Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 看護モニタリング

全国2位の結核罹患率低下など目指し、高齢・外国出生・潜在性の患者対策を強化―東京都

2018.8.28.(火)

 東京都は全国で2番目に結核罹患率が高い状況で、今年(2018年)以降、▼原因究明▼発生予防・まん延防止▼医療▼人材育成▼普及啓発▼施設内(院内)感染防止―を計画的に進め、とくに「外国出生結核患者対策」「高齢者結核対策」「潜在性結核感染症の者への支援」の3点について重点的に取り組む―。

東京都は8月27日に、こういった内容を盛り込んだ「東京都結核予防推進プラン2018」を策定し、公表しました(都のサイトはこちら(概要版)こちら(本文))。

確実な抗生剤の服用を確認する「DOTS」の実施などを強化

 結核は、依然として「我が国最大の慢性感染症」であり、各所で「集団感染の発生」が報じられることも珍しくありません。

東京都では毎年、2000人超の新規「結核患者」が発生しますが、この背景には「人口の多さ」はもちろん、「罹患率の高さ」があります。2016年における日本全国の結核罹患率(人口10万対)は13.9(前年から0.5ポイント低下)ですが、東京都は減少傾向にこそあるものの17.2(同0.1ポイント増)と高くなっています。大阪府の22.0(同1.5ポイント低下)に続く、全国第2位の数値です。
東京都結核予防推進プラン1 180827
 
こうした状況を重く見て、2005年12月に「東京都結核予防計画」と、これを推進するための行動計画「東京都結核予防推進プラン」を策定、実行。その後、2012年7月に「東京都結核予防推進プラン2012」に改訂し、取り組みを強化してきました。

今般、新登録結核患者において▼外国出生者の割合が増加傾向にある▼70歳以上の高齢者の割合が依然として4割を占めている―こと、さらに「潜在性結核感染症」の者において、高校・大学生や外国出生者では「治療中断が多い」という課題があることを踏まえ、行動計画を再改訂し、「東京都結核予防推進プラン2018」(プラン2018)を策定したものです。

 
プラン2018では、▼結核の原因究明(患者情報を確実に把握し、地域分析や遺伝子検査などを行う)▼発生予防・まん延防止(BCG接種の核実な実施や早期発見への取り組み強化、接触者健診の実施など)▼医療(対応可能な医療機関の確保や、適切な結核医療の普及、服薬支援の強化など)▼人材育成(保健所等職員の資質向上)▼普及啓発(都民や企業、福祉施設、教育機関などへの普及啓発)▼施設内(院内)感染の防止(医療機関や施設、事業者等への支援)—を強化していくとともに、上記の課題に対応するために次の3点を「重点事項」に据えています。

(1)外国出生結核患者対策
(2)高齢者結核対策
(3)潜在性結核感染症対策

 このうち(1)「外国出生結核患者対策」では、「多言語により問診票の作成」や「服薬支援」「対応力強化」「日本語学校等での取り組みの支援」などに取り組みます。

 結核の治療は、複数の抗生剤等の服用が主になりますが、長期間にわたるため、また「飲み忘れ」などもあるため、確実な服用を医療従事者が確認する「DOTS」(Direct Observed Treatment, Short-course、直接監視下短期化学療法)などの服薬支援が重要になります。こうした「確実な治療」の重要性などを外国出生結核患者に十分に伝え、理解し、実践してもらうことための取り組みが重点的に行われることになります。

 
また(2)の「高齢者結核対策」では、とくに医療機関や高齢者施設における「集団感染」が重要となります。具体的には、▼研修会の開催▼保健所が探知した院内感染事例の情報共有▼実地疫学調査チーム(TEIT)派遣による保健所の支援▼医療機関の感染症対策部門と保健所の連携―などが行われます。

 
(3)の「潜在性結核感染症」(LTBI:Latent Tuberculosis Infection)は、結核菌に感染はしているものの、病状や所見がない人をさします。他者に感染させる恐れはないものの、発症すれば、当然、感染拡大等につながるため、確実な発見・治療が必要となります。

しかし、病状や所見がないため治療を中断してしまう患者も少なくありません。そこで、都ではプラン2018の中で、「潜在性結核感染症医療に関する研修」の実施や、「潜在性結核感染症の者へのDOTSの推進」などに取り組み考えを強調しています。

 
さらにプラン2018では、▼罹患率の減少▼BCG接種率の向上▼DOTS実施率の向上—などに関し、下表のような目標値(2020年までに達成)も設定しています。2020年時点でどこまで達成されるのか、今後の動きが注目されます。
東京都結核予防推進プラン2 180827
 
 
診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

 

【関連記事】

都立8病院は地方独法へ移行し、経営基盤の強化を図れ―東京都・都立病院経営委員会
都内の特養ホームでO-157の集団感染、手洗いや衛生管理の徹底を—東京都
アレルギー疾患の最新情報を掲載するwebサイト「アレルギー情報navi」を開設—東京都
外国人患者の感染症治療を支援する多言語ガイドブックを作成—東京都