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医療従事者の確保状況は前年度から悪化し、地域格差も依然として大きい―2017年度立入検査結果

2020.9.28.(月)

2017年度に医師配置の標準を満たしている病院は96.4%で前年度から変わらず、看護師・准看護師については99.2%で前年度から0.2ポイントの悪化、さらに薬剤師については96.5%で0.1ポイントの悪化となった。全般的に医療従事者の確保に多くの病院が苦労しており、地域別にも大きな格差がある―。

このような状況が、厚生労働省が9月18日に発表した2017年度の「医療法第25条に基づく病院に対する立入検査結果」から明らかになりました。

医師配置の地域格差(偏在)が立入検査結果からも明確に

医療法では、医療の質・安全性を担保する目的で人員配置や構造設備に関する「標準」(基準)を定めています(診療報酬では、ここに上乗せする基準を設けている)。都道府県都知事や保健所設置市の市長、特別区の区長は毎年度、この基準が遵守されているかどうか、医療機関に立入検査を実施しています(医療法第25条、2016年度結果の記事はこちら)。

2017年度には、全8388病院(当時)のうち7848病院に対して立入検査が行われ、実施率は93.6%(前年度と同水準)となりました。



まず医師の配置状況を見てみましょう。医療法では、▽一般病床は16対1(患者16人に対し1人、以下、同様)以上▽療養病床は48対1以上―などの医師配置の標準が定められています。

この標準数の遵守状況を見ると、2017年度は96.4%(7565施設/調査対象7845施設)となったことが分かりました。前年度と同水準で、▼2009年度:90.0% →(1.8ポイント向上)→ ▼2010年度:91.8% →(0.7ポイント向上)→ ▼2011年度:92.5% →(1.1ポイント向上)→ ▼2012年度:93.6% →(0.9ポイント向上)→ ▼2013年度:94.5% →(1.0ポイント向上)→ ▼2014年度:95.5% →(0.4ポイント向上)→ ▼2015年度:95.9% →(0.5ポイント向上)→ ▼2016年度:96.4%→(増減なし)→ ▼2017年度:96.4%—となっており、徐々に改善していることを再確認できますが、依然として「低い水準」にとどまっています。

地域別に見ると、近畿(99.0%、前年度に比べ0.5ポイント向上)や東海(98.4%、同0.6ポイント向上)、関東(97.7%、同0.1ポイント低下)では高いものの、北海道・東北(91.5%、同0.1ポイント向上)、中国(94.9%、同1.0ポイント低下)、四国(95.0%、同0.7ポイント低下)では若干低くなっています。地域間の格差(つまり偏在)の存在を再確認できるデータですが、2020年度からスタートした医師確保計画によって徐々に偏在が解消していくことに期待が寄せられています。

なお、2024年4月から医師にも罰則付きの時間外労働上限が設定されます。「これまでの医療提供体制・量を維持するためには、医師の増員が不可欠」との指摘も強くあり、この点に関する動きも注目すべきでしょう(関連記事はこちらこちら)。



医療法標準以上の医師配置を行えていない病院の割合は、全国では3.6%(前年度から0.0ポイント減少)ですが、ブロック別に見ると▼北海道・東北:8.5%(同0.1ポイント減少)▼関東:2.3%(同0.1ポイント増加)▼北陸・甲信越:4.0%(同0.4ポイント減少)▼東海:1.6%(同0.8ポイント減少)▼近畿:1.0%(同0.5ポイント減少)▼中国:5.1%(同1.0ポイント増加)▼四国:5.0%(同0.7ポイント増加)▼九州:3.0%(同0.1ポイント増加)―となっており、「医師確保の難しさ」がやはり地域間で大きく異なる状況を再確認できます。

「医師の働き方改革」を進めるにあたっては、病院の再編・統合も重要テーマの1つとなります。再編・統合、つまり大規模化を進めることで、限られた医療資源を集約化することが可能となり、これが「医師1人当たりの負担軽減」にもつながるためです。とりわけ医師確保が困難な北海道・東北ブロックや北陸・甲信越ブロックなどでは、患者のアクセスにも十分配慮したうえで、今後、病院の再編・統合をしっかり検討していくことが重要となってくるでしょう。



また病床規模別に医師配置状況を見てみると、一般病院では▼500床以上:98.8%(前年度に比べて0.6ポイント低下)▼400-499床:99.3%(同1.0ポイント向上)▼300-399床:98.0%(同0.4ポイント向上)▼200-299床:97.3%(同0.1ポイント低下)▼150-199床:96.8%(同0.4ポイント向上)▼100-149床:96.6%(同増減なし)▼50-99床:95.5%(同0.3ポイント低下)▼20-49床:92.6%(同0.2ポイント向上)―となっています。中小規模病院で医師確保が難しい状況を再確認できますが、500床以上の超大規模病院で医師配置の遵守率が下がっている点が気になります。

なお、一般病院のうち5病院では、医療法標準の50%に満たない医師しか配置できていません(一般病院の0.1%)。「標準数の半分未満の医師しか配置できていない」一般病院はこれまで増加傾向にありましたが、2016から17年度にかけて4病院の減少(つまり改善)となっています。

地域別・病床規模別に見た医師配置の適合状況(2017年度立入検査結果1 200918)

看護職員の確保、とりわけ中小規模病院で難しい

次に、看護師・准看護師(以下、看護師等)の配置状況を見てみましょう。医療法では、▽一般病院の一般病床は3対1▽同じく療養病床は4対1(2017年度まで6対1を認める経過措置あり)▽特定機能病院は2対1―以上といった標準配置数が定められています(病棟)。

