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2019年7月の後発品割合、医科やDPC等含めると76.5％、期限内の80％達成は難しい―協会けんぽ

2019.12.11.（水）

医療保険制度

協会けんぽにおけるジェネリック医薬品（後発品）の使用割合は、今年（2019年）7月末時点で、調剤ベースでは79.5％だが、医科・DPC・歯科を加味すると76.5％にとどまる。現在のペースが続けば、政府目標の「80％以上」達成は2021年4月末となり、「2020年9月」の期限内達成に依然として黄信号が灯っている―。

こういった状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が12月5日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました（協会のサイトはこちら）。

1 協会けんぽ全体、調剤ベースでは遅くとも2019年内には「後発品80％以上」達成
2 医科・DPC・歯科を加味すると、80％クリアは2021年4月に

協会けんぽ全体、調剤ベースでは遅くとも2019年内には「後発品80％以上」達成

「医療技術の高度化」（例えば超高額な白血病等治療薬「キムリア」の保険適用など）や「高齢化の進展」などにより医療費は増加を続けます。2022年度から、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度に全員が75歳以上に到達することから、今後、さらに急速に医療費が増加していくと予想されます。その後、2040年度にかけて高齢者の増加ペース自体は鈍化するものの、支え手である現役世代人口が急速に減少していくことが分かっています。

このように「少なくなる一方の支え手」で「増加を続ける高齢者」を支えなければならないことから、公的医療保険制度の基盤は極めて脆くなっていくのです。

こうした状況の中では、「医療費の伸びを我々国民の負担できる水準に抑える」（医療費適正化）ことが不可欠です。政府は、例えば▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化（現在、DPCでも出来高でも1日当たりの支払いとなっているため）▼後発医薬品（ジェネリック医薬品、後発品）の使用促進による薬剤費の圧縮▼医療機能の分化と連携の強化▼地域差（ベッド数、受療率、平均在院日数など）の是正▼保健事業の充実による健康寿命の延伸―など、さまざまな角度から医療費適正化に向けて取り組んでいます。

後発品に関しては、政府が▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70％以上とする（第1目標）▼2020年9月に80％以上とする（第2目標）―という2段階の目標を設定し、使用推進が促されています。

主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する「協会けんぽ」の運営者である全国健康保険協会でも、かねてより積極的に後発品使用促進に取り組んでいます。医療機関を受診し、医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「貴殿の医薬品を先発品から後発品に切り替えた場合、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を発出したり、毎月の後発品使用割合の公表などを行っています。12月5日には、今年（2019年）7月末の後発品使用割合を公表しました（前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら、さらにその前月の状況はこちら）。

全体の後発品使用割合（新指標、調剤分）を見ると、前月（2019年5月）末から0.1ポイント増加し、数量ベースで79.5％となりました。今年（2019年）に入ってから▼1月：79.1％▼2月：78.9％▼3月：78.9％▼4月：79.1％―と足踏み状態が続いていましたが、再び、「緩やか」な上昇モードに入りました。第2目標「80％以上」達成まで「あと0.5ポイント」に迫っています。

直近1年間（2018年8月（76.5％）から2019年7月（79.5％））では、単純計算で「1か月当たり0.27ポイント」のペースで後発品割合が上昇していることになります。このペースが継続すると仮定した場合、計算上は、第2目標「80%」クリアは今年（2019年）9月末となり（前月までと同じペース）、すでに現時点で第2目標が達成している可能性が伺えます。

ただし、直近3か月（2019年5－7月）では、「1か月当たり0.1ポイント」の上昇スピードにとどまっており、これが継続すると考えれば、第2目標クリアは今年末となります。

調剤および全体の後発品割合（協会けんぽの後発品割合（19年7月）1　191205）

医科・DPC・歯科を加味すると、80％クリアは2021年4月に

また調剤に「医科・DPC・歯科」を加えた後発品割合は、今年（2019年）7月末時点で76.5％にとどまっています（前月から0.2ポイント増）。

さらに都道府県別に見ると、依然として大きなバラつきがあります。「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合が最も高いのは沖縄県の87.1％（前月末から0.2ポイント上昇）、逆に最も低いのは徳島県で66.4％（同0.1ポイント上昇）となりました。

このほか、「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合が高いのは、▼岩手県の82.6％（同0.3ポイント上昇）▼鹿児島県の81.9％（同増減なし）▼山形県の80.3％（同増減なし）▼宮城県の80.3％（同0.3ポイント上昇）―などです。

都道府県別の後発品割合（協会けんぽの後発品割合（19年7月）2　191205）

「調剤」ベースでは「80％以上クリア」は目前ですが、「医科・DPC・歯科」を合わせると、「80％クリア」までには3.5ポイントの開きがあります。昨年（2018年）12月末（75.3％）から今年7月末（76.5％）まで、単純計算で「1か月当たり0.17ポイント」のペースで後発品割合が上昇している計算です。このペースが今後も続くとすれば、計算上「80％以上クリア」は2021年4月末となってしまいます（前月までよりも1か月期間早いペース）。今後、さらなる後発品使用推進に向けた取り組みを強化していくことが求められます。
　
　

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