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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

新型コロナ感染予防のため全医療機関外来で標準予防策を講じ、新型コロナ患者診療では必要な装備着用を―厚労省

2020.3.13.(金)

新型コロナウイルスに誰もが感染している可能性を考慮し、地域の医療機関外来では、全ての患者の診療において、標準予防策である▼サージカルマスクの着用▼手指衛生の励行―を徹底してほしい―。

また新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に対し、検体を採取する場合(咽頭や鼻腔などから)やエアロゾル発生可能性のある気道吸引などの手技を行う場合には、必要な装備(N95マスクの着用やフェイスシールド等による眼の防護など)を着用する必要がある。こうした感染予防を行っていれば「濃厚接触」には該当しない―。

なお、「患者が発熱や上気道症状を有しているということ」のみを理由に診療を拒否することは応召義務(医師法第19条第1項)違反になる。ただし診療困難な場合には、少なくとも「帰国者・接触者外来」「新型コロナウイルス感染症患者を診療可能な医療機関」へ適切に受診勧奨してほしい―。

厚生労働省は3月11日に通知「新型コロナウイルス感染症が疑われる者の診療に関する留意点について」を示し、医療現場に注意を呼びかけました。

帰国者・接触者外来のみならず、一般医療機関でも感染予防策を

新型コロナウイルスが本邦でも猛威を振るっています。現在、新型コロナウイルス感染疑い患者の診療は、まず「帰国者・接触者相談センター」に電話連絡・相談のうえで、「帰国者・接触者外来」の紹介を受け、そこで外来診療を受けることになっています。

ただし、一般医療機関の外来を「咳や発熱等の症状がある」患者が受診することがあり、その中には「新型コロナウイルスに感染している患者」が混在していることも考えられます。

また、政府が2月25日に決定した「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」では、医療体制に関し、例えば▼患者数増等を見据え、医療機関における病床や人工呼吸器等の確保を進める▼患者数が大幅に増えた状況では、一般医療機関の外来で、診療時間や動線を区分するなどの感染対策を講じた上で、新型コロナウイルス感染疑い患者を受け入れる▼高齢者や 基礎疾患を有する者では、重症化しやすいことを念頭におき、より早期・適切な受診につなげる▼風邪症状がない高齢者や基礎疾患を有する者等に対する継続的な医療・投薬等については、感染防止の観点から、「電話による診療等により処方箋を発行する」など、極力、医療機関を受診しなくてもよい体制を構築する―などの考えを明確化しており、そう遠くない将来、「感染対策を講じたうえで、一般医療機関の外来で新型コロナウイルスの感染患者を診療する」ケースが出てくるでしょう(関連記事はこちら)。

このため厚労省は、現時点における新型コロナウイルスの知見をもとにした「新型コロナウイルス感染症が疑われる者の診療に関する留意点」を整理しました。帰国者・接触者外来のみならず、一般医療機関においても「留意点の内容を十分に了知してほしい」と要望しています。



まず、「誰もがこの新型コロナウイルスを保有している可能性がある」ことを踏まえ、地域の医療機関外来に「共通する感染予防策」として、全ての患者の診療において、標準予防策である▼サージカルマスクの着用▼手指衛生の励行―を徹底することを強く求めています。

なお、この際、患者が発熱や上気道症状を有する場合などでも、「検体採取」「エアロゾル発生可能性のある手技(気道吸引など)」を実施しないときは「標準予防策の徹底で差し支えない」との考えを示しました。

新型コロナ患者・疑い患者の診療や検体採取では、必要な装備着用を

また、「新型コロナウイルス感染症患者(疑われる者も含む、以下同)を診察する」場合には、各医療機関において次のような感染予防策をとることを求めています。

▽新型コロナウイルス感染症患者に対し、「標準予防策」に加えて▼飛沫予防策▼接触予防策―を実施する

▽新型コロナウイルス感染症患者の鼻腔・咽頭から検体を採取する際には、▼サージカルマスク等▼眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)▼ガウン▼手袋―を装着する

▽新型コロナウイルス感染症患者に対し「エアロゾルが発生する可能性のある手技」(例えば気道吸引、下気道検体採取など)を実施する際には、▼N95マスク(またはDS2など、それに準ずるマスク)▼眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)▼ガウン▼手袋―を装着する

▽新型コロナウイルス感染症患者の診察において上記感染予防策をとることが困難である場合は、「最寄りの帰国者・接触者外来に紹介」する

▽基本的にシューズカバーをする必要はない

▽個人防護具を着用中また脱衣時に「眼・鼻・口の粘膜を触れない」ように注意し、着脱の前後で手指消毒を実施する



なお、「診察した患者が新型コロナウイルス感染症患者である」と後に判明した場合であっても、上記に基づいた感染予防策を適切に講じていれば「濃厚接触者には該当しない」ことが示されました。

もっとも、新型コロナウイルス感染症患者の診療に携わった医療機関の職員には、濃厚接触者に該当するかに関わらず、「毎日検温を実施し、自身の健康管理を強化する」ことが求められます。

発熱や上気道症状の実を理由とした診療拒否は不可、診療困難な場合は別医療機関受診勧奨を

ところで、医師には「応招義務」(医師法第19条第1項で「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合、正当な事由がなければ拒んではいけない」旨を規定)が課せられています。

厚労省は、「患者が発熱や上気道症状を有しているということ」のみを理由として、当該患者の診療を拒否することは、応招義務の「診療を拒否する『正当な事由』に該当しない」ことを強調しました。

ただし、診療が困難である場合は、「少なくとも帰国者・接触者外来や新型コロナウイルス感染症患者を診療可能な医療機関への受診を適切に勧奨」するよう求めています。



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