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公立病院における新型コロナ感染症への医療提供体制の充実を要請―高市総務相

2020.2.27.(木)

新型コロナウイルスが猛威を振るう中で、地方自治体におかれては「公立病院における新型コロナウイルス感染患者の入院病床を十分に確保する」や「公立病院において重症患者の優先的受け入れを行う」などの取り組みを行ってほしい―。

2月26日に開催された「地域医療確保に関する国と地方の協議の場」(以下、「協議の場」)において、高市早苗総務大臣は、▼全国知事会社会保障常任委員会の平井伸治委員長(鳥取県知事)▼全国市長会の立谷秀清会長(福島県相馬市長)▼全国町村会の椎木巧副会長(山口県周防大島町長)―らに宛てて、こうした要請を行いました(要請内容(総務大臣書簡)は総務省サイトにも掲載されています)。

2月26日の「地域医療確保に関する国と地方の協議の場」で、高市早苗総務相が地方3団体に対し「新型コロナウイルス感染症への医療体制強化」を要請した

公立病院が「重症者を優先的に受け入れる医療機関」となることなど検討を

「協議の場」は昨秋に、厚生労働省の地域医療構想に関するワーキンググループにおいて「424(当時)の公立・公的等医療機関に対し、機能分化等を含む再編・統合を要請してはどうか」との見解がまとめられたことを受けて設置された会議体です。厚生労働省・総務省と自治体病院の開設者である地方3団体(全国知事会、全国市長会、全国町村会)との間で「効果的・効率的な地域医療提供体制の在り方」について議論を重ねています。

2月26日の会合では、主に「医師偏在対策をどう進めるか」を議題としましたが、猛威を振るう新型コロナウイルス感染症についても議論が及びました(医師偏在対策に関する議論ついては別稿でお伝えします)。

その中で、高市総務相は、自治体の対応に深く謝意を述べるとともに、「今後、新型コロナウイルス感染症患者の増加により、入院病床の確保や移送調整業務の円滑な実施が必要になると想定される」として、各自治体において▼「衛生」「消防」「公立病院」「財政」など関係部局間の緊密な連携体制の確保▼公立病院における「新型コロナウイルス感染症患者が入院する」病床の確保▼住民への情報提供・相談体制の確保―に迅速に取り組んでほしいと要請しました。

入院病床については、「感染症病床の6割は公立病院が保有しており、今こそ、その機能を発揮してもらうべきである。各自治体で適切に状況を把握し、感染症病床はもとより、それ以外の病床確保についても積極的に取り組んでほしい」と要望。公立病院が「重症者を優先的に受け入れる医療機関」となることなども例示しています。

また情報提供・相談体制確保については、▼帰国者・接触者相談センターの住民への周知▼帰国者・接触者相談センターと#7119(救急相談センター)との連携強化―を依頼しました。

さらに、自治体と国との間で情報共有を行うために窓口(総務省と都道府県・政令市間の窓口)に設置する考えも明らかにしました。



この要請を受け、地方3団体を代表して平井鳥取県知事から「入院病床の確保、患者の移送対応、相談窓口設置について各自治体が積極的に取り組んでいる。国(厚生労働省や総務省)と都道府県、市町村で情報共有することが重要であり、総務省の窓口設置方針に感謝する」旨の考えを表明。

あわせて平井鳥取県知事は、正岡子規の絶筆三句「糸瓜(へちま)咲て 痰のつまりし 佛かな」「痰一斗 糸瓜の水も 間に合はず」「をとゝひの へちまの水も 取らざりき」に触れ、「肺病を患っていた子規が、自分の命はヘチマの実(ヘチマ水が咳止めに良いとされていた)がなるまで持たないことを今際の際に詠んだものである。こうした悲しい事態が生じないように、自治体として積極的に取り組んでいく。国にも応援をお願いしたい」と強調しました。



なお、2月25日に政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が決定した「基本方針」では、医療体制について次のような考えを示しています。今般の高市総務相の地方自治体への要請内容は、この基本方針を踏まえたものであることが分かります。

【現行】
▽まず、帰国者・接触者相談センター(以下、相談センター)に連絡いただき、新型コロナウイルスへの感染を疑う場合は、感染状況の正確な把握、感染拡大防止の観点から、相談センターから帰国者・接触者外来へ誘導する

▽帰国者・接触者外来で新型コロナウイルス感染症を疑う場合、疑似症患者として感染症法に基づく届け出を行うとともにPCR検査を実施し、必要に応じて感染症法に基づく入院措置を行う

▽今後の患者数増等を見据え、医療機関における病床や人工呼吸器等の確保を進める

▽医療関係者等に適切な治療法の情報提供を行うとともに、治療法・治療薬やワクチン、迅速診断用の簡易検査キットの開発等に取り組む

【今後】
▽地域で患者数が大幅に増えた状況では、外来対応については、一般医療機関で診療時間や動線を区分する等の感染対策を講じた上で、新型コロナウイルス感染疑い患者を受け入れる(なお、地域で協議し、新型コロナウイルスを疑う患者の診察を行わない医療機関(例:透析医療機関、産科医療機関等)を事前に検討する)

▽あわせて、重症者を多数受け入れる見込みの感染症指定医療機関から順に帰国者・接触者外来を段階的に縮小する

▽風邪症状が軽度である場合は、自宅での安静・療養を原則とし、状態が変化した場合に、相談センターまたはかかりつけ医に相談した上で受診する

▽高齢者や 基礎疾患を有する者では、重症化しやすいことを念頭におき、より早期・適切な受診につなげる

▽風邪症状がない高齢者や基礎疾患を有する者等に対する継続的な医療・投薬等については、感染防止の観点から、「電話による診療等により処方箋を発行する」など、極力、医療機関を受診しなくてもよい体制を構築する

▽患者の更なる増加や新型コロナウイルス感染症の特徴を踏まえた、病床や人工呼吸器等の確保や地域の医療機関の役割分担(例えば、集中治療を要する重症者を優先的に受け入れる医療機関等)など、適切な入院医療提供体制を整備する

▽院内感染対策の更なる徹底を図る。医療機関での感染制御に必要な物品を確保する

▽高齢者施設等で新型コロナウイルス感染が疑われる者が発生した場合には、感染拡大防止策を徹底するとともに、重症化のおそれがある者については円滑に入院医療につなげる。



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