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65歳未満の若年性認知症患者、人口10万人当たり50.9人と推計され、介護保険の利用は低調―都健康長寿医療センター

2020.7.29.(水)

我が国における65歳未満の若年性認知症患者は、人口10万人当たり50.9人、全国で3万5700人と推計され、アルツハイマー型が半数超を占める―。

患者の多くが退職を余儀なくされ、3割の患者は公的介護保険を利用していない―。

東京都健康長寿医療センターが7月27日に公表した「わが国の若年性認知症の有病率と有病者数」から、こういった状況が明らかになりました(都健康長寿医療センターのサイトはこちら)。

最初に気づいた症状は、「もの忘れ」(66.6%)や「職場や家事などでのミス」(38.8%)

昨年(2019年)6月に認知症施策推進関係閣僚会議で取りまとめられた「認知症施策推進大綱」では、65歳未満で発症する「若年性認知症」への支援」を重要施策の1つとして取り上げています。具体的には、▼発症初期から適切な支援を受けられるよう、医療機関や地域包括支援センター等における若年性認知症支援のハンドブックの配布、都道府県ごとの専門相談窓口の設置、相談窓口への若年性認知症支援コーディネーターの配置等の施策を引き続き推進する▼若年性認知症支援コーディネーターは、就労・社会参加のネットワーク作りに加え、認知症地域支援推進員や地域包括支援センター職員との広域的なネットワークづくりを推進する▼電話相談を受ける「若年性認知症コールセンター」の運営を継続する―ことなどが示されています(関連記事はこちら)。

しかし、「若年性認知症」については、実態が十分に調査されておらず、支援も十分に行われていません。このため大綱でも「実態把握と対応施策に関する調査研究を行う」方針を明確にしています。

この点、2006-8年度に若年性認知症の有病率調査が行われ、そこでは▼有病率は人口10万人あたり47.6人▼有病者数は3万7800人▼血管性認知症が最も多い—などと推計されました。

ただし、10年以上前のデータであることから、都健康長寿医療センターは最新のデータを得るために、今般、全国12地域(北海道、秋田県、山形県、福島県、茨城県、群馬県、東京都、新潟県、山梨県、愛知県、大阪府、愛媛県)で、1万6848か所の医療機関・介護サービス事業所・障害福祉サービス事業所・相談機関等と協力し、若年性認知症の標準化有病率と有病者数を推計。その結果、18-64歳の「若年性認知症」の▼有病率は人口10万人当たり50.9人(上記の2006-8年度調査にくらべて3.2ポイント増)▼有病者数は3万5700人(どう2100人減)―と推計されました。

原因疾患別に見ると、▼アルツハイマー型認知症:52.6%▼血管性認知症:17.1%▼前頭側頭型認知症:9.4%▼頭部外傷による認知症:4.2%▼レビー小体型認知症/パーキンソン病による認知症:4.1%▼アルコール関連障害による認知症:2.8%―などと考えられています。2006-8年度調査にくらべて、アルツハイマー型・前頭側頭型が増加していますが、都健康長寿医療センターでは「若年性のアルツハイマー型認知症や前頭側頭型認知症に対する国民の意識の高まりとともに、変性型認知症に対する医療機関の診断精度の向上が関係しているのではないか」と分析しています。

また生活実態調査から、▼最初に気づいた症状は、「もの忘れ」(66.6%)や「職場や家事などでのミス」(38.8%)が多い▼発症時点で約6割の患者は就労していたが、うち約7割は調査時点で退職している▼約6割で「世帯収入の減少」を感じ、主な収入源は「障害年金」(約4割)や「生活保護」(約1割)が多い▼約3割は介護保険の申請をしていない―ことなども明らかとなりました。

2000年度からスタートした公的介護保険制度では、65歳以上(第1号被保険者)の要介護者(原因は問わない)とともに、40-64歳(第2号被保険者)で特定疾病(以下)により要介護状態となった人について、自立支援・重度化防止に向けた様々なサービス提供を行います。

【特定疾病】
▽がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
▽関節リウマチ
▽筋萎縮性側索硬化症
▽後縦靱帯骨化症
▽骨折を伴う骨粗鬆症
▽初老期における認知症
▽進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病【パーキンソン病関連疾患】
▽脊髄小脳変性症
▽脊柱管狭窄症
▽早老症
▽多系統萎縮症
▽糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
▽脳血管疾患
▽閉塞性動脈硬化症
▽慢性閉塞性肺疾患
▽両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

若年性認知症で要介護状態となった場合にも、要介護度や本人の希望に応じて各種の介護保険サービス(訪問介護・看護などの居宅サービス、特別養護老人ホームなどの施設サービス、認知症対応型グループホームなどの地域密着型サービス、福祉用具貸与・住宅改修など)を受けることができ、医療機関や自治体などからのより積極的なPRが期待されます。



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