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7月の九州地方中心とする大雨の被災者、保険証持たずとも保険診療を受けられる―厚労省

2020.7.7.(火)

7月上旬に九州地方を中心に線状降水帯が発生し、熊本県で球磨川が氾濫するなど大きな被害が出ています。被害にあわれた方々に、心よりお見舞い申し上げます。



保険診療では、患者は医療機関の窓口で一部負担(所得・年齢により1-3割)のみの支払うことで、医療を受けることが可能です(残りの7-9割は、国民全員が毎月収める保険料を原資として、保険者が医療機関に支払う)。

ところで、保険診療を受けるためには、原則として、自身の加入する医療保険者(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)の発行した被保険者証(保険証)を医療機関の窓口に示し、「自分は公的医療保険の加入者である」という資格を証明しなければなりません。医療機関サイドから見れば、これは「患者の資格確認」と言え、これが曖昧なままでは「この患者には1-3割の自己負担を請求するだけでよいのか?もし医療保険に加入していなければ10割請求となるのだか?」という不安が生じ、円滑な事務が滞ってしまいます。

被保険者証を提示できない場合には、患者は一旦、医療費の全額を医療機関の窓口で支払い、後日、自分自身で医療保険者(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)に申請し、保険給付分(年齢や所得に応じて7-9割)を償還してもらうのが原則です。



しかし、今般の豪雨で被災された方の中には、さまざまな理由で医療保険の「被保険者証」(保険証)や、難病等の「医療受給者証」を持たずに避難を余儀なくされた方も少なくないと思われます。被災され、日常生活への復帰の目途が立たない被災者に、上記の原則を適用することはあまりに酷です(また河川の氾濫等で被保険者証等が滅失してしまった方もおられる)。そこで厚生労働省は「特例措置」を設けることを7月3日に決定(厚労省事務連絡「令和2年7月3日からの大雨による災害に伴う被災者に係る被保険者証等の提示等について」)。これまでに東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨、北海道地震、台風などで被災された方にも、同様の対応がとられています(関連記事はこちらこちらこちら)。

特例措置の具体的な内容は、被保険者証を持たずに避難したために、医療機関窓口に提示できない場合であっても、▼氏名▼生年月日▼連絡先(電話番号等)▼被用者保険(健保組合や協会けんぽ)の被保険者では「事業所名」(会社名)▼国民健康保険・後期高齢者医療制度(75歳以上の方が加入)の被保険者では「住所」▼国保組合では、住所と組合名―を医療機関の窓口で申し立てることで、保険診療を受けられるようにするものです。

この場合、医療機関側は、次のようにレセプト請求を行うことになります(2013年1月24日付の厚労省事務連絡「暴風雪被害に係る診療報酬等の請求の取扱いについて」がひな形となっている)。

▼「受診時に確認した被保険者の事業所」や「過去に受診した医療機関」などに問い合わせて、可能な限りレセプトに保険者(健保組合など)を特定し、記載する

▼保険者を特定できない場合には、「住所または事業所名」「連絡先」などをレセプトの欄外上部に記載する



また難病患者等で、医療受給者証の提出ができない場合であっても、医療機関の窓口で「医療受給者証の交付を受けている」ことを申し出て、▼氏名▼生年月日▼住所—が確認できた場合には公費負担医療を受けられるといった特例措置も7月13日に設けられました。なお緊急の場合には、指定医療機関以外の医療機関での受診も可能です(指定医療機関が被災したケース、指定医療機関までの交通が遮断等されているケースなどもあるため)(厚労省事務連絡「令和2年7月3日からの大雨による災害による被災者に係る公費負担医療の取り扱いについて」)。

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