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新型コロナ対策の臨時特例的なオンライン診療の拡大、診療報酬上も「柔軟な対応」を認める―厚労省

2020.3.25.(水)

厚生労働省は3月23日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その6)」を示し、新型コロナウイルス感染リスク拡大を低減するための「臨時的・特例定期なオンライン診療の拡大」に関連する診療報酬について明確にしました。

新型コロナ対策の臨時特例的なオンライン診療の拡大、診療報酬も柔軟に対応

新型コロナウイルスが本邦でも猛威を振るう中、厚労省は3月19日付の事務連絡「新型コロナウイルスの感染拡大防止策としての電話や情報通信機器を用いた診療等の臨時的・特例的な取扱いについて」で、次のような点を明らかにしました(以下、本稿では臨時特例措置と呼ぶ)。「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」(において、「オンライン診療の限界」(得られる情報が極めて限定される)と「オンライン診療の活用することの有用性」(医療機関を受診せずともよい)の2側面を踏まえた決定です。

医療機関受診による新型コロナウイルス感染リスクを低減するため、電話や情報通信機器を用いた診療の幅を臨時特例的に拡大する。例えば、事前のオンライン診療計画への記載がなくとも、慢性疾患患者における「予測される症状変化に対応する医薬品」の処方を電話再診やオンライン診療で可能とする。

また、オンライン診療による新型コロナウイルス感染の診断は認められないが、将来、「軽症者は自宅療養」となった場合には、電話や情報通信機器で経過観察を行い、必要な医薬品処方等を可能とする。

このように、オンライン診療や電話再診による診療が拡大された際、「診療報酬算定はどのように考えるのか」が問題になることから、厚労省は今般の事務連絡(その6)で取り扱いを明確にしたものです(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。



まず、【オンライン診療料】については、留意事項通知で「診療計画に基づかない他の傷病に対する診療は、対面診療で行うことが原則」としています。ビデオ映像や音声などを活用したオンライン診療では、視覚情報・問診情報しか得られないために、重要な徴候を見落としてしまうことも考えられます。そこで保険診療上の【オンライン診療料】等にとどまらず、自由診療における「オンライン診療」においても遵守すべき「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の中でも、「診療計画に基づかない他の傷病に対する診療は、対面診療で行うことが原則」である旨が明確にされているのです。

しかし、この原則を徹底して医療機関の対面受診を求めた場合、「重症化のおそれあり」とされる慢性疾患患者の新型コロナウイルス感染リスクを高めてしまいます。そこで臨時特例措置として、例えば「既に患者に対して定期的なオンライン診療を行っている場合で、発症が容易に予測される症状の変化」に対して、事前のオンライン診療計画等なしに医薬品処方(従前の処方と異なる処方)を行うことなど認められました。この点について診療報酬上は「通常の【オンライン診療料】と同様の取扱いとして差し支えない」ことが明らかにされています。



また、これまで定期的なオンライン診療を行っていない慢性疾患患者(上記の「これまでも処方されていた慢性疾患治療薬の処方」を行っているケースを含む)にも、「電話や情報通信機器を用いた診療により生じるおそれのある不利益」「発症が容易に予測される症状の変化」「処方する医薬品」などについて、患者に説明し、合意を得ておけば、電話や情報通信機器を用いて医薬品処方を行うことが可能となります。この点について、診療報酬上は【電話再診料】や【処方箋料】などを算定できることが明確にされています(「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」(2月28日付、厚労省事務連絡)に関する臨時的な診療報酬の取り扱いと同様として差し支えない)。



さらに、上記の処方によってファクシミリ等で処方箋情報を受け付けた保険薬局では、【調剤技術料】【薬剤料】を算定できることも示されています(「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」(2月28日付、厚労省事務連絡)に関する臨時的な診療報酬の取り扱いと同様として差し支えない)。



一方、今後、新型コロナウイルス感染患者が大幅に増加した際には、重症化リスクの低い軽症者や無症状感染者については「在宅療養」となることが考えられます。入院医療を「重症者」や「重症感リスクの高い患者」に優先的に提供する必要があるためです。

この点に関連して、「在宅療養する軽症患者等に対しては、電話や情報通信機器を活用した指導管理や投薬を可能とする」こととなります。この点に関する診療報酬についても、【電話再診料】や【処方箋料】などを算定できることが示されました(「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」(2月28日付、厚労省事務連絡)に関する臨時的な診療報酬の取り扱いと同様として差し支えない)。

新型コロナ感染防止のため研修等が実施されない場合、診療報酬の基準は柔軟に運用

ところで、A001【再診料】の【地域包括診療加算】、あるいはB001-2-9【地域包括診療料】を届け出るためには、「慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師」の配置などが必要です。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のために「研修が中止される」ことなどが生じえます。この点、厚労省は「研修中止などのやむを得ない事情により、研修に係る施設基準を満たせなくなったとして届け出を辞退する必要はなく、引き続き算定可能である。ただし、研修が受けられるようになった場合には、速やかに研修を受講し、遅滞なく届け出を行う必要がある」との考えを明確にしました。

また、A234【医療安全対策加算】の【医療安全対策地域連携加算】、あるいはA234-2【感染防止対策加算】の【感染防止対策地域連携加算】を届け出るためには、「他医療機関(【医療安全対策加算1】を届け出ているなど)と連携して、少なくとも年1回程度、医療安全対策に関する評価を行い、当該医療機関にその内容を報告する」ことなどが必要です。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、こうした「評価が実施できない」事態が生じえます。この点、厚労省は「評価実施ができない場合でも、届け出を辞退する必要はない。ただし、実施できるようになった場合には、速やかに評価を実施する必要がある」ことを明らかにしました。

新型コロナウイルス検査の保険適用を踏まえ、検査キット等をさらに明確化

なお、厚労省は2月27日に「疑義解釈資料の送付について(その23)」(2018年度診療報酬改定のQ&A)を示し、今般保険適用された新型コロナウイルスのPCR検査「SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出」を実施する際に用いるものとして、国立感染症研究所ホームページ掲載の「臨床検体を用いた評価結果が取得された2019-nCoV 遺伝子検査方法について」に記載された、▼FLUOROSEARCH™ Novel Coronavirus (SARS-CoV-2) Detection Kit▼SmartAmp 2019 新型コロナウイルス検出試薬―が、「新型コロナウイルス検出の薬事承認・認証を得ている体外診断用医薬品」(国立感染症研究所が作成した「病原体検出マニュアル2019-nCoV」に記載されたもの、もしくはそれに準じたもの)に該当する、ことが明確にされました(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。



病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

 

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