2017年度は99.2%の病院で医療法標準を満たしています(前年度から0.2ポイント低下)。▼2009年度:99.2% →(0.2ポイント向上)→ ▼2010年度:99.4% →(増減なし)→ ▼2011年度:99.4% →(0.4ポイント低下)→ ▼2012年度:99.0% →(0.2ポイント低下)→ ▼2013年度:98.8% →(0.5ポイント向上)→ ▼2014年度:99.3% →(増減なし)→ ▼2015年度:99.3% →(0.1ポイント向上)→ ▼2016年度:99.4% →(0.2ポイント低下)→ ▼2017年度:99.2—と増減を繰り返しており、日本全国の病院で「看護師等確保に苦労している」状況が伺えます。

地域別に前年度からの適合率の推移を見ると、2015年度から16年度にかけては関東ブロックのみで低下が見られましたが、2016年度から17年度にかけては▼東海(前年度から0.6ポイント低下)▼近畿(同0.5ポイント低下)▼中国(同0.2ポイント低下)▼四国(同0.3ポイント低下)―と西日本での悪化が目立ち、背景などをより詳しく分析する必要があるでしょう。

適合率の高い地域は、▼北陸・甲信越:99.8%(前年度に比べて0.1ポイント向上)▼九州:99.7%(同増減なし)▼北海道・東北:99.6%(同増減なし)—などで、逆に低い地域は▼四国:98.6%(同0.3ポイント低下)▼近畿:98.8%(同0.5ポイント低下)▼関東:98.9%(同増減なし)―などです。なお、東海ブロックで「看護師等の適合率の悪化」度合いが大きい(前値度から0.6ポイント低下)点が目立ちます。



病床規模別に見ると、一般病院では▼500床以上:99.7%(前年度から0.3ポイント低下)▼400-499床:99.7%(同増減なし)▼300-399床:99.8%(同0.2ポイント向上)▼200-299床:99.7%(同0.2ポイント低下)▼150-199床:98.9%(同0.9ポイント低下)▼100-149床:99.2%(同0.4ポイント低下)▼50-99床:98.6%(同0.5ポイント低下)▼20-49床:98.3%(同0.2ポイント向上)―となっています。中小規模の病院で看護師等確保に苦戦している状況を再確認できます。

なお、看護師等を標準の50%未満しか配置できていない病院は、2015年度には解消しましたが、2016年度には3病院、さらに2017年度には1病院となりました(一般病院)。看護師等の配置不足は、個々の看護師等の負担増に直結する(50%未満であれば、単純計算で100%病院の2倍以上の負担となっている計算である)ため、地域全体による支援(個々の病院の努力には限界もある)充実が求められそうです。

地域別・病床規模別に見た看護職配置の適合状況(2017年度立入検査結果2 200918)

病院薬剤師、中国や九州での確保が極めて困難

薬剤師については、医療法上、▽一般病院の一般病床は70対1▽同じく療養病床は150対1▽特定機能病院は30対1―などといった標準配置数が定められています(病棟)。

適合状況を見てみると、2017年度は96.5%の病院で医療法標準を満たしていることが分かりました。前年度と比べて、0.1ポイント悪化しています。薬剤師配置も医師と同じく年々改善傾向にありましたが、今後の状況を注視していくことが重要です。

地域別に見ると、▼中国(前年度から1.4ポイント低下)▼四国(同1.2ポイント低下)▼北海道・東北(同0.2ポイント低下)―の3ブロックで適合率が前年度よりも悪化(低下)しています。適合率が高いのは▼近畿:99.3%(前年度から0.5ポイント向上)▼東海:97.9%(同0.2ポイント向上)▼北陸・甲信越:97.8%(同0.3ポイント向上)—などで、逆に低いのは▼中国:92.8%(同1.4ポイント低下)▼九州:94.4%(同0.1ポイント向上)―などです。中国ブロックにおいて病院薬剤師確保に向けたテコ入れが必要でしょう。

病床規模別に見ると、一般病院では▼500床以上:99.4%(前年度に比べて0.3ポイント低下)▼400-499床:98.6%(同0.7ポイント低下)▼300-399床:99.0%(同増減なし)▼200-299床:98.2%(同0.2ポイント向上)▼150-199床:97.6%(同0.5ポイント向上)▼100-149床:97.7%(同0.2ポイント向上)▼50-99床:96.6%(同0.1ポイント向上)▼20-49床:91.3%(同2.5ポイント向上)―となりました。小規模病院のみならず、大規模病院でも「薬剤師確保が困難な状況」に陥っているようです。

地域別・病床規模別に見た薬剤師配置の適合状況(2017年度立入検査結果3 200918)



なお、病院全体で法令遵守の度合いが芳しくない項目は、低い順(悪い順)に(1)職員の健康管理(適合率92.2%、前年度から0.5ポイント低下)(2)医療法許可の変更(同95.2%、同0.4ポイント低下)(3)医薬品の取り扱い(医薬品の管理)(同95.5%、同0.9ポイント低下)(4)医師数(同96.4%、同増減なし)(5)薬剤師数(同96.5%、同0.1ポイント低下)―などといった項目です。職員の健康管理は、提供する医療の質・安全性の確保にも影響してくることから、早急な改善と公的な支援が求められます。



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