大学病院の外来、他病院に比べて後発品使用割合が低い―厚労省
2018.2.5.(月)
病院の種類別に、外来診療における後発医薬品の使用割合を見ると、数量ベース・薬剤料ベースのいずれで見ても大学病院で低く、公的病院では数量ベースは高い水準にあるが、薬剤料ベースで見ると低くなっている—。
厚生労働省が2月1日に公表した「都道府県別処方せん発行元医療機関別にみた後発医薬品割合」から、明らかになりました。
公的病院の外来における後発品使用状況、数量は多いが薬剤料ベースでは低め
これは2017年9月調剤分(10月審査分)の調剤レセプトを分析したものです。
医科病院の種類別に後発品割合を見ると、数量ベースでは▼公的病院:71.7%▼法人病院:71.4%▼個人病院:69.6%▼大学病院:61.7%—という状況。
また薬価も加味した薬剤料ベースでは▼個人病院:18.2%▼法人病院:18.0%▼公的病院:14.0%▼大学病院:9.2%—となっています。
ここから、大学病院は「数量ベース、薬剤料ベースともに後発品割合が低い」、公的病院は「数量ベースでは後発品割合が高いが、薬剤料ベースでは低い水準にある」ことが分かります。公的病院では「安価だが、数多く使用する医薬品」について先発品から後発品への置き換えが進められている状況が伺えます。
また、全国を▽北海道▽東北▽関東▽中部▽近畿▽中国▽四国▽九州―の8ブロック(地方区分)に分けて見てみると、数量ベースでは▼関東や近畿の大学病院で低く、個人病院で高い▼北海道、東北、九州では公的病院、法人病院が高く、大学病院、個人病院が低い—ことが、薬剤料ベースでは▼概ねどの地方でも大学病院が低く、個人病院が高いが、北海道、九州では個人病院が低い—ことが分かりました。
もっとも、大学病院や公的病院ではDPC制度が導入されており、このデータに現れない「後発品使用の実態」が相当量あるため、入院部分も含めた後発品使用状況の調査に期待が集まります。
なお、都道府県別に医科病院と診療所で後発品割合を比較してみると、数量ベースでは自治体によってまちまち(岩手、秋田、神奈川、福井、兵庫、愛媛などでは病院のほうが高いが、青森、新潟、和歌山などでは診療所のほうが高い)なのに対し、薬剤料ベースでみると「全ての都道府県で診療所のほうが高い」ことも分かりました。
診療所では、2016年度の前回診療報酬改定で【外来後発医薬品使用体制加算】(処方料の加算)が設けられており、これらの算定状況も含めた分析に期待したいところです。
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