「互いに手を伸ばせば届く距離で、多くの人が会話等で一定時間以上続く」環境が新型コロナ感染リスクを高める―厚労省専門家会議
2020.2.25.(火)
昨年(2019年)12月に中華人民共和国武漢市で新型のコロナウイルスが原因と見られる肺炎が発生し、本邦においても「中国武漢市滞在歴のない」感染者が確認され、残念なことに死亡例も発生するなど猛威を振るっています。
そうした中で厚生労働省に設置された「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」が2月24日に、「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた見解」を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。
まず専門家会議では、「新型コロナウイルスの特徴上、1人1人の感染を完全に防止することは不可能である」としたうえでで、▼これから1-2週間が「急速な拡大に進む」か「収束できる」かの瀬戸際となる▼これからとるべき対策の最大の目標は、「感染拡大のスピードを抑制」し、可能な限り「重症者の発生と死亡数を減らす」ことである―と強調。
さらに、これまでおよび現在の状況について、次のように評価。
▽既に、国内の複数の地域から「いつ、どこで、誰から感染したかわからない感染例」が報告されてきており、国内の感染が急速に拡大しかねない状況にある
▽感染拡大のリスクが高いのは、「対面で人と人との距離が近い接触(互いに手を伸ばしたら届く距離)が、会話などで一定時間以上続き、多くの人々との間で交わされる環境」と考えられる
【感染者の状況】
▽感染者のほとんどが、無症状ないし軽症であり、既に回復している人もいる
▽国内の症例では、「発熱や呼吸器症状が1週間前後持続する」ことが多く、「強いだるさ(倦怠感)を訴える」人が多いが、一部には「人工呼吸器など集中治療を要する、重篤な肺炎症状」を呈する症例もあり、高齢者・基礎疾患を有する者では重症化するリスクが高いと考えられる
【感染経路】
▽これまでに判明している感染経路は「咳やくしゃみなどの飛沫感染」と「接触感染」が主体で、空気感染は起きていないと考えられる。ただし、例外的に「至近距離で相対する」ことにより、咳やくしゃみなどがなくても感染する可能性が否定できない
▽「無症状」や「軽症」者でも、他の人に感染を広げる例があるなど、感染力と重症度は必ずしも相関していない
【PCR検査】
▽PCR検査は、現状では、新型コロナウイルスを検出できる唯一の検査法であり、必要な場合に適切に実施する必要がある
▽設備や人員の制約のため、全ての人にPCR検査をすることはできない。急激な感染拡大に備え、限られたPCR検査の資源を「重症化のおそれがある方の検査」のために集中させる必要がある
▽現在、迅速診断キットの開発が鋭意進められています。
【医療機関の状況】
▽首都圏を中心とした感染症病床の多くは、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の状況を受けて、既に利用されている
▽感染を心配した多くの人々が医療機関に殺到すれば、医療提供体制がさらに混乱し、感染を急速に拡大させかねない
専門家会議では、こうした状況を踏まえ、広く国民に対し、次のような点を依頼しています。
【発熱などの症状のある人】
▼風邪や発熱などの軽い症状が出た場合には、外出をせず、自宅で療養してほしい
▼次のような場合には、我慢することなく、直ちに都道府県に設置されている「帰国者・接触者相談センター」に相談してほしい
・風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く(解熱剤を飲み続けなければならないときを含む)
・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある
▼高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合には、都道府県に設置されている「帰国者・接触者相談センター」に相談してほしい
【発熱などの症状がない人】
▼「対面で人と人との距離が近い接触(互いに手を伸ばしたら届く距離)が、会話などで一定時間以上続き、多くの人々との間で交わされるような環境」に行くことをできる限り避けてほしい
▼無症状でも感染している可能性もあるが、心配だからといって、すぐに医療機関を受診しないでほしい(医療従事者や患者への感染拡大、医療機関の過重負担を避ける)
【教育機関、企業などの事業者】
▼それぞれの活動の特徴を踏まえ、「集会や行事の開催方法の変更」「移動方法の分散」「リモートワーク、オンライン会議」などのできうる限りの工夫を講じてほしい
●新型コロナウイルス感染症に関する情報提供ページはこちら
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