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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

2020年度の医療機関立入検査、オンライン診療や電話等診療が適正に実施されているかを重視―厚労省

2020.9.9.(水)

今年度(2020年度)に実施する「医療機関への立入検査」では、例年通りの安全管理、院内感染対策などのほか、▼「オンライン診療」がルールに沿って適正に実施されているか(例外事由に該当しない「初診患者への実施」などが行われていないか、直接の対面診療と適切に組み合わせて実施されているか、など)▼新型コロナウイルス感染症対策として臨時特例的に認められている「初診患者への電話・情報通信機器を用いた診療」について都道府県に実施状況報告がなされているか―などの点も十分に確認してほしい—。

厚生労働省は9月3日に、通知「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱の一部改正について」および「令和2年度の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について」を示し、こうした点を明確にしました。

オンライン診療、臨時特例の初診患者への電話等診療が適正に実施されているか

医療法第25条第1項では、▼都道府県知事▼保健所設置市の市長▼特別区の区長―に対し「必要に応じて医療機関に立入検査(人員、清潔保持、構造設備、診療録、助産録、帳簿書類など)を行う」権限を与えています。

今般の通知は、今年度(2020年度)の立入検査における重点事項を示すものです。医療機関サイドは「通知で示された重点事項について、適切な管理がなされているのかを事前に自己点検しておく」ことが重要となります。

まず、立入検査要綱の一部改正通知を見ると、大きく次の3点の見直しが行われています。
(1)「診療放射線に係る安全管理体制」の確認を追加する
(2)「病院におけるアスベスト(石綿)対策」の確認を追加する
(3)「オンライン診療の適切な実施」がなされているかの確認を追加する

このうち(1)は、「放射線を用いた検査や治療による医療被曝を最適化する」ことを目指すものです。医療機関には、「診療放射線に係る安全管理体制の確保」「CT撮影などの被曝線量を記録する」「患者が他医療機関受診時に活用できるよう、被曝線量記録を患者に提供する」「患者が必要性のあるCT撮影等を拒絶するなどの事態が生じないよう、適切な説明を行う」ことなどが求められています(関連記事はこちら)。

これを受け、立入検査において、次のような点の確認が行われることになりました。
▼診療放射線に係る安全管理のための責任者を配置しているか
▼診療用放射線の安全医療のための指針を策定しているか
▼放射線診療に従事する者に対する診療用放射線の安全利用のための研修を実施しているか
▼放射線を受ける者の被曝線量の管理・記録、その他の診療用放射線の安全利用を目的とした改善のための方策(線量管理、線量記録、情報等の収集と報告)を実施しているか
▼「現在実施している外部被曝線量・内部被曝線量の測定」を、放射線診療従事者等に対して適切に実施しているか
▼放射線測定器を適切な位置に装着して外部被曝線量を測定しているか



また(3)では、次のような点の確認が行われます。
(i)オンライン診療を実施する医療機関が診療計画を適切に作成・保存しているか
(ii)「オンライン診療における不適切な診療行為の取扱いについて」で示されている医師法第20条違反の診療行為(例えば、例外事由に該当しないにもかかわらず実施されている初診患者へのオンライン診療など)が行われていないか
(iii)厚労省事務連絡「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」で臨時特例的に認められている「初診からの電話・情報通信機器を用いた診療」について、実施状況等を都道府県に報告しているか

前2者((i)(ii))は、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(2018年3月策定、2019年7月に改訂)を遵守しているかを確認するものと言ってよいでしょう。オンライン診療は、直接の対面診療を行っていた患者(主には安定期の慢性疾患患者)に対して、患者の同意の下に、オンライン診療計画を作成し、その計画に則って実施することが求められます。原則として初診患者にオンライン診療を実施することはできず(例外的に「離島等で緊急の受診が必要だが、対面診療が叶わない場合」などに認められる)、また直接の対面診療との組み合わせが必要となります(「オンライン診療のみ」の実施は不可)。こうしたルールを適切に遵守しているかの確認が行われます。

一方、新型コロナウイルスへの感染リスクを抑えながら、医療へのアクセス機会を確保するために、「電話・情報通信機器を用いた診療」が臨時特例的に大幅拡大されています(上記の「オンライン診療」とは別のもの)。政府の規制改革推進会議の意向を踏まえて、「まったくの初診患者」(これまでに自院を一度も受診したことがなく、他医療機関からの診療情報提供もない患者、完全初診患者)に対しても、電話や情報通信機器を用いた診療を行うことが認められています。

しかし、誤診のリスクの少なくないことから、厚労省は、▼初診患者への電話・情報通信機器を用いた診療では麻薬および向精神薬を処方してはならない▼完全初診患者では医薬品処方日数は7日間を上限とする▼完全初診患者では、ハイリスク医薬品を処方してはならない―などのルールを遵守すべきこと、「初診患者への電話・情報通信機器による診療の実施状況」などを都道府県に報告することを医療機関に求めています。今般の(iii)では、この「初診患者への電話・情報通信機器による診療の実施状況」報告がきちんとなされているのかを確認するものです(関連記事はこちらこちらこちら)。



なお、2020年度における立入検査では、▼安全管理のための体制の確保等▼院内感染防止対策▼最近の医療機関における事件等に関連する事項(食中毒、無資格者による医療行為、定員超過入院など)▼立入検査後の対応など―の4本を柱に据えています。例年と同じ構成ですが、「医療機関が遵守すべき医療安全等の内容・課題は毎年のように変わるものではない」ことから、当然のことと考えられます。上記の見直しを除き、2019年度から立入検査におけるポイント・重点項目に大きな見直しはありません(関連記事はこちら)。

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