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多様な看護職が活躍できるよう、医療機関は「職場環境の整備」「法令遵守」徹底を—日看協

2020.9.16.(水)

看護職の一定割合が子育てや家族介護などで、時間外労働が難しい。こうした多様な看護職が活躍できる職場環境の整備が求められる—。

また看護職(非管理職)が実際に行った残業時間と、時間外手当が支払われる残業時間との間には乖離があり、適切な労務管理(労働時間の把握、時間外手当の支給)が強く求められる—。

日本看護協会が9月11日に発表した、2019年「病院および有床診療所における看護実態調査」から、こういった状況が明らかになりました(日看協のサイトはこちら)。多忙な看護職についても「働き方改革」が重要な課題となっており、各医療機関等での改善に向けた積極的な取り組みに期待が集まります。

病院の看護職、18%が「11時間の勤務間インターバル」確保できておらず

日看協では、病院看護職員の需給動向や労働状況、看護業務の実態を把握するために、毎年、「病院看護実態調査」を実施し、その結果を公表しています。2019年の調査結果速報はすでに今年(2020年)3月末に公表されていますが、さらに、今般、「労働に関する調査項目の拡充」「対象を有床診勤務看護師にも拡大」した調査結果を公表したものです。

調査結果は、(1)病院職員調査(全国の病院に勤務する非管理職(スタッフ)看護師6591名の回答を解析)(2)有床診施設調査(全国の320の有床診の回答を解析)(3)有床診職員調査(全国の有床診に勤務する看護師528名(非管理職:70.8%、中間管理職:22.0%、管理職:2.1%—))―の3部構成となっています。

まず(1)の病院職員調査結果を眺めてみましょう。年齢構成をみると、▼35-39歳:17.7%▼40-44歳:17.1%▼30-34歳:16.6%▼24-29歳:16.3%―が多く、平均年齢は37.8歳となっています。

また、自身の能力を日看協の「看護師のクリニカルラダー」に照らすと、▼レベルIII(受け手に合う個別的看護を実施可能):34.4%▼レベルII(標準的な看護計画に基づき看護を実践可能):23.8%▼レベルIV(予測的判断をもって看護実績が可能):20.6%—などに当てはまるとの回答が多くなっています。



夜勤・交代制勤務の形態を見ると、二交代制勤務(1回当たり夜勤16時間以上)が最も多く43.1%、次いで▼夜勤をしていない:21.4%▼三交代制:15.7%▼二交代制(1回当たり夜勤16時間未満):8.8%―などが多くなっています(二交代制の合計は51.9%で過半数)。

また、勤務間インターバルについて、日看協では「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」で「11時間以上」を推奨しています。これをクリアできない、つまり「インターバル11時間未満の勤務が1か月(2019年8月)の中にあった」との回答は18.0%あり、その回数は▼1回:28.1%▼2回:23.0%▼3回:15.8%▼4回:14.1%▼5回以上:17.3%—となっています。特定の看護職に夜勤負担が集中しているケースがあると考えられます。

病院看護職、実残業と残業手当支払いとの間に平均「3.0時間」の乖離

次に時間外労働の状況を見てみましょう。

正規のフルタイム勤務者のうち77.0%に時間外労働があり(2019年7月)、その平均時間は8.9時間ですが、「40時間以上」の長時間残業も1.5%認められました。

このうち、時間外勤務を申請したのは平均6.0時間、時間外勤務手当が支払われたのは平均5.9時間で、▼実際の時間外労働▼申請された時間外労働▼手当てが支払われた時間外労働—に「乖離」があります(実残業と手当て支払とを比較すると平均3.0時間の乖離)。いわゆる「サービス残業」があることが確認でき、日看協では「法令に則って労働時間が適正に把握され、割増賃金支給がなされるよう、職場の労務管理の見直しが必要」と訴えています。

実残業時間と、手当支給対象との間には乖離がある(2019年病院・有床診看護実態調査1 200909)



また、とりわけ「サービス残業」になりやすい「いわゆる前残業」(業務開始時刻より前に出勤して仕事を始める)については、63.4%が「ある」と回答し、その平均回数は11.8回でした。

さらに、業務(事務作業や院内の看護研究など)を自宅等に持ち帰るなどして行った者は、全体の31.1%おり、その平均時間は5.5時間となりました。

これらについても、法令に則り「時間外労働」としてカウントすること、さらに「削減していく」ことが必要と日看協は指摘しています。

若手職員は「離職を考える」割合高い、通勤や時間外労働、同僚との関係など多様な要素

一方、今後の就業意向について見てみると、▼離職を考えている:44.9%▼離職は考えていない:54.9%—ですが、若手ほど「離職を考えている」割合が高くなっています。

病院の看護職は、全体では44.9%が離職を考えており、若手ほどその割合が高い(2019年病院・有床診看護実態調査2 200909)



また「離職を考えていない」人について「その理由」を、「離職を考えている」人に「改善してほしい項目」を聞くと、次のような回答が多くなっています。当然のこととも言えますが、「働きやすい職場」の確保が、看護スタッフの雇用継続に不可欠であることが再確認できます。

【離職を考えていない理由】
▽通勤の利便性が良い:32.0%
▽同僚との関係が良い:31.0%
▽時間外労働が少ない:26.6%

【改善すべき項目】
▽仕事に見合った賃金とする:43.9%
▽時間外労働が少ない:24.1%
▽年次有給休暇を取得しやすい:18.3

離職を考えない理由、離職を考える者が改善してほしい項目として、やはり「働きやすい環境整備」が目立つ(2019年病院・有床診看護実態調査3 200909)



この背景として日看協では「多様な人材が活躍している」状況を指摘します。例えば▼子供のいる者が44.9%おり、うち41.9%は「就学前の子供」である▼自分が主となって家族を介護している者が全体の1.9%いる—ことが分かっており、これは「時間外労働が極めて困難である」看護職が相当数いることにつながってきます。

もっとも、上記のように「特定の看護職に夜勤負担が集中しているケース」が少なからずあることにも留意したシフト作成等が必要でしょう。さらなる看護スタッフの増員なども重要な視点になってきます。



なお、(3)の有床診職員調査結果を見てみると、▼離職を「考えていない」人の割合は70.8%(病院職員調査よりも15.9%多い)で、その理由のトップは「同僚との関係が良い」であった▼勤務間インターバルが11時間未満であったスタッフは7.0%(病院職員調査よりも11.0ポイント少ない)—ことなどが目を引きます。

有床診の看護職は、病院に比べて離職を考える人の割合が少ない(2019年病院・有床診看護実態調査4 200909)



「アットホームな環境のために離職を考えない人の割合が高い」などとも思われますが、回答者の属性が両調査で異なる(病院職員調査には管理職を含まない)点などに留意した比較分析が待たれます。

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