大変重要な政策だが、病や障害に苦しむ方々のための財源を切り崩してはならない—。

近くまとまる「骨太方針」(経済財政運営と改革の基本方針)に、2024年度診療報酬・介護報酬等のトリプル改定での「物価高騰と賃上げへの対応」を明記し、必要財源を確保してほしい—。

国民医療推進協議会が5月31日、こうした内容を決議し公表しました(協議会サイトはこちらこちら)。

少子化対策は重要だが、医療費・介護費などの切り崩しは許されない

国民医療推進協議会は、2004年に日本医師会が「国民の健康の増進と福祉の向上を図るため、医療・介護・保健および福祉行政の拡充強化をめざし、積極的に諸活動を推進すること」を目的に、医療・介護・福祉・保健団体等に呼びかけて発足しました。3師会(日医、日本歯科医師会、日本薬剤師会)や日本看護協会はもちろん、日本病院会や全日本病院協会などの病院団体、日本介護福祉士会、日本訪問看護財団など41の職能団体で構成されています。

協議会は、「物価高騰等への対応」と「少子化対策」の2点について決議を行っています。

まず前者の「物価高騰」等に対しては、2024年度の診療報酬・介護報酬改定(さらに障害福祉サービス等報酬の改定も加わり、トリプル改定となる)において必要な対応をとることを求めています。

長引くウクライナ情勢などの影響で「物価」「光熱水費」の高騰が続いています。一般企業であれば「コスト増を商品やサービスの価格に転嫁(上乗せ)する」選択肢がありますが、保険医療機関や指定介護サービス事業所などでは、公定価格(診療報酬や介護報酬)下でサービス提供を行うために、「コスト増を料金に反映させる」(=値上げ)ことはできません。このため、一般企業等に比べてコスト増の影響度合いが極めて深刻と言えます(関連記事はこちら)。

また、人件費の高騰も続いています。しかし、やはり人件費増(コスト増)を料金(診療報酬や介護報酬などの一部)に反映させられないことから、保険医療機関や指定介護サービス事業所などでは「人件費を上げる」ことに大きな制約があります。このため「賃金競争で一般企業に勝てず、医療・介護分野で人材確保が困難になってきている」状況にあります。

こうした状況を放置すれば地域の医療・介護・福祉・保健サービス体制が崩壊してしまいます。

そこで国民医療推進協議会では、近く閣議決定される「骨太方針」(経済財政運営と改革の基本方針)の中に、「2024年度の報酬トリプル改定での物価高騰と賃上げへの対応を明記し、必要財源を確保する」ことを強く要望しています。骨太方針には、政府に対する極めて強い拘束力があり、そこへの記載は年末の改定率決定や、中央社会保険医療協議会や社会保障審議会介護給付費分科会などの議論にも極めて大きな影響を及ぼします。



また岸田文雄内閣では「異次元の少子化対策」を行う考えを打ち出しており、その財源について「一部を医療・介護などの社会保障費改革で捻出し、一部を社会保険料へ上乗せして確保する」案が浮上しきています。

前者の「医療・介護などの社会保障費改革」とは、「診療報酬・介護報酬のマイナス改定」などに代表される「医療費・介護費の削減」を意味します。この削減した財源を各種の少子化対策費に充当する考えと言えます。

この点について国民医療推進協議会では、「こども・子育て、少子化対策は大変重要な政策だが、病や障害に苦しむ方々のための財源を切り崩してはならない」とも強く指摘しています。

今後の動きに要注目です。



